2020年冬アニメ1話ほぼ全部観たので感想書くよ

 
 今期は予想以上に面白い作品がたくさんあったため、一人でも多くのアニメファンをこの沼に引きずり込みたくて本エントリを書いてみた。1話時点の感想なので、せめて作品の雰囲気だけでも感じ取っていただければ幸いだ。

配信情報まとめ

 私はTVでアニメを観ない(BS見れないし、TOKYOMXもAT-Xも受信できない)ので、配信情報はこれ以外の手段について書いている。
 なお、独占配信系タイトルは放送開始時点でのものであり、後に他の配信サイトでも配信が開始される場合がある。契約の参考になれば。

独占タイトル一覧

アマプラ独占配信

pet
理系が恋に落ちたので証明してみた。

FOD独占配信

映像研には手を出すな!
推しが武道館いってくれたら死ぬ

その他

Youtube独占配信)
OBSOLETE
(Hulu独占配信)
Number24
(マンガアプリ”GANMA!”独占配信)
なつなぐ!

感想一覧

映像研には手を出すな!

FOD独占配信

 「アニメーションって、こんなに面白いんだぜ?」っていうアニメ。制作はあのサイエンスSARU。『SHIROBAKO』の更に前の物語。
 すべてのカットが面白い。というか遊んでいる。ストーリーとしての縛りは緩やかに、「見せたいアニメーションがあって、それを描くためにストーリーがある」っていう感じ。特に「ぼくのかんがえたさいきょうのせかい」は圧巻で、幼い頃に持っていた、無限に羽ばたく想像力の翼に映像が追いついている。「想像力が先行しててディティールは雑だけど、こだわりの設定はちゃんと盛り込んでいる」みたいな歪な仕上がりまで捉えた映像になってて感動した。湯浅監督すごすぎる。

ドロヘドロ

ネトフリ独占配信

 MAPPAの新作。魔法使い狩りの日常アニメ。結構古い作品からか、キャラデザや雰囲気が大友克洋を思い出す。グロ注意。軽快に描かれる主人公サイドと魔法使いサイドの戦いだが、内容はかなりエグい。そのクセ音楽はめっちゃ軽いんだよね。こういう、非常にダーティーな作品は中々見れないので素直に嬉しい。故にネトフリ独占配信か。
 汚さの表現がすごい。3DCGと作画が高度に融合してて、「3DCGの正確な動き」「作画の繊細な汚れの表現」を両立している。特に汚れの表現はやセル画並に強い。よく見ると、3DCGキャラの上からシワやら影やらの線を足してるところが丁寧で好き。あと服が破れてる演出なんかハイブリッドならではだよね。
 セル画風なのは背景もそう。特にAKIRAを思わせる「生物のようにうねる配管」の感じがすごい好き。背景は同じくセル画風3DCGハイブリッドアニメ『ひそねとまそたん』で背景を担当した青写真。こっち系に強い会社なのかな。

ソマリと森の妖精

 森山直太朗の歌がとてつもなく涙腺に来るので注意。訳ありお父さんと訳あり娘のロードムービー。微笑ましい二人を見ているだけで涙が・・・。
 ただのシステムと子供の関係なはずなんだけど、やっぱりシステムに父性感じちゃうよね。てかお父さんだよね。どーしてもパパに感情移入しちゃうよね。ほんまお父さん大変ね。
 世界観がすごく「日本一ソフトウェアの横スクロール系ファンタジーRPG」みたいな感じのやつ。背景めっちゃすげえ。『人類は衰退しました』に近いテイストで非常に印象的。木々の枝葉なんか点描で一つ一つ描いてて、ジブリの山本二三が描いた背景みたい。
 PVの完成度が高いので見てみてね。

地縛少年花子くん

 『囮物語』の千石撫子、ついにクチナワさんと結ばれる。制作は『ハクメイとミコチ』『彼方のアストラ』でおなじみ安藤正臣率いるLerche。安藤監督の作品って、毎回テイストがコロコロ変わるのほんと凄いよね。まず輪郭線の太さから過去作と全く違うし。翻って本作は「鬼滅の刃が好きな人は絶対好き」って言う感じの雰囲気に仕上がっている(ヒロインの声が鬼頭明里だからっていうわけじゃないよ)。背景もキャラも絵画的で、すごく不思議。
 後半の、明るい雰囲気から一気に暗い雰囲気へ転調する様はマジで凄い。絵の雰囲気は一緒なのに、急にまどマギの犬カレー空間に放り込まれたような怖さを感じた。白くて赤くて黒いEDを見るにつけ、この明暗の対比が本作のミソなのかも。
 しかしキャラデザが鬼かわいい。特に主人公の可愛さたるや。4分35秒頃の「八尋寧々です!」って言ってるシーンを一時停止して見てほしいんだけど、淡いセピア色の絵画的な背景と、同じトーンの彩色で描かれているねねちゃんの馴染み方が凄まじく、「一枚のアートです」って言われても違和感が無いレベルの完成度に。もちろんこのシーンに限らず、どのシーンで一時停止しても「絵画かよ・・・」ってなる。マジでスクショが止まらないんだけど。ちなみに漫画のコマみたいなカットインを入れる演出は監督の趣味。


©「地縛少年花子くん」製作委員会

虚構推理

 友人関係に至らなかった方の夏目友人帳。調停者として人間と妖怪(怪異)の間を取り持つ感じのボーイ・ミーツ・ガール。
 台詞回しが非常に小気味よい会話劇。メイン二人の(アニメーションも、中の人も)演技が本当に良くて、ずっと喋ってて欲しい(てか二人だけでずっと喋ってる)。感情的になりすぎず冷静で、かつ情熱的なセリフを淡々と語り合う二人の感じがたまらない。宮野真守は言わずもがな、鬼頭明里めっちゃ凄いやん!『アリスと蔵六』の頃から把握してたけど見るたびパワーアップしてる。
 アニメーションで言えば後半の戦闘シーンはすごーくフェティッシュで、再生する腕や、とろとろになった怪異の崩れ落ちるアニメーション等、力を注ぐポイントが絶妙。

恋する小惑星

 『まちカドまぞく』『ライフル・イズ・ビューティフル』に続くきらら枠。日常アニメx天文学という新しい掛け算。天文学アニメだと『放課後のプレアデス』が好きなんだけど、あそこまでガチの知識は出てこないみたい。少なくとも1話でいきなり赤方偏移とかシュバルツシルト半径の話とか出てこなかった。ところでラブストーリー+天文学って結構テンプレだよね。最近だと『ぼくたちは勉強ができない』の文乃にまつわるエピソードとか。
 制作スタッフが『私に天使が舞い降りた!』のメインスタッフ陣。本作は1話からわたてん11~12話くらい強烈にエモい。わたてん自体コメディの皮を被ったラブストーリーなんだけど、さらにラブストーリーに寄った仕上がり。エモい。

空挺ドラゴンズ

ネトフリ独占配信

 空を飛ぶ方のゴールデンカムイ。雲海を泳ぐクジラを探して旅をする捕鯨団の日常アニメ。捕鯨の歴史って、学ぶと面白いよね。本作はその歴史を追体験できるファンタジー作品。
 制作はポリゴン・ピクチュアズ。ネトフリはとにかくポリゴン・ピクチュアズ作品が充実しているので、はやくHELLO WORLDを配信するのです(→訂正。『HELLO WORLD』はグラフィニカの作品でした。ご指摘感謝です)。本作のテーマは「メシがうまそうな3DCGアニメを作る」なんだって。
 ポリゴン・ピクチュアズといえばさっきまで『シドニアの騎士』を見てたんだけど、キャラの表情筋が明らかに増えてて楽しい。あと相変わらずモンスターがキモい。
 クジラとの戦闘シーンももちろん凄いんだけど、それ以上に「近くの港に停泊し、クジラをバラし、売買し、船を修繕し、メシを食い、酒を飲み、船の補給を済ませ次のクジラを探して出発する」っていう(彼らにとっての)日常風景の描き方が素晴らしい。背景も相まって1話から世界観が完成してる感じ。ロードムービーやで。

マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝

 最近『ひだまりスケッチ』がマイブームなんだけど、本作と比較すると

ひだまりスケッチ
シャフト☆☆☆☆
劇団イヌカレー★★★★
うめ先生 ☆☆☆☆☆
日常 ☆☆☆☆☆

マギアレコード
シャフト ☆☆☆★★
劇団イヌカレー ☆☆☆☆☆
うめ先生 ☆☆★★★
日常 ☆☆★★★

みたいな感じなので、あんまり「血だまりスケッチ」っぽさがない。特にキャラデザはうめ先生っぽさが薄いよね。
 総監督が新房昭之から劇団イヌカレーにバトンタッチしているので、かなりイヌカレー味の強い作品に。シャフトらしい絵作りも相まって「見ているだけで楽しいアニメ」という印象。まどマギが好きかどうかより、シャフト作品が好きかどうかで視聴を決めたほうがいいかも。内容は「魔法少女ががんばるハートフルな王道ファンタジー」だよ?

id:INVADED イド:インヴェイデッド

 SFミステリー作品。あおきえい監督の新作で、ストーリー原案は舞城王太郎
 世界観が非常に特殊で印象的、というかこれがやりたくてアニメを作ったまである。簡単に言うと「ゲーム世界を勝手に動くPC(主人公)がパズルを解きながらプレイヤーにヒントをもたらすので、それを解析・推理して現実の事件を解決する」みたいな感じ。1話はチュートリアルなので、説明セリフをちゃんと押さえておこう。
 凄いのが、この異世界と現実の関係。一つの事件を追う過程で異世界の主人公がヒントを見つける→外のスタッフが解析・捜査する→犯人が警察の動きに感づく→異世界(犯人の精神世界)が同調して変化する→更に異世界でヒント発見 みたいな連動の仕方をしているので、見ていて非常に難易度が高い。ミステリーとしてのポテンシャルがめっちゃ高い作品。

群れなせ!シートン学園

 学園モノならぬ動物園モノ。宇宙戦艦ティラミス+ゾンビランドサガ(スタッフ的な話)。そういうスタッフを揃えている時点で「あ、これギャグアニメだな」ってわかるけど、一話冒頭の玄田さんによるナレーションでもう笑ってしまった。ティラミスのナレーションが大塚さんだったことを思い出した。こんなん卑怯や!
 キャストで言えば、ヒロイン(ヒロイン・・・)役を演じるのは『あそびあそばせ』おなじみ、動物界の声優こと木野日菜。なんか声を聞いてるだけでもう面白い。特にEDの破壊力が凄まじく、観ていると脳が溶ける。コツメカワウソの再来かな?
 ビースターズともアフリカのサラリーマンとも違う、もっとこう、人の形をした動物を観察しているような、丁度けものフレンズみたいな。特にオオカミのもふもふ感とか、しっぽの感情表現とか、耳の動きとか観ていて楽しく、サーバルちゃんを思い出す。
 基本コメディなので背景は「あーコメディアニメだなー」って感じなのに、なぜか草木に限って作画がガチすぎるのホント草(背景・草薙)。なんやその木の枝の伸び方。ジャングルか!

推しが武道館いってくれたら死ぬ

FOD独占配信

 「アイドルのお仕事」ならぬ「アイドルの推し事」。『ヤマノススメ』のスタッフによる新作。視点がめっちゃリアルで、アイドルを中心に描いた作品と比べてオタクの解像度がすごく高い。ファングッズの内容とかリアル過ぎてちょっと引いた。アイドルが歌っている時、コールや主人公のオフゼリフで歌が聞こえないのは流石に草。
 「どこまでアイドルのことを愛することができるか試されているオタクの生き様」がもはやかっこいい。主人公に至っては「推しのアイドルに自分しかファンがいない」「運営のプロデュースが推しの子だけ雑」「推しの子にめちゃくちゃ塩対応される」という多重苦に晒されながら闘う様がもうなんかすごい。もし推しが武道館に行ったら主人公死にそう。
 あとアイドルの子たちがかわいい。目のアップいいよね。まつげの描き方が少女漫画っぽくて好き。

OBSOLETE

Youtube独占配信

 ニトロプラスの新作アニメ。SF近未来を舞台にしたゴリゴリの3DCGロボアニメ。配信はYoutube限定で、Premiumじゃなくても無料で全話配信中。ちなみに去年12月に配信された1話の再生数は2020/1/16時点で750万再生を突破。凄いね。「Youtubeを見てる人は20分以上の動画再生に耐えられない」という通説に沿って(かどうかは知らない)、オリジナルアニメでありながらショート尺の作品になっている。
 ひょんなことから人類にもたらされたオーバーテクノロジーロボットで戦争する兵士を描く。特に1話はあらゆる要素を廃してひたすら「戦闘しているロボットがかっこいい」を描いている。アニメにありがちな戦闘中の会話とか一発逆転の秘密兵器とかも無く、ガチの戦闘シーンを徹底していて好き。特に迫撃砲周りの描写がすごく良い。
 1話のコメントに「なんで日本語なんだよ」みたいなのがあったけど、もしかしたらYoutubeは多言語展開も視野に入れてるのかもしれない。可能性あるよね。

ダーウィンズゲーム

 異能系バトルアクションアニメ。『グランベルム』に続くNexusの新作。1話は1時間SPなんだけど、最初から最後までずっとアクションシーンが続く。先のグランベルムでもゴリゴリアクションしてたけど、このスタジオ的にはこういう路線をやりたいってことなのかな。
 アクションシーンすき。独特の味付けが癖になる(クオリティをFGOやら鬼滅の刃やらと比べろっていう話じゃなくて)。空間の広がりを感じる構図だったり、アクション中背景をゴリゴリ動かしてたり、画面を斜めにする構図を使いまくったり。あと主人公がひたすら手前⇔奥に走りまくる。これで1話の第一原画が自社のスタッフ6人だけっていう。
 面白いのが、「敵は今こういう状況で、こうしようとしているな」とか「今の状況的に、こういうシチュエーションになればこっちが有利だな」みたいなオフゼリフをひたすら主人公が喋りつつ次のアクションに繋いでいく脚本になってて「ああ、敵が今こう動いたのはこういう理由だからか」みたいな動線が見えるところ。水没した自分のスマホを乾かしながら食い入るように観てたら1時間があっという間に終わってしまった。というか主人公の中の人こと小林裕介が過労死しそうなくらい喋ってるんだけど、彼は2代目神谷浩史になろうとしているのかもしれない。

へやキャン△

 なんでもない日ばんざい。『ゆるキャン△』の、特に何も無い日を描くショートアニメ。1期と比べて若干、大垣千明が可愛くなった。気がする。

異世界かるてっと2

 監督が「キャストばっかり増えて制作費の圧迫が・・・ゴニョゴニョ」って言ってた。大変だね。内容は1期の続きから。相変わらずセリフの端々に原作愛が散りばめられており、芦名みのる監督ってすごいなーってなる。

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。

 『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』でAGILITYに全振りしたレンちゃん、本作でVITALITYに全振りするやらかしを犯す。
 SILVER LINK.の新作。『すのはら荘の管理人さん』のスタッフなのでてっきりラブコメだと思ったんだけど違うみたい。ちなみに異世界転生ではなくゲームプレイ日記。
 序盤のほのぼのソロ道中が結構好き。背景がすごく凝ってるので「リアル気ままな一人旅」っていう雰囲気がある。MMO始めた時ってこんな感じにのんびりやってるのが楽しいよね。音楽のテイストも軽快で楽しい。周りのプレイヤーもすごくいい人ばかりだし。あのエミヤ先輩絶対いい人だよね。ゲームプレイ日記の作品で言うと『ネト充のススメ』に近い心地よさがある。

pet

アマプラ独占配信

 PSYCHO-PASSが無いPSYCHO-PASS3。他人の精神にダイブできる能力を持ったアウトサイダーのお話。
 監督は『夏目友人帳』の大森監督。同氏の作品って「それまで普通の光景だったのに、あるキッカケで別の意味に見えてくる」みたいな構成をよく見るんだけど、本作の1話もそんな感じの演出になってて好き。ちょいホラーテイスト。というか制作のツインエンジンって概ねハードモードの作品ばっかり作ってるよね。
 精神世界に両足を突っ込んでいる作品なので「ドラッグやってる人が見ている現実」みたいなシーンが結構ある。ヤバいことされた人視点ってのがいいよね。夢と現実の区別がつかないような演出が増えそうな予感。

八十亀ちゃんかんさつにっき 2さつめ

 名古屋県のご当地アニメと言いつつ、実は周辺(中部地方)の県もまんべんなく押さえている。2期から登場したじゃんだらりんさんの中の人は愛知県蒲郡市出身だよ。

宝石商リチャード氏の謎鑑定

 宝石の国難民救済。「ゆるキャン△の、大垣千明がバイトの面接をしているシーンで何故か狂気の作画を発揮したビールケースの原画を担当した制作会社」でおなじみ朱夏による、ゆるめのミステリー作品。というか群像劇。『歌舞伎町シャーロック』とかでもそうだけど、ミステリー作品って事件の裏にある人間模様がすごく味わい深いよね。本作も1話から非常に強度の高い群像劇を展開してて、おばあちゃん子の自分には『万引き家族』みたいなストーリーがかなり刺さった。歌舞伎町シャーロックはギャグテイストが強めなのに対して本作はハートウォーミング系。
 それにしても音楽が最高にエモい。優しいタッチのシンプルなピアノ曲が多めで個人的にどストライク(音楽:戸田信子)。

22/7

 みんな大好き秋元康プロデュースのアイドル、のアニメ。22/7の由来は22/7が円周率(3.14...)の近似値だからって聞いた。なので7人のユニットではない。OPがそれこそ『ゾンビランドサガ』みたく、アニメじゃない方のアイドルっていう感じが強い。これ、キャラごとにデザインした人が違うんだよね。とりあえず全員かわいい。作監さん大変よね。
 作品のテイストはゾンビランドサガ並にファンタジーなので、肩の力を抜いて観よう。
そういえば『少女歌劇 レビュースタァライト』のスタッフインタビューで「一切の不条理を押し付けるキャラが必要だからキリンっていうキャラを作った」みたいなことを言ってたけど、本作は全体的に不条理。ちょうど本作の監督・阿保孝雄が監督を務めた『盾の勇者の成り上がり』を思い出すくらい「大人なんか嫌い!」っていうセリフがエモい。

ランウェイで笑って

 ボーイ・ミーツ・ガールの火ノ丸相撲。ダブルの制服かわいい。ファッションデザイナーとモデルのお仕事がテーマの作品なんだけど、週刊少年マガジンで連載してるんだって。
 「自分に無いものを持っている二人」っていうのがガッツリハマってる。持つ者と持たざる者の物語。といっても「天才くん」と「凡人ちゃん」という明確な境界があるわけではなく、うまくグラデーションになっている。才能に恵まれながら環境に恵まれない子、環境に恵まれながら才能に恵まれない子、みたいな。そんな二人の衣装部屋での軽快なやり取りの中で主人公♀の心を抉るシーンの演出がすごく良かった。そこに限らずキャラの心情に寄り添ったカットが多く、全体的にエモい。お母さんのセリフとそれに対する娘の表明とか、お母さんの方に感情移入しちゃうよね。
 鬱展開というより、若干のファンタジーを織り交ぜつつのサクセスストーリーなのでのんびり楽しもう。

魔術士オーフェンはぐれ旅

 我は放つ!なんとかのなんとか!20年ぶりくらいのリメイク。中の人ずっと変わらないってすごいね。最初のアニメ化はわりとアニオリ展開だったけど、本作は原作に沿ったシナリオになる予定らしい。シリーズ構成は吉田玲子なので楽しみ。
 うっわなっつかしー!作品のノリや演出、音楽とか台詞回しは現代に即した形にアレンジ・・・してない。完全に当時のノリをもう一度って言う感じなので、すごく懐かしい。ドッキリの看板って今の10代には伝わらないでしょ。
 ファンタジー作品の描き方って、時代に応じて最初の作法が変わるよね。今の作品であれば「こういうお約束を踏襲してますよー」みたいな方法も使えるけど、本作はそういうのが無いのが逆に新鮮。(忘れてたけど)世界観が魅力的な作品なのね。

斉木楠雄のΨ難

ネトフリ独占配信

 ネトフリがなぜかこれに食いついた。元々おはスタ内でやってたショートアニメじゃなかったっけ。初めてちゃんと見たけど、アカン神谷浩史さんが死ぬ。
 ハイスピードギャグアニメかつフル尺なんだけど、単にショートアニメを4話くらいまとめて1話にしただけなので配信分で合計24話分くらいある。1話見ただけで圧倒的ボリューム感である。6話全部見きれるかな・・・

理系が恋に落ちたので証明してみた

アマプラ独占配信

 『邪神ちゃんドロップキック』でおなじみCOMICメテオで連載中のラブコメ作品。ほぼ会話劇。『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』は天才(ボケ)と天才(ボケ)の応酬だったけど、こっちは数学者(ボケ)と数学者(ボケ)の応酬。藤原書紀はいない。ちなみに埼玉大学が舞台。
 恋愛がテーマと思いきや「数学的アプローチってどうやるの?」がテーマだったりする。命題(相手を好きだと思っている、ってどう証明するの)に対し、仮説を立て、実験し、結果を考察するっていう基本をひたすら繰り返す。なにげに科学リテラシーのツボを微妙に押さえたセリフまわしが好き(”AならばBである”を証明したとしても”BならばAである”を証明したことにはならない!みたいなめんどくさいやつ)。1話では統計学のガチ解説とか入ってくるのでフフッってなった。
 御存知の通り、そもそも実験ってめっちゃ地味でつまらない作業なのでちっともエンタメ映えしないんだけど、それをエンタメに昇華しようっていう気概を感じるところが好き。

うちタマ?! ~うちのタマ知りませんか?~

 ノイタミナ枠。タマ&フレンズの擬人化アニメで、ものすごく日常系。『のんのんびより』並に何も起きない。擬人化には具体的な理由とかはなく、「よそから見れば猫」「本人は人間だと思っている」みたいな感じの描かれ方なので、猫の姿と人の姿を行き来する。個人的にブル(もとのすがた)が一番すき。元の姿に戻ったときの、キャラデザの簡素さがなんか草。
 それにしてもやっぱり大塚舞のキャラデザ(最近だと『まちカドまぞく』のキャラデザ)は良いよね。男の子かわいい。特に表情豊かなところは明確に擬人化のメリットやなぁって。てかキャラめちゃくちゃ多いな!覚えられるか!
 「あー猫ってよくそういうことやってるわー」っていう感じのシナリオ。『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』は猫と人の関係性を描いてたけど、本作は猫と猫(と犬)の関係性がメインで描かれる。

プランダラ

 『そらのおとしもの』でおなじみ水無月すう先生の新作。そらのおとしものからめっちゃ時間経ったじゃん?ってことは多少はテイスト変わったって思うじゃん?変わってないんだなぁこれが。主人公がムッツリスケベなのが一周回って新しい作品になってしまった。
 キャラデザが新しいような、懐かしいような感じがする。目元とか主人公の眉毛とか、彩色とか。ド王道のファンタジー作品なのでわざと懐かしみを感じるテイストに仕上げてるのかな。
 『魔法使いの嫁』の音楽を担当した人が本作の音楽を担当しており、アニメ劇伴は本作が2作目。やっぱりめっちゃ良い。作品のテイストはかなりシリアスなのも相まってめちゃくちゃファンタジーしてる。でも今後は(監督が『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の人だから)もっとラブコメ寄りになるのかな?

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-

 1話から話がどんどん進むよ。なんでもありのオンラインゲームプレイ日記。
 ゲームというより、映画『HELLO WORLD』に近く、シミュレーションされる現実という感じで理解したほうが良い。「プレイヤーがプレイヤーを護る」という行動原理を取り入れた過去作に対し、本作は「プレイヤーがNPCを護る」という作品。PCの行動にNPCが応えるっていう展開が結構エモい。え、ネメシスの声って大野柚布子なの?
 「なんやこのゲーム、まるでリアル世界やないか!」っていう描き方が特徴的。足元の土をパラパラして「現実やん・・・」ってなるシーンいいよね。背景は『ゆるキャン△』でおなじみプロダクションアイ。町中の建物についてる窓の書き込みとか見ていて楽しい要素しか無いので一時停止推奨。
 NPCによるクエスト発生シチュがちょっと好き。PCの行動によってNPCの行動が変化→そこに別のPCが居合わせることでNPCの行動が変化→クエスト発生っていう過程なので、「なぜそのクエストは発生したのか」っていう掘り下げがある。

ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。

 厨二病ギャグアニメ。厨二病の子がいる時、対となるツッコミキャラが必ず存在するもので、先の『女子高生の無駄遣い』ではワセダが過労死してたけど本作では主人公が過労死している。
 内容は、まるでWEBコミックの4コマ漫画のような怒涛のボケとツッコミの応酬が続く。多分主人公の中の人は喉が死んでると思う。

異種族レビュアーズ

 異世界風俗探訪記。OPで何を歌い上げとんねん(ちなみにOPEDを作ったのは『ダンベル何キロ持てる?』のOPEDを作ったヤツら)。タイトルの通り、ひたすら風俗店を巡って真面目にレビューしていく。通常Verの他に、一部配信サイトでマジ魔王Verが配信されいてる(無修正ではない)。
 空想上の生物の姿や形、色や触感、匂いをどうやって表現するかっていう問題に、「抱いたら気持ち良いのだろうか」という切り口で描く発想が面白い。そういう意味ではいわゆる「異世界グルメ」みたいなものと根底が似てるかも。
 あと公式ラジオめっちゃ面白い。MCが小林裕介の時点で「あ、シモセカだこれ」ってなる程度にはシモネタ全開なので、SZNやらSYDよろしくゲラゲラ笑いながら聞いてる。
異種族レビュアーズ 食酒亭ラジオ | インターネットラジオステーション<音泉>

A3!

 ショー・マスト・ゴー・オン!廃部寸前の演劇部をプロデュースする話。スマホゲー発のメディアミックス作品。最近アニメ化されたスマホゲーの中で、珍しく主人公の主張が強い。自ら物語を引っ張っていく系。2クールくらい放送するらしい。いい最終回だった。
 舞台演劇がテーマなので、(中の人の)演技のレイヤーが多彩で面白い。「芝居が下手な新人俳優」「芝居の上手いアマチュア俳優」「芝居の下手な素人」「一般人」それぞれ味があって、特にモブ(なぜか演技に詳しい通行人が多い)のナチュラルな演技が好き。
 心情の変化に伴って変化する劇伴がすごくエモい。やっぱり横山克の音楽はよい。

織田シナモン信長

 オールスター系転生モノ。イッヌの日常を描くギャグアニメ。ちゃんと態度と声が戦国武将の頃のままなので、犬なのになんか偉そう。それでいて仕草はただの犬なので、ミュートで見ると「犬と飼い主の日常」にしか見えないのほんと草。
 声はベテラン男性声優でガッツリ固めてきてるので「おっさん声優同士が楽しそうにイチャコラしているアニメ」という稀有な作品に。最後の本編いる?