Sweet Lemon

2022年春アニメ1話ほぼ全部観たので寝不足になる感想書くよ

アニメ観ながらELDEN RINGをプレイしてたら意外と捗ったよ、という近況のお話

 最近は特に、アニメが多すぎて純粋に時間が足りない。ただ時間が足りないだけではなく、仕事から家に帰って、さてアニメ観るか!というテンションに切り替えが出来ずに結局観ないまま就寝、アニメを観るのは週末だけ、みたいな状態がしばらく続いていて、よりアニメ視聴から遠ざかる原因になっている。好きで観ているはずなのに、なぜか「いかに短い時間でアニメに集中する状態を作るか」という戦いをしている気分(しかも毎回敗北している)。
 というわけで、色々模索しているうち「無心で出来る単純作業の傍ら、アニメをながら観する」という方法に行き着いた。私の場合はアニメを観ている間だけ手持ち無沙汰になるのが特に苦手なため、どうやら「単純作業を伴うなんらかの用事を用意すること」が、アニメの視聴ハードルを下げるのに有効な方法らしい。そう、エルデンリングだ。
 『ELDEN RING』は、フロムソフトウェアから発売された3DアクションRPG。同スタジオのソウルシリーズの流れを汲む新作で、ダークファンタジー世界を舞台にしたオープンフィールドゲームになっている。マルチプレイ対応だが、今回はソロプレイについてのお話なので割愛。

 アニメ云々の前に、まず最初に同ゲームをプレイしていて快適だと感じたのは、テキストを読まないでプレイできる設計。ストーリー性が薄いので会話シーンもほぼ無いままゲームが進んでいくし、オープンフィールド系のゲームによくある「ここを進むには〇〇から☓☓を貰う必要があるぞ」みたいなお使いクエストもほぼ無く、ある程度道なりに進んでいけばゴールにたどり着けるようになっている(隠し部屋などの要素が満載なので、やり込みプレイが好きな人はこの限りではない)。
 そして何よりボス戦のゲーム設計だ。エルデンリングを含むソウルライク系ゲームは、同じボスに何度も挑戦しながら、少しずつ攻略の糸口を探していくという面白い思想のゲームとして有名。私が以前よく遊んでいたソウルライク意外のゲームでは、ロビーからクエスト受注→装備やアイテムの準備→出撃→マップ探索→ボス戦→敗北→ロビーに戻される→クエスト受注・・・という流れになっていたので、敗北時の「時間が無駄になった」感がすごくストレスだった(それが嫌で投げ出したゲームも結構あった)。一方で本作はボスに敗北するとボス部屋近くのリスポーンポイントに戻されるため、リスポーンからせいぜい1分程度で再戦が可能(場所によってはもっと早い)。また「ボス部屋の壁にアクセスして「入りますか?」みたいなメッセージが出る」「メニュー画面を開いて何らかの操作をする」「ボス登場ムービー」「それをスキップするボタン」等の地味なストレス要素さえも省かれており、ストレスフリーに何度もボスと再戦が可能な設計になっているため、敗北に対する心理的負荷が非常に小さく、総じて長時間のゲームプレイに適したアクションゲームになっている。
 で、本題。長時間に渡って再戦を繰り返すことで「パターンを覚える」「回避や攻撃タイミングを見極める」「相手との距離感を見極める」という基本を、無心で長時間プレイしながら地道に覚えていくのだけれど、ここでアニメの視聴が非常に捗ることに気がついたのだ。
 まず、様々な場所に出現するボスを倒しながら技術を高めていくのとは違い、本作は同じところをぐるぐるして同じボスを殴るだけなので、慣れれば何も考えずに再戦ループができるようになる。なんならアニメ視聴している視界の端で操作することすら可能だ。
 また、ループ中は(装備変更等の作業を除けば)テキストを読む必要が無いため、言葉の情報を処理する脳みそをすべてアニメに向けることが出来るのが非常に大きい。「文脈を理解する」「簡単な計算をする」という脳内処理は意外に高コストなので、これがないゲームは非常に貴重。
 加えて、もしアニメに気を取られてボスにコロコロされたところで、すぐ1~2分後には再戦できてしまうため、「ゲームに集中していなかった」ということがデメリットとして機能しにくいところが良い。どんなゲームでも、めちゃくちゃ弱いボスで無い限り「ボス戦は戦闘に集中しなければいけない」という自分ルールに縛られていた人間としては「強すぎるから逆に一戦一戦すべて集中しなくても大丈夫」という設計はすごく新鮮。「あー負けちゃったかー」とか言いながら観るアニメの心地よさは格別で、なんならロード中はアニメに集中できるまである。
 他にも、大抵のボスはすぐに倒さずともゲームを進行可能なため、飽きたら無視して先に進める点や、ネット上に攻略サイトが充実している点も嬉しい。ボスの数も膨大なため、永遠に飽きることなく快適に死に続けることが出来そうだ。少なくとも「アニメをすべて見終わる」ということは永遠に無いため、「ほぼ永遠にプレイできる」という要素は欠かせない。
 意外にも、こんな死にたがりプレイですらツリーガード(チュートリアル終了後にエンカウント可能な最初のボス)を20時間、忌み鬼マルギットはわずか10時間、ストームヴィル城に至っては100時間足らずで踏破出来たので、アクションゲームが苦手な人でもそれなりのペースでクリアできちゃう親切設計になっているところも本作の特徴だ。「アニメ見ている時暇すぎて耐えられない」という人はとりあえずエルデンリングしながらアニメを観てみよう。

著者近影

youtu.be
 以降のおまけで今期アニメの1~3話程度の感想を書いてみたので、攻略のお供になれば幸いだ。ちなみに2クール以上の長期シリーズ等は「1期1話を観てね」くらいしか書くことができないので端折っている。

配信情報まとめ

 私はTVでアニメを観ない(BS見れないし、TOKYOMXもAT-Xも受信できない)ので、配信情報はこれ以外の手段について書いている。
 なお、独占配信系タイトルは放送開始時点でのものであり、後に他の配信サイトでも配信が開始される場合がある。あくまで現時点での参考になれば。
 今期からはDisney+独占配信作品も追加されており、いよいよ全部配信で済ませようとするのがアホらしくなってきた。また、独占配信の作品に限って肝いりの大作だったりするので、熱心なアニメファンほど利用サービスを絞りづらいというおまけ付き。
 結局のところBSあたりで可能な限り録画する、という従来のスタイルが一番手軽に多くのアニメを楽しむ方法になりそう。

独占タイトル一覧

※《》内は月額プランの料金(税込み)

アマプラ独占配信《500円/月》

今期は特になし

ネトフリ独占配信《990円/月※上位プランあり》

テルマエ・ロマエ ノヴァエ
コタローは1人暮らし
古見さんは、コミュ症です。
攻殻機動隊SAC_2045 シーズン2
ULTRAMAN SEASON2
TIGER&BUNNY 2
極主夫道 パート2

FOD独占配信《976円/月》

恋は世界征服のあとで ※FOD独占見放題配信
エスタブライフ グレイトエスケープ ※FOD”先行”独占配信

Disney+独占配信《990円/月》<NEW!>

ダンス・ダンス・ダンスール
サマータイムレンダ
ブラック★★ロックシューター DAWN FALL

その他

Youtube公式チャンネル内で配信)
ちいかわ
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じゃんたま PONG☆
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感想

パリピ孔明

 異世界転生孔明パリピ無双。しかも音楽劇。
 「異世界転生」をテーマにした展開と、「売れないミュージシャンと、元凄腕プロデューサーが運命の出会いをする」という王道展開をミックスしたストーリーに「三国志」という鉄板要素を加えたお話、と考えると、本作の面白さを理解しやすいかも。
 特にミュージシャンのサクセスストーリーを丁寧に描いた作品になっていて、洋画だけど「Begin Again」っていう2013年の映画を思い出した。
 「Begin Again」のシーンの中でも、特にキーラ・ナイトレイ演じるグレタとマーク・ラファロ演じるダンがバーのライブで出会うシーンが好きなんだけど、パリピ孔明の1話で孔明が英子の弾き語りに感動するシーンで同じような感慨を抱いた。タイムスリップによってあらゆるものを失った孔明が、音楽によって救われるっていう演出ほんと最高。やっぱ音楽っていいな。

© 四葉夕卜・小川亮・講談社/「パリピ孔明」製作委員会

 「元の世界に無い異世界の事物を、主人公の知っている言葉で例えるときの表現」は当然、三国志に登場するなんらかの言葉になるのだけれど、そのボキャブラリーがめっちゃ豊富で草。作者どんだけ三国志大好きなんだ。個人的に「魏軍」の例えが一番すき。
 主人公がプロデュースすることになったヒロインを演じるのは本渡楓(歌唱:96猫)。てか96猫さん歌うますぎやろ。純粋にライブシーンが輝いているアニメとしては、ボンズのオリジナルアニメ作品『キャロル&チューズデイ』並に凄まじい仕上がりに。「たまたま居合わせたライブの歌唱に主人公が心を奪われるさま」を、ちゃんと説得力のある映像に仕上げている。
 あとクラブで流れている曲のセンスがザ・エイベックスって感じ。まるで「エイベックスのために作られたアニメ」みたいになっている。まさかDJ KOOさんとか出てこないよね?


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 『コミックDAYS』にて2019年から連載されている、原作:四葉夕卜、作画:小川亮による漫画が原作(2021年に『週刊ヤングマガジン』へ移籍)。
 制作はウマ娘でおなじみP.A.WORKS。監督は同スタジオ作品『Fairy gone フェアリーゴーン』『天晴爛漫!』『ウマ娘 プリティーダービー』等で絵コンテ・演出を担当していた本間修。初監督かな。シリーズ構成の米内山陽子もまたウマ娘で一部脚本を書いていた人で、本作が初シリーズ構成。キャラデザの関口可奈味は『SHIROBAKO』『Charlotte』『サクラクエスト』等、同スタジオの作品でおなじみ。女の子が可愛い。
 背景美術はスタジオ・イースターP.A.WORKSの青春群像劇は特にクオリティ高いイメージだけれど、本作もまた背景美術に限らずそういう作品を作る時の座組になっていて、一発屋みたいなタイトルとは裏腹にかなりリアリティライン高めの作風。
 タイトルの通りクラブミュージックがたくさん流れるアニメということで、劇伴はDJの彦田元気(Hifumi,inc.)が参加している。同氏は『D4DJ』の一部キャラソンを制作していたりする人で、アニメの劇伴は初めてかな。

ダンス・ダンス・ダンスール

Disney+独占配信

 バレエルームへようこそ!
 ついタイトルを「ダンスホール」に空目しがち。ダンスと言えば『ボールルームへようこそ!』は社交ダンス、『ユーリ!!! on ICE』はフィギュアスケート、『バクテン!!』は新体操で、『体操ザムライ』は器械体操がテーマの作品。めっちゃたくさんあるな。翻って本作は「バレエ」を学ぶ少年のお話。
 1話では、思春期特有の呪いを多数抱えた少年のお話を、明るいタッチで描いている。「男らしく」とか「学校の部活だから」とか「親が期待してるだろうから」とか「こいつ絶対俺のこと好きだろ!?」とか。その一つ一つが、彼自身の力ではどうにもならないくらい深刻だったりするよね。そのまま何者にもなれず燻っていた彼が、ひょんなことから「道を示してくれる人」に出会い、云々。
 本作が「主人公にとっての人生の岐路」から始まっているため、高校生のスポーツ青春モノというより、もっと先を描いていくヒューマンドラマといった感じ。最近の作品であれば『ピアノの森』や『ブルーピリオド』くらい硬派。現時点で原作は23巻も出ているし、アニメも長期シリーズにしたりしないのかな。
 冒頭で描かれているのは、主人公にとっていかに「バレエ」が特別であるかを印象付ける、最も重要な原体験となるダンスシーン。クオリティが開幕からどうかしている。
 冒頭に限らず、バレエのシーンはすべて著名なダンサーさんに踊ってもらった映像をもとにロトスコープで制作しているとのこと。アニメーションも相当ヤバイんだけど、そもそもダンサーさんのダンスが既に超人的だった。Twitterで比較動画が公開されているので、ぜひ見てみてね。

 OPも大概どうかしてる。1人称視点の繊細なアニメーションと鏡面反射を使った演出。しかも指元の繊細なお芝居までつけちゃってるし、背景も広角レンズ特有の歪みまで含めて破綻のない空間を作画していて、しかも水彩画のような塗り表現までこだわっている。すごすぎて笑っちゃうわこんなん。
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 『週刊ビッグコミックスピリッツ』にて、2015年から連載中の、ジョージ朝倉による漫画が原作。
 制作はMAPPA。監督は『ゾンビランドサガ』『恋とプロデューサー』の境宗久。シリーズ構成は『アイ★チュウ』『先輩がうざい後輩の話』『可愛いだけじゃない式守さん』の成田良美。また、副監督に『体操ザムライ』監督の清水久敏、バレエシーン演出に『美少年探偵団』監督の大谷肇が参加している。
 ビビットな背景を担当しているのは『Sonny Boy』の背景でおなじみスタジオPablo。単に写実的なだけでなく、すごく独特の雰囲気があるよね。

SPY×FAMILY


 世界平和のお仕事をしている家族の日常アニメ(仮)。分割2クール予定。
 コンゲームモノっぽいけどスパイアクションラブコメディで、1,2話は3人の馴れ初めのお話。「かりそめの親子」とはいえ、親子を演じながら(上流階級の)親子の日常をなぞり、そういうコミュニティに所属している彼らは、もはや「配偶者に多少の隠し事をしているだけの一般的な夫婦」だよね。
 実写作品の話で申し訳ないけれど、2005年のハリウッド映画『Mr.&Mrs. スミス』を思い出す。同映画は、ブラッド・ピットアンジェリーナ・ジョリーという銃火器の扱いに長けた二人が銃火器を使って盛大な夫婦喧嘩をするというハリウッド級ガンアクションラブコメディ作品。「お互いの素性を隠したまま仮初の夫婦を演じている」という設定もまた本作に通じるものがある。個人的に一番好きなシーンは、階段の壁越しにアンジェリーナジョリーがブラッド・ピットめがけてショットガンを乱射する夫婦喧嘩の一幕。派手なラブコメが観たい人は是非見てみてね。
 翻って本作は、ラブコメっぽいホームドラマのパートと激しいスパイアクションのパートによる強い緩急が印象的。WIT STUDIOの作品『GREAT PRETENDER』や『Vivy -Fluorite Eye's Song-』等で描かれている硬派なヒューマンドラマ成分とアクション成分、CloverWorks作品『シャドーハウス』『その着せ替え人形は恋をする』『明日ちゃんのセーラー服』等で描かれる、超カワイイ女の子成分が合わさって最強のアニメになりそうな予感しかない。アーニャかわいい。アーニャのおかげで硬さと柔らかさともに優れた良きアニメであった。
 「スパイのくせに、人殺しのくせに幸せそうにしちゃってさ。」について。1話、2話では主に両親役である二人の「幸せ」や「家族」に対する認識が描かれている。
 私自身はスパイではないのだけれど、彼らの自罰的な思考はすごく共感するし、どこか「世帯を持つということに対する神聖視」みたいな感覚もわかる。家族がいることは幸せ。でも自分が幸せになるなんて、公平でも公正でもないからダメみたいな。「まともな仕事をしている人間じゃないんだから、人並みの幸せなど望むべくもない」という、二人が自身にかけている呪いをどうするのか、という部分が物語における縦軸になるのかな。
 唯一アーニャにとっては、「仕事上の都合で夫婦を演じているという認識を二人に改めてもらう」ことが彼女にとって唯一の勝ち筋となるので、そこがどう物語に関わってくるのか楽しみ(序盤はキレッキレのツッコミ役+トラブルメーカーとして猛威を振るっている)。
 お子を演じるのは種﨑敦美(おおさきではなく、たつざきの方の﨑)。同氏がWIT STUDIO作品でメインキャラを演じるのは『Vivy』以来となる。というかWIT STUDIO作品でめっちゃ主演演じまくってるけど、WIT STUDIO特効持ちか?
 アーニャは異常に空気が読める幼女で、精神的に幼いが、その能力から非凡な語彙力と顔色をうかがうスキルに長けている。その一方で、安心すると急に普通の幼女に戻る(見た目は子供、頭脳は大人、というわけではない)、という非常に複雑なキャラなのだけれど、もう最高。特に「父~」がもう可愛すぎてヤバイんだが。
 先のアニメ『その着せ替え人形は恋をする』にて幼女先輩を演じていて、同氏の演技の幅にとても驚いたのだけれど、幼女も出来るんか。ダイの大冒険では少年役も演じているし、もう何でも出来るのでは?
 あと世界観いいよね。一応架空の世界のお話ではあるけれど、舞台のモチーフになっているのは冷戦時代における東西ドイツかな。街並みから車から、室内の調度品まで雰囲気があってすき。
 大手スタジオ制作のため、ただ歩くだけのシーンでさえ作画良すぎ。特に3話の自宅紹介シーン。頭より高い位置にあるドアノブを回すアーニャの作画もすごいし、ヨルさんの「高いヒールを履いている時に、かかとに重心をおいた立ち姿勢から歩き始めるときの重心移動の作画」とかめっちゃ丁寧でびっくり。あとSEも。足音だけ取っても、床や靴の材質やその人の体重とか細かく判別できるレベルのクオリティになっている。
 OP絵コンテは石浜真史、ED絵コンテは錦織敦史。両方ともアーニャの視点から親子の日常が描かれている。アーニャからすれば両親とも偽物で、自分はそれを隠して演じ続けなければならないという「喜劇的な」お話ではあるのだけれど、実はそこまで本人が悲観してないところが本作における唯一の救いだったりするんかな。もしかして主人公はアーニャだった?
 特にこの「かりそめの親子を演じている」というシナリオを、まさかの「サザエさんのEDをオマージュする」ことで表現したEDのセンスよ。何食ったらそんなん思いつくんや。

OP絵コンテ・演出:石浜真史(『ホリミヤ』監督。また、冴えない彼女の育てかた♭PERSONA5 the Animationホリミヤ、東京24区等のOP絵コンテ・演出でおなじみ)
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ED絵コンテ・演出:錦織敦史(『ダーリン・イン・ザ・フランキス』監督) 
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 『少年ジャンプ+』にて2019年より連載中の、遠藤達哉による漫画が原作。
 制作はWIT STUDIO×CloverWorks。監督は『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』『将国のアルタイル』『どろろ』の古橋一浩。シリーズ構成も監督が担当している。
 キャラクターデザインは、CloverWorks作品『約束のネバーランド』でキャラクターデザインを務めている嶋田和晃。
 大手スタジオが共同で制作しているアニメといえば『Takt.op Destiny』が記憶に新しい。あっちは制作のMAPPAマッドハウスが話数ごとに担当を分けて作っていたらしいけど、本作も同じ方式なのかな。
 音楽プロデュースは『サクラクエスト』『Fairy gone フェアリーゴーン』『ドロヘドロ』の(K)NoW_NAME。「音楽プロデュース」としてクレジットされるのはドロヘドロに続き2作目で、本作も楽曲周りを全面的に担当してる感じなのかな。ドロヘドロはいいぞ。

サマータイムレンダ

Disney+独占配信

 SFサスペンス版『ISLAND』。2クール予定。
 ヒロインの葬式から始まるアニメがあるらしい。身内の葬式で実家に帰省した少年が、不思議な事件に巻き込まれていくミステリー作品。っていうと、まるで「ひと夏の冒険ファンタジー」みたいに聞こえるけれど。
 1話では、舞台となる和歌山県和歌山市の離島で暮らす人々の日常が描かれていて、特にセリフの一つ一つから「島に暮らす人はみんな親戚みたいな空気」が丁寧に描かれている。子どもたちだけの世界を中心にしたお話じゃないんだね。
 本番は2話から。現実に戸惑いつつも決してUターンせずに真実を追求する意志を見せる主人公の胆力と勇気よ。
 ほんとドラマの作画が丁寧。ミステリー作品ってどうしても物語の進行重視で説明セリフを多く、風景画のカットを少なく、っていうパターンが多いのだけれど、本作はちゃんと風景画を省略しない贅沢な尺の使い方で、加えて表情のお芝居もしっかり間を取って情感たっぷり。凄く引き込まれる。主人公が殺害されるシーンとか、そんなに丁寧に描くんか。
 あと個人的に、渡辺監督=青い絵を作るのがすごく好きっていうイメージで、直近で関わっているアニメでいうと『海獣の子供』『漁港の肉子ちゃん』『恋は雨上がりのように』『古見さんは、コミュ症です』はいずれも青の印象が強く残っている。本作も孤島が舞台ということで「海の青さ」が画面全体の青さを強くしているのだけれど、1話序盤のシーンでは「瞳の色」「主人公の履いているパンツ」「背負っているバッグ」「持っているスーツケース」に至るまで全部青色。どんだけ青が好きなんだ。
 あと、アオハルの方の青じゃなくて「暗い影を落としている青」なのが好き。透き通る爽やかな色ではなく、底の見えない海の漠然とした畏怖を感じさせるような暗さ。本作の「冷たいストーリー」にすごくハマっている。そういえばホラー作品ってなんとなく夏のイメージかも。なんでだろ。
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 『少年ジャンプ+』にて2017年から連載されていた、田中靖規による漫画が原作。
 制作はOLM。監督は『古見さんは、コミュ症です。』総監督の渡辺歩。シリーズ構成はMAPPA作品でおなじみ瀬古浩司。キャラクターデザインは『メジャー2nd』第2シリーズでキャラクターデザインを担当している松元美季。音楽はみんな大好きMONACA岡部啓一高田龍一帆足圭吾)。

ヒーラー・ガール

 平和な世界のシンフォギア。架空の医療技術を学ぶ医療研修生を描く医療ドラマ。
 冒頭のシーンを観て「声だけで人間の傷が回復するって怖くない?」という不安を抱いたであろう視聴者に対し、「ちゃんとした免許を持ってない人間が医療行為をしてはいけない。次やったら勘当するからな、二度とやるんじゃねえぞ」と師匠に釘を差される主人公の描写を持ってくるあたり、本作は外連味のある世界観ながら「医療行為」をちゃんと描こうとしてる感が伝わってくる。
 いわゆるファンタジー世界の作品と違って「ヒーラーがいないから傷病人を治療できない!」ではないところが特徴。かなりリアル志向の現実世界が舞台なので、擦り傷は絆創膏を貼って手当をするし、急病の人が現れれば救急車を呼ぶし。その中で「第3の医療」を志す主人公たちに出来ることは何?という問い掛けはドラマとしての強度が高い内容に。ファンタジー要素を抜きにしても、昨今のアニメにないタイプの真面目な医療ドラマ作品だと思う。それにしても歌くっそうめえな。メインキャストは新人って聞いてたのに。
 1話は「まだ見習いの3人がくすぶってるお話」になるのだけれど、まだ足踏みしてて話が進まないパートもテンポよくシーンチェンジしていくので観てて飽きない。一人がギャグに走ったら残りの二人が止めるのでギャグに振り切らない。ゆるいノリを維持しつつ大きく脱線せずに話が進んでいくので全くダレないのもすき。
 歌が身近にある環境のお話ということで、1話あたり4回くらいミュージカルパートが存在するという大胆な構成。そのため、挿入歌だけでも凄まじい曲数に。挿入歌アルバムに全部収録されるわけではないみたいなので、サントラ買うしかないか。
 日常会話→急にミュージカル開始→日常会話という自然な流れのシーンが何度も登場するけれど、これどうやって構成考えてるんだろ。尺の読み方が死ぬほど難しそうだし、まず曲がないと絵コンテ作れないじゃん。その曲もまず脚本がないと作れないし。謎技術だ。
 背景すげー。担当しているのはP.A.WORKS作品でおなじみスタジオイースタースタジオイースターが関わるアニメの「ご当地アニメ」感ほんとすごいよね。ちなみに主人公たちが住んでいる診療所のモデルは青森県五所川原市にある太宰治記念館なんだって。へー。

©Healer Girl Project

 あと壁に張ってある小物が芸コマ。よく見ると各部屋に楽譜が飾ってあり、本作における「歌」の文化的背景を推察する上での補完材料になっている。ここまでくるともうSFだ。

©Healer Girl Project

 ミュージカルにおける歌唱シーンって、単に音楽と歌だけでなく、ダンスや表情も含めて一つのお芝居じゃない?本作のOPではその「歌っているときの表情のお芝居」までめちゃくちゃ丁寧に作画しててやばい。しかもなんか空飛んでるし。アニメで描くミュージカルの極北=ディズニー作品(特にピクサー)とするなら、本作はそこを目指してるんじゃないかってくらいに凄まじいOPに。良い最終回だった(開幕4分での率直な感想)。
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 同名の声優アイドルユニットを中心としたメディアミックス作品を原作とするオリジナルアニメ。
 制作は『フリップフラッパーズ』『Princess Principal』『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』のStudio 3Hz。監督は『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』『CØDE:BREAKER』『灼熱の卓球娘』の入江泰浩。シリーズ構成は『怪物事変』『スケートリーディング☆スターズ』『境界戦機』の木村暢。同氏は『Princess Principal Crown Handler』にて大河内一楼からシリーズ構成・脚本を引き継いでいる人だったりする。
 キャラクターデザインは『Princess Principal』の秋谷有紀恵。髪の色彩や衣装デザイン、表情も含めてすごい好き。半分ファンタジー、半分現実の世界観において「半分魔法少女、半分普通の女の子」みたいなデザインやばすぎる。
 また、1話の筆頭原画マンは鶴窪久子(1話の作監も担当)。同氏は『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』にて秋谷有紀恵と一緒に総作監を担当しているので、なおさら黒星紅白さんの絵っぽい雰囲気になっている。特に師匠。

©Healer Girl Project

であいもん

 跡つぎは小学生!
 京都のとある和菓子専門店の日常アニメ。若い頃から上京して暫く経ったある日、親の都合で帰省→そのまま家業を継ぐことになって云々…というお話から始まるところは『うどんの国の金色毛鞠』と似ているけれど、本作の実家はなんせ京都なので、「寂れた田舎で個人経営の飲食店をやっていくのは大変なんやで」というニュアンスの地方創生モノとは違う大変さが描かれている。てか店でかいな。
 二人の主人公を通じて描かれる「居場所」というテーマが凄く良い。「実家にもロクに連絡入れないで東京で10年も好きなことやってたやつが、今更実家に帰ってきてタダ飯食ってんじゃねえぞ」とか「居候させてもらってるのに、仕事で迷惑かけちゃったら自分がここに置いてもらっている意味がなくなってしまう」とか。和菓子を通じて許しを得ていくストーリーめちゃくちゃエモいんだが。
 扱っているテーマといい、シリーズ構成の吉田玲子が関わった劇場版作品『若おかみは小学生!』を思い出す。ほんといい映画なのよ。
 日本の食(特にスイーツ)をテーマにしたアニメって、『鹿楓堂よついろ日和』以来かな。あっちは創作系のお菓子がメインのアニメだったけど、本作は割りとトラディショナルなお菓子が多いのも違うところ。練切食べてぇ。
 背景だけでなく、全体的にタッチが柔らかい。もっとお仕事アニメ然とした感じの雰囲気を想像していたけれど、「人情コメディ」という雰囲気の方が強いのかな
 和菓子がテーマの作品ということで、たくさんの和菓子が登場するのだけれど、和菓子の作画がすんごい。また、和菓子自体そもそも見た目が美しい食べ物ということもあり、マジで芸術品みたいになっている。これリアルでも食えるの、すごない?もし自分が海外在住だったら「え、こういう食べ物があるん?」ってなるやつ。普通に売ってるおまんじゅうですらめちゃくちゃ美味しそう。
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 『ヤングエース』にて2016年より連載中の、浅野りんによる漫画が原作。
 制作は『メルクストーリア -癒術士と鈴のしらべ-』『異世界チート魔術師』『ご注文はうさぎですか? BLOOM』のエンカレッジフィルムズ。監督は『蒼の彼方のフォーリズム』『セントールの悩み』『メルクストーリア -癒術士と鈴のしらべ-』の追崎史敏。シリーズ構成は『のんのんびより』『アルテ』『ブルーピリオド』『平家物語』の吉田玲子。監督とは『蒼の彼方のフォーリズム』で一緒に仕事をしている仲で、制作のエンカレッジフィルムもまた同作品に下請けで参加していたりする。キャラクターデザインは『セントールの悩み』『魔法少女サイト』の渋谷秀。淡い雰囲気の背景美術は『メルクストーリア -癒術士と鈴のしらべ-』に引き続き、スタジオじゃっくが担当している(美術監督:空閑由美子)。

群青のファンファーレ

 競馬のお仕事アニメ
 JRA競馬学校に入学した、騎手見習いのお話。実在の「競馬」を裏側から描いていくドラマ作品になっていて、普通に勉強になる。
 同じく競馬を題材にした作品『ウマ娘 プリティーダービー』は、競馬における「スポーツ性」にフォーカスを当てた作品になっているが、本作はもう一つの側面である「興行」についての掘り下げが丁寧。学校は「スポーツとしての競馬を学ぶプロスポーツクラブ」であり、同時に「お仕事として競馬に関わるためのノウハウを学ぶ新人研修」でもあるため、
だんだん主人公たちが「新人研修を受けている新社会人」に見えてくる。全体的にお仕事アニメ感が強く、最近だと『白い砂のアクアトープ』の、特に後半を思い出す。特に主人公は元アイドルという肩書きなので、競馬の2面性に戸惑う姿が印象的。「本当にやりたい事が見つかったから」という理由で、プロとしてのエンターテイナーを辞めたけれど、実は問題の本質は何も解決してなかったりして。
 憧れのジョッキーに言われた「金を稼いでいないやつは全員素人だ」の重みがすごい。プロとしての資質が、「才能がある」「実力がある」「熱意がある」じゃなくて「金を稼いでいる」なのは、特に「スポーツとしての競馬」しか見ていない主人公を強烈に突き放しているよね。
 それにしても馬でかいな。レースシーンは当然のように実在のレース実況風に描かれているのだけれど、「ウィニングポスト」で知られるコーエーテクモゲームスによる映像制作協力、実況はラジオNIKKEIのアナウンサー。そこまでやるともう完全に競馬の実況なのよ。併せて主人公たちが馬、騎手それぞれの戦術を解説してくれるので、むしろ素人に優しいまである。めっちゃ競馬してんなー。

カメラワークもそのまんま競馬実況©Fanfare Anime Project

 ちょっと面白いのは、ウマ娘と本作でのレースシーンの共通点が「お客さんの熱気が凄まじい」というところ。実際に競馬場へ行ったことのない側の人間としてはまだピンと来ていないのだけれど、作品が違ってもお客さんの熱狂っぷりが変わらず描かれているってことは、実際はもっと凄いんだろうなぁ、って。
 あと加藤誠監督の作品、マジで心象風景をアニメーションにするのが巧すぎ。2話の「ラジオの実況中継を通じて、耳だけで見ていた心象風景としての競馬を映像化したシーン」みたいなザ・心象風景もそうだし、特に「一人称視点で見えている景色の描写」の使い方。過去の作品でもちょくちょく一人称視点の描写はあったけれど、本作は特にこの描写が多彩。やが君2期はよ。

©Fanfare Anime Project

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 オリジナルアニメ。制作は『RELEASE THE SPYCE』『荒ぶる季節の乙女どもよ。』『アイ★チュウ』のLay-duce。監督はTROYCA作品『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』『やがて君になる』『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 {魔眼蒐集列車} Grace note』の加藤誠。よそのスタジオで監督するのは初かな。
 TROYCA繋がりで言うと、音楽が『アルドノア・ゼロ』『Re:Creators』で劇伴を担当していた澤野弘之が本作にも参加している。同氏の音楽も相まって、全体的に重厚な雰囲気の作品に。
 シナリオのメインライターは『バビロン』『アイ★チュウ』『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』等で脚本を担当している福島直浩。
 キャラクターデザインは『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『エロマンガ先生』挿絵を担当していることでおなじみ、かんざきひろ氏。そのせいか、絵の雰囲気がちょっとA-1 Picturesっぽい。

可愛いだけじゃない式守さん

 式守さんは守りたい
 とある高校生カップルの日常アニメ。式守さんも彼ピも、共に高校生らしさを感じさせる不器用さを感じさせる等身大なキャラで、都度周りからあれこれアドバイスを貰いながらお付き合いをしていくのだけれど、「男子ならこうすればモテる!」とか「女子はこうしたほうが男子にウケる!」みたいなテンプレのアドバイスを、持ち前の不器用さですべてはねのけてしまう様はいっそ清々しい。
 でも「好きだけどたまに可愛くないところがある」じゃなくて「可愛いところも好きだし、かっこいいところも好き」なんだね。お互いに「男性らしさ」「女性らしさ」みたいな呪縛から(完全ではないけれど)開放されていて、とても素敵なカップルやんけ。
 また「そうじゃないところも見せたくて陰ながら努力する、いじらしい姿」を丁寧に描いていて好き。特に3話の映画デート回では、クローゼットから服を沢山引っ張り出してきて、どれを着るか迷っていたり、鏡台の前に化粧品が出しっぱなしになっていたり、ファッション雑誌とにらめっこしながら「可愛いって何やねん・・・」みたいな顔して悩んでいる式守さんの描写があって、その後に当日バッチリ決めてきた式守さんを見た主人公が「今日の式守さんはめちゃくちゃ可愛い」と言葉を漏らす、という流れが素敵。「普段の式守さん」を見て感じた「かわいい」と、「可愛いと思われたくて一生懸命努力してきた式守さん」を見て感じた「かわいい」のニュアンスをちゃんと分けて描いているので、「そもそも普段の着飾ってない可愛い式守さんが好きだから、何着ても可愛いよ」じゃなくて「素の可愛さも、服もメイクも完璧に仕上げてきている式守さんの可愛さも、両方好き」っていう。大好きじゃん。てか式守さん、部屋着も家用メガネも男性モノっぽいチョイスなのギャップありすぎて草。

©真木蛍五・講談社/式守さん製作委員会

 主人公カップルに限らず、サバサバした性格の女の子がるんるんしながら髪をリボンで止めてたり(しかもサイドポニー)とか、見た目ふわふわしてる女の子が逆に性格サバサバしてたりとか。なんかいろいろ自由。
 また、純粋に表情が凄く魅力的。アニメでは尺をたっぷり使って二人の表情変化を描いているので、非常にハートウォーミングな作品に。特に2話ラストのシーンがめっちゃエモかった。
 全体的なキャラデザも好き。式守さんは暖色系の髪色に寒色系の差し色で、すこし引き締まった印象。そしてなぜか全体的にシャープな輪郭の線画。また、彼ピの輪郭は曲線で表現されていて、より女性的になっているのが印象的。1話冒頭の一緒に歩いているシーンを横から見ているカットでは、式守さんのほうがより直線的な線が多いのが印象的。あと、式守さんのほうがちょっとだけ背が低いところが凄く好き。

©真木蛍五・講談社/式守さん製作委員会

 攻撃的な性格かつ2面性を持ったキャラでありながら、テンプレートとしての「ヤンデレ」みたいな要素が薄い珍しいキャラクターだよね。
 それにしてもED超かわいいんだが。制作は「HURRAY!」という映像制作会社で、TVアニメの映像制作をするのは初かな。パンアウトを使った映像のテンポ感が凄くクセになる。
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 Twitterで公開していた真木蛍五による漫画から始まり、2019年より『マガジンポケット』にて連載中の漫画が原作。
 制作は動画工房。監督は『イエスタデイをうたって』『先輩がうざい後輩の話』の伊藤良太。副監督は『ぼくたちのリメイク』副監督の山中翔平。シリーズ構成は『いつだって僕らの恋は10センチだった。』『アイ★チュウ』『先輩がうざい後輩の話』『ダンス・ダンス・ダンスール』『ヒロインたるもの!』の、成田良美。割りと甘めなラブコメを担当することが多い同氏が関わっていることもあり、本作もまた血糖値が高め。キャラクターデザインは『NEW GAME!』『ダンベル何キロ持てる?』『魔王城でおやすみ』等同スタジオ作品ではおなじみ菊池愛。
 音楽は『からかい上手の高木さん』『みだらな青ちゃんは勉強ができない』『恋と呼ぶには気持ち悪い』『東京リベンジャーズ』『先輩がうざい後輩の話』の堤博明。作風的にもからかい上手の高木さんを想起させるような劇伴がちょくちょくあって、自然とほっこりしちゃう。

阿波連さんははかれない

 ダウナー系カップルの日常アニメ
 「他人との間にATフィールドを普段から展開してる割に、クラスメートとは仲良くしたくて、ワンチャン仲良くできそうな人とついゼロ距離のコミュニケーションしちゃってドン引かれて、自己嫌悪からのATフィールド展開」というループ。高校生の時にさんざんやったアレをテーマにしたコメディ作品。ある意味、本質の部分は某高木さんや某上野さん、某古見さんと通じるものがある。
 二人の日常のやり取りを通じて、距離感を測りかねている彼女の逡巡する姿と、彼氏の包容力に癒やされる。次に何をしてくるかわからない阿波連さんのアクションを待つ時間(緊張)と、主人公のリアクション(緩和)のテンポ感がゆるくて心地よい。
 また、阿波連さんに限らずほぼすべての登場人物が距離感を測りかねており、最終的にボケ合戦になってて草。距離感を間違えた阿波連さんに対し、カウンター気味に主人公も距離感を間違えるボケを重ねてくるので、もはやすれ違いコントになっている件。この作品にツッコミはおらんのか。
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 ウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』にて2017年より連載中の、水あさとによる漫画が原作。同氏の作品がアニメ化されるのは『デンキ街の本屋さん』以来かな。
 製作は集英社・BILIBILI(ほぼ単独出資じゃん)。制作は『ネコぱら』『裏世界ピクニック』のFelixFilm。総監督は『火ノ丸相撲』『ネコぱら』『NOBLESSE -ノブレス-』の山本靖貴。監督は『啄木鳥探偵處』の牧野友映。同氏は今期のアニメ『コタローは一人暮らし』でも監督を務めている。
 シリーズ構成は、『亜人ちゃんは語りたい』『寄宿学校のジュリエット』『ホリミヤ』の吉岡たかを。ラブコメの中でもかなりほっこり系のイメージが強いんだけど、本作もわりとほっこり系。
 ゆるいキャラデザを担当しているのは、実は『刀使ノ巫女』『かぐや様は告らせたい』『RobiHachi』の八尋裕子。音楽は神前暁MONACA)が担当しており、スタッフィングの気合がなんかすごい。

恋は世界征服のあとで

FOD独占配信

 喜劇版ロミジュリ
 敵対する国や組織に所属する異性同士の恋愛を描いたラブコメ作品といえば『寄宿学校のジュリエット』『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』が記憶に新しいけれど、本作のノリは前者に近いかも。かなりコメディタッチな内容。
 同スタジオの作品『ド級編隊エグゼロス』もまた特撮作品をオマージュしたラブコメ作品で、後半の話数でいきなり戦闘シーンの作画クオリティが急に凄いことになるんだけど。本作の1話はそれを彷彿とさせる。
 「HEROは、HとEROで出来ている!」がキャッチフレーズのエグゼロスと違い、本作は割りと純情なラブコメなのでお父さんやおかあさんといっしょに見ても大丈夫なやつだぞ!しらんけど。
 話は逸れるけど、2016年の映画「シン・ゴジラ」がヒットしたあたりから特撮ブームの兆しを日々感じている昨今、ああいった超大作(日本映画の中では、というキャプションが付くけど)だけでなく「スキマ産業的な特撮作品」もまたどんどん制作されている事の方がむしろ、特撮の裾野が広がっている=市場が大きくなっている証なのかなぁ、なんて思った。『怪人開発部の黒井津さん』はいいぞ。
 ヒロインを演じるのは、先のアニメ『86』にてブラッディレジーナ・ミリーゼ大尉を演じた長谷川育美。なんかこう「不幸うつくしい系」っていうか、逆境に立ち向かう頼りない背中が儚くて可愛いキャラと声がマッチしすぎ。普段は快活な喋り方をするややハスキー声の人なので、アニメで声を聞くたびにそのギャップに驚く。どうやってあの声出してるんだろ。
 戦闘シーンもラブコメのシーンも別け隔てなく絵力が強いため、特撮作品的な魅力を損なうことなくラブコメをしていてちょっとエモい。当事者にとって「敵との戦い」と「二人だけの時間」は同じくらい大切なんだな、って。決して片手落ちじゃないところがすごくピュアピュアする。
 OPの『恋はエクスプロージョン(feat.田村ゆかり)』(作曲:オーイシマサヨシ)でもう草。めっちゃいい曲なので聴いてほしい。アニソンのような甘さを残しつつクリスマスソングのような多幸感、それでいてオーイシお兄さんのボーカルによって印象が引き締まっているので戦隊モノのカッコよさも兼ね備えている。そういえばオーイシお兄さん、グリッドマンのOPやってたっけ。


 『月刊少年マガジン』にて2019年より連載中の漫画が原作。原作:野田宏、作画:若松卓宏。
 制作は『ド級編隊エグゼロス』『幼女社長』『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』『社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。』のproject No.9。監督は『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』『ダイヤのA actⅡ』助監督、『幼女社長』で監督を務めたいわたかずや。シリーズ構成は『幼女社長』シリーズ構成の杉澤悟。実質幼女社長。

エスタブライフ グレイトエスケープ

FOD独占先行配信

 SF世界のきれいなブラックラグーン
 「逃し屋」というお仕事を通じて、いろんな人達の人生を描くヒューマンドラマ。谷口悟朗ということもあり、特に「その状況から逃げたい中年男性」が登場する。そういえば先のアニメ『バック・アロウ』は「長いものには巻かれろ」とか「他力本願」とか、かっこ悪いセリフをカッコよく叫ぶ人たちのお話だったけど、本作もまた「逃げたい」という後ろ向きな感情に行動が伴うことで「一周回ってアリ」という謎の説得力を持つシナリオに昇華してて、素敵だなって思う。視聴者が日々漫然と抱いているであろう生きづらさみたいなものにフォーカスを当て、エンタメに昇華している作品。1話完結で後味良くてすき。
 舞台はSF近未来のネオ東京。といいつつ東京が魔改造されすぎて『アクダマドライブ』の大阪ばりに外連味あふれる世界に。妙に近未来的な要素とレトロ要素が入り混じってて文明レベルが謎。


 戦闘シーン、画面くるっくる回すやんけ。アクションシーンはさすがポリゴン・ピクチュアズって感じで、時間・空間の操作技術がほんとすごい。また、スタイリッシュアクションっぽい劇伴もかっこいい。藤澤慶昌による音楽は割りとオケのイメージが強かっただけに、ジャズっぽい劇伴はちょっと意外だしスパイアクションとしての完成度に大きく貢献してるなーって。「プリンセス・プリンシパル」っぽい雰囲気もあるけど、あっちがダーク系なのに対し本作はライト系なので、なんやかんや気軽に楽しめるのはこっちかも。


 谷口悟朗原案による新規IP。その第1弾がグレイトエスケープ、なんだって。他にも映画とかスマホゲーとか展開予定とのこと。
 制作は『空挺ドラゴンズ』『GODZILLA』『Levius』のポリゴン・ピクチュアズ。監督は谷口悟朗・・・ではなく、『ご注文はうさぎですか?』『ようこそ実力至上主義の教室へ』『スロウスタート』の橋本裕之。シリーズ構成は『フルメタル・パニック!』『コップクラフト』『コップクラフト』でおなじみ賀東招二。ゴリゴリのSF作品感。キャラ原案は『GOZZILLA』『HUMAN LOST 人間失格』のコザキユースケ。コンセプトアートをINEIスタジオの富安健一郎が担当しており、街を一望するカット等の背景がめちゃくちゃ印象的なアニメに。

RPG不動産

 『えんどろ~!』のその後。下町で働く不動産のお話。
 ファンタジー世界を舞台にした作品といえば「魔王軍との戦い」とか「隣国との戦い」とか、多少なりとも血みどろ要素が欠かせないお話が多い中、本作は人間vs魔族の対立が終わって15年後(妙に具体的な数字)という世界で、元戦闘系ジョブ(戦士とか僧侶とか)だった人たちのセカンドライフを「新居を斡旋するお仕事」を通じて描く作品。仕事を通じてお客さんの人生の変化を垣間見る1話完結のストーリーになっており、『ドラゴン、家を買う』でいうところの魔王視点みたいな作品。
 また、とりあえずお茶しながら歓談に勤しむシーンと、彼女たちのかしましい日常コントの多さが「ザ・きらら作品」でありながら、ファンタジー世界のアニメとしては逆に斬新。ちっとも冒険しないやんけ!「中世風ファンタジー」というより、『ご注文はうさぎですか?』と同じ「おとぎ話」ジャンルだったのね。

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 『まんがタイムきららキャラット』にて、2018年から連載中の、険持ちよによる漫画が原作。
 制作は動画工房。監督は『世話やきキツネの仙狐さん』、『池袋ウエストゲートパーク』の越田知明。同士は動画工房のきらら作品『アニマエール!』7話の絵コンテを担当している。シリーズ構成は、動画工房作品でおなじみ中村能子。監督とは『世話やきキツネの仙狐さん』で一緒に仕事をしてたりする。
 キャラデザは『あっくんとカノジョ』、『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』、『CUE!』の谷口元浩
 音響監督は『私に天使が舞い降りた!』、『恋する小惑星』、『放課後ていぼう日誌』等、動画工房作品でおなじみ高寺たけしが担当しているので、日常のわちゃわちゃ感のお芝居が安定して面白い。

ブラック★★ロックシューター DAWN FALL

Disney+独占配信

 美少女戦士版ターミネーター
 とある兵器の存在理由についてのお話。『ターミネーター』『86』『Vivy』よろしく高度に発展した文明がある日、AIたちの氾濫により文明の崩壊まで追い詰められてしまったという世界のお話。人類が反撃のために造った人造人間であるブラック★★ロックシューターとその仲間が決死の電撃作戦を行うが・・・云々という前日譚から始まる。
 「元人間だけど今は戦術兵器である少女」という側面にフォーカスを当てたストーリーになっていて、「何のために戦うのか」「誰のために戦うのか」「自分は何のために生きているのか」みたいな、BRS自身が自らの存在理由を追い求めていくという縦軸みたい。ちょっとアホでかわいい。
 主人公を演じるのは、旧版の花澤香菜に代わり石川由依に。主人公の生い立ちや感情の乏しさ、存在理由を求める物語といい、同氏が主演を務めている作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のヴァイオレットちゃんみがあるよね。
 本作の監督である天衝の手掛ける作品は特に疾走感のあるアクションシーンが印象的なんだけど(それこそアズレンの1話とか)、3DCGになってもやっぱりキレッキレだった。特にカメラワーク。3DCGアニメにありがちな「全体的にのっぺりしていて、緊張感のないアクションシーン」が皆無だし、物や人物を奥行きのある配置にすることで「隠したいものを隠す、見せたいものを見せる」っていう画作りを徹底しているので、雰囲気はどちらかというと実写ドラマに近いかも。観てて飽きない。
 あとキャラクターの意匠がケレン味溢れすぎ。敵も味方もどういう発想でそのデザインになったんや。私は直撃世代じゃないのでどこらへんが本作のオリジナルなのか知らないけれど、もしかしてBRSってマッドマックスみたいな感じ?
 背景美術が凄い。文明崩壊後の大陸が舞台なので、どこまでも広がる荒野と破壊されたビル等の建造物。一瞬しか映らないけれど凄まじい書き込みの背景がとても多く驚いた。遠景まで高解像度なカットを使いまくる事ができる点はやっぱり3DCGすごいなーって思いながら観てると、その中に「こういう世界観のゲームを制作しています!」っていう凄まじいコンセプトアートが紛れ込んでてびっくりする。なんやこの廃工場・・・瓦礫全部描いたんかこれ・・・。
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 2007年に始まったメディアミックス作品が原作。2012年にノイタミナ枠で放送されたアニメ作品『ブラック★ロックシューター』以来のリメイクとなるが、ストーリー的な繋がりは無い。
 制作は『アズールレーン』『五等分の花嫁∬』のバイブリーアニメーションスタジオ。同スタジオのCG部門がメインで制作しており、本編はほぼ3DCG。
 監督は同スタジオ代表の天衝。グリザイアシリーズ、アズレンも含むバイブリーアニメーションスタジオ作品はすべて同氏が監督を務めている。
 シリーズ構成は『ベルセルク』『revisions リヴィジョンズ』『魔法少女特殊戦あすか』の深見真。きびしいせかい系作品ではすっかりおなじみの人で、本作もまたポストアポカリプス作品になっている。Disney+で配信しているって言うから、てっきりもうちょいライトなやつかと思っていたのだけれど、かなりエログロ要素多め。
 キャラクターデザインは『Rewrite』『アズールレーン』『Summer Pockets』の野中正幸と、アズレンで一部作監を担当していた中川耀。主人公の目元から更に生気が失われ、より兵器っぽい表情に。

テルマエ・ロマエ ノヴァエ

Netflix独占配信

 古代ローマのファンタジー歴史ドラマ。上戸彩が演じてたキャラおらんやんけ!
 1話は前日譚なので、本編は2話から。実写版は観たことがあるけれど、冒頭シーンのインパクトの強さ(阿部寛が風呂から飛び出すシーン)はアニメで見てもやっぱり面白い。
 また、劇場版と違い十分な尺があるので、当時のローマの人々の暮らしや文化、風呂場の構造(建築)が色々描かれているので、歴史ドラマとして面白い。てか性風俗の話は出てこないのね。
 加えて、主人公の心情描写が印象的。本作の主人公は異世界(現代の日本)に転移し、そこで得た知見をもとに斬新なお風呂を開発するという過程を経ながらどんどん名声を得ていくのだけれど、元々がプロの設計士のため他人の知識を利用することに強い抵抗があり、自身の発明が評価されるたびに「人の褌で相撲を取る自分マジで最低だな」という葛藤が丁寧に描かれていて面白い。つらそう。
 主人公を演じるのは、同スタジオのオリジナルアニメ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』に引き続き津田健次郎。ローマと日本を行き来する唯一の人物ということで「ローマ人の言葉が日本人に伝わらないシーン」でまさかのラテン語を話している。なんでもできるのなあの人。あと主人公が異世界の超技術を目の当たりにし、打ちひしがれているときのモノローグがめっちゃ面白い。
 本編は、アニメパートの後に「原作者・ヤマザキマリが各地の温泉をめぐるロケ企画」がついてくる。同氏はかつてローカル局の番組でリポーターとかしてた人だったのね。しらんかった。ちなみに初回は草津。ラストに「もし各地の温泉をルシウスが訪れたら?」というテーマの絵で締めくくる。これが割りと楽しみ。
 音楽はほぼ全てオーケストラ。ここらへんの演出はやはり、名高き邦画版リスペクトなのかな。てかOPもEDも全部クラシックなのは流石に草。てかOPもしかして全部日本語かこれ。


 『コミックビーム』にて2008年から2013年まで連載されていた、ヤマザキマリによる漫画が原作。続編の連載はまだ未定らしい。
 制作は『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-』『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』のNAZ。監督とシリーズ構成は、『アフリカのサラリーマン』でタッグを組んでいた畳谷哲也、百瀬祐一郎。また制作協力として『このヒーラー、めんどくさい』の寿門堂が参加している。

くノ一ツバキの胸の内

 恋に恋する女の子・天川ユカリ(からかい上手の高木さん)が主人公になった世界の本崇一朗作品
 おでこ。男子禁制の里に暮らす女学生達が、勉学に勤しむ傍らめっちゃ思春期してる日常アニメ。「男を見たことのない女の子の中にある日突然男がやってきて云々」っていうラブコメハーレムモノではなく、かつ「男?そんなものこの世界にはいないけど?」という百合世界でもない。「恋とはどんなものかしら」と、日々悶々とする女の子のお話。
 からかい上手の高木さんに登場する3人娘の日常パートみたいなお話が中心。班ごとのコミュニティそれぞれにゆるいストーリーがあって、話数ごとにそれぞれお当番回がある。みんなかわいい。登場人物がたくさんいるため、無限に日常エピソード描けるタイプの作品だった。
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 背景美術を担当するのは美峰。舞台が人里離れた森の中なのだけれど、非常に森の作画が凄い。木漏れ日の具合とか枝の感じとか。特に登場人物が木に登りがちなので、垂直方向の空間的な広がり方が凄い。

©2022 山本崇一朗小学館/製作委員会の胸の内

 あと川。4話Bパートの小川とか、水の透明感や川底の岩、落ち葉や小枝の作画、岩の下流側に発生しているカルマン渦まで丁寧に描いててヤバい。こだわりポイントそこなのか。


 おでこフェチで知られる作家・山本崇一朗による漫画が原作。『ゲッサン』にて、2018年から連載中。
 制作は『シャドーハウス』『明日ちゃんのセーラー服』『東京24区』『その着せ替え人形は恋をする』のCloverWorks。
 監督は、HoneyWorksのアルバム『東京オータムセッション』ミュージック・クリップで監督を務めた角地拓大。先のアニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』もそうだったけど、TVシリーズじゃなくてミュージック・クリップみたいな短編アニメで監督を経験した人にTVシリーズの初監督を任せちゃうパターンって他のスタジオ作品だとあんまり見ないので、CloverWorksの「若い世代にどんどん任せてみよう」っぷりがすごい。ちなみに監督の角地拓大氏は1991年生まれ(本人Twitterより)なので現在31歳らしい。若っ。
 シリーズ構成は、アイカツ!シリーズや『トロピカル~ジュ!プリキュア』『魔入りました!入間くん』で一部脚本を書いている守護このみ。キャラクターデザインは『ブレンド・S』『CONCEPTION』『ご注文はうさぎですか?』の奥田陽介

勇者、辞めます

 中間管理職ユウシャ
 ひょんなことから魔王と手を組んだ勇者のお話。勇者としての役割を全うした後に人間界から追放された勇者が、徒花となって魔王軍のコンサルに就職するという闇落ち展開のわりに、明るいノリで描かれているコメディ作品。
 独りよがりすぎて微妙に同情できない主人公すき。なんやかんや追い出されたあと、人類に仇をなす存在となるお話としては「追放系」というジャンルになるのかな。アニメ化された作品としては『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』における勇者(主人公ではなく、主人公の妹)の扱いに近いけれど、あっちが「追放された主人公が、なんやかんや妹(勇者)を救うお話」なのに対し、本作は「追放された主人公(勇者)が、なんやかんや魔王(とその臣下たち)を救うお話」という感じなので、そこのミステリー要素を紐解いていくという縦軸は『まおゆう魔王勇者』のような趣も感じる。
 「勇者が魔王軍に寝返る」っていう突拍子もないような展開ではあるけれど、「化け物と単独でやりあってる勇者は多分化け物だよね」という肌感覚としての畏怖はわかるし、結果として勇者が追い出される形になる展開は説得力があって好き。で、何でもできるスーパーマンの再就職先が、なんでもやらされる中間管理職というのがめっちゃリアル。できるんならやらないとね。
 一方の魔王軍の描写も面白くて、まずテンプレとしての「魔王直属の幹部たち」の掘り下げが丁寧。ああいう幹部は物語上、勇者に倒されるために存在するロールなので戦闘特化だったり非常に幼稚な思考だったり、とてもじゃないけど「部下を統率する組織のトップ」みたいな役割に向いていないメンツで構成されているのが恒例。本作もまたそういうテンプレを踏襲したようなメンツなのだけれど、「組織における統率者としての幹部の日常」を中心に描いた作品のため、同じテンプレ幹部であっても描かれ方が斬新。2話の頭脳派まぞくはさておき、3話の幼女幹部とかやばいよね。個性的な部下に振り回されながらも、頑張って会社がうまく立ち回るよう奔走する某中間管理職のトネガワさんを思い出さずにはいられない。
 これはメタ的な話だけど、幹部が戦闘特化な性格や個性を持っているのは、勇者が戦闘を通じて魔王軍を討ち滅ぼすという行動を取っているため、シナリオの都合上幹部は強力な敵である必要性からこういったテンプレ幹部が生まれている、と解釈できる。とすれば、その個性が原因で彼らが幹部としての問題を抱えているならば、勇者がケツを拭いてあげるのが道理なのでは?という壮大なブーメラン構造になってるのかな、なんてことを思った。


 「カクヨム」にて2017年から連載されていた、クオンタムによる小説が原作。書籍版が2022年から『富士見ファンタジア文庫』にて刊行されている(イラスト:天野英)。
 制作は『アサシンズプライド』『ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。』『くまクマ熊ベアー』『チート薬師のスローライフ』のEMTスクエアード
 総監督は同スタジオの作品『くまクマ熊ベアー』や『最果てのパラディン』で監督を務めている信田ユウ。監督を『くまクマ熊ベアー』シリーズディレクター石井久志が担当。キャラクターデザインも『ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。』『くまクマ熊ベアー』の中野裕紀なので、実質くまクマ熊ベアー。シリーズ構成は『体操ザムライ』『ゾンビランドサガ』の村越繁

アオアシ

 現代のJユースを舞台にした、プロサッカーの世界
 ひょんなことからプロのサッカークラブに挑戦することになった少年のお話。序盤のお話は「普通のサッカーとJユースのサッカーの違い」がテーマ。主人公がJユースの入団テストを受ける過程を通じて、「高校の部活で楽しくサッカーをする」という事と「プロとしてサッカーをすること」がどう違うのか、を学んでいく。Jユースの描写はリアル重視で、リーグの仕組みとか詳しい解説がちゃんとついてくる。本作はプロのお話から始まるところがかなり特殊だよね。
 で、その入団テストで描かれているサッカーの描写が面白い。サッカーをテーマにした作品といえば「主人公の圧倒的なスタンドプレイ」が定番だけれど、本作では「主人公より下手なサッカー選手が(入団テストで)登場しない」というレベルの世界なので、開幕から実力差を見せつけられる展開に。つまり「超すごいスタンドプレイをする大型新人を描いたサッカーアニメ」という路線を、最初から投げ捨てているのが印象的。
 そこから「俯瞰的で、戦術的なサッカーにわずかな望みを見出す」という演出はグッとくるし、主人公の見えている視野が急に広がるシーンの描写はすごく新しいと思った。通常、俯瞰的な視野を持つキャラクターは監督とかマネージャーとか、全体の戦術を担当する知識を持った誰かになりがちなんだけど、本作の主人公はそこを担当してるのね。「あえて得点役にフォーカスをしない」のではなく「俯瞰的なサッカーを描いていった結果、主人公のポジションがオフェンスじゃなくなった」みたいな。最初はオフェンスだけどそのうちMFとかになるんかな。
 それにしても、ボールの足さばきの作画の安定感が凄まじい。たまにぬるぬる動くし。集団的なサッカープレーを描く都合上、動いている人物の描写が非常に多い作品なので、作画カロリー凄まじそう。
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 『ビッグコミックスピリッツ』にて2015年から連載中の、小林有吾による漫画が原作。
 制作はいつものProduction I.G。監督は『RELEASE THE SPYCE』で監督を務めた、さとう陽。シリーズ構成は『Free!-Dive to the Future-』『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』『女子高生の無駄づかい』の横谷昌宏。
 原作に引き続き、サッカーの監修にスポーツライター飯塚健司が参加しているため、ガチのプロサッカー戦術を描くことができているみたい。

処刑少女の生きる道(バージンロード)

 無能なナナ異世界道中 

 メタ異世界転移モノ。本作の世界における歴史をざっくり説明すると
・かつて日本人が異世界転移してくる
→なんやかんやあっていろんな恩恵をもたらす
→じゃあ、また日本人を異世界から呼んできたらもっと豊かになるんじゃね?
→権力者が自分の都合で日本人を異世界から呼びまくる
→文化が大きく発展
→『AKIRA』みたいな事故が発生
→秩序が乱れちゃうからそろそろ異世界転移やめようぜ
異世界転移を取り締まる部署が誕生
→ひょんなことから、この部署で働くことになった女の子の物語。

 凄いよね。いわゆる異世界転移モノの定番である「異世界転移をした主人公が、現世での知識や経験を元に異世界で大成する物語と、それに呼応してアップデートされていく世界の秩序」を無邪気に受け入れ続けてきた異世界の人々が、ある日「これ以上受け入れるメリットが無いからあいつら追い出そうぜ」と手のひらクルーした後に築かれた「新しい秩序」として本作の主人公が君臨しているっていう。まさに「次の世代の異世界転移モノ」みたいなジャンルに。
 つまるところ、現実で救われなかった主人公が異世界転移しても救われないという、実に救いのないお話だった。退場の際に呪詛を撒き散らしながら大きな爪痕を残していく様はかなり強烈。
 そんな忌み人達は基本的に問答無用で世界から追い出されてしまうのだけれど、主人公だけは「異世界転移モノ作品の主人公だったかもしれない彼らなりの人格」を決して否定することなく丁重にお引取り願う姿勢を示していて、心情描写もまたすごく丁寧。作者自身の異世界転移系作品に対するリスペクトが端的に描かれているシーンって感じ。
 また、そうして発展してきた城下町の雰囲気もすごく斬新。日本の文化を大いに取り入れた元近世ヨーロッパの街並み、みたいな雰囲気になっていて、経緯も含めて考えると「逆大正ロマンの街並み」という趣向になるのかな。好き。
 で、2話から始まる壮大なガール・ミーツ・ガールの物語。百合作品やんけ!
 特に、主人公の「素性を隠しているときの柔和な印象」と「処刑人としての鋭い印象」がちゃんと絵で表現されていて好き。一連の戦闘シーンの中でも、その2面性が出たり引っ込んだり細かい緩急があって、観ていて飽きない。主人公の若干ちょろい感じ、建前として割り切れていない甘さが、ある意味『SPY×FAMILY』の父と似た魅力があるよね。かわいい。

©佐藤真登・SBクリエイティブ/処刑少女製作委員会


GA文庫SBクリエイティブ)より2019年から刊行されている、佐藤真登によるライトノベルが原作(イラスト:ニリツ)。
 制作は、同じくGA文庫大賞の大賞受賞作品『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』でおなじみJ.C.STAFF。監督は『モンスターハンターストーリーズ RIDE ON』、『本好きの下剋上』副監督の川崎芳樹。シリーズ構成は『食戟のソーマ』『とある科学の超電磁砲』シリーズ構成、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』で一部脚本を担当しているヤスカワショウゴ

おにぱん!

 子供と一緒に楽しめるゆるゆり
 西の果てから上京してきた女の子3人のかしましい日常を描くアニメ。桃太郎モチーフのお話なので、わりと地元・大都会岡山ネタが多く登場する。そういう意味では『八十亀ちゃんかんさつにっき』に近いかも。ショートアニメだし。
 また、監督の作品の中では圧倒的に下ネタとブラックジョークが控えめなので、クセがなくて楽しみやすいよね。タイトルが既に下ネタだけどな!
 何故かアクションシーンが「おはスタ内で放送されているショートアニメ」のクオリティを遥かに超えている。シナリオとかゆるいギャグのノリはすごくおはスタなのに。

 おはスタ内で放送されているオリジナルショートアニメ。制作は『GREAT PRETENDER』『Vivy』『王様ランキング』のWIT STUDIO。同じくおはスタ内で放送されていた箱番組『ガル学。〜聖ガールズスクエア学院〜』に共同制作として参加していた縁かな。
 原案を担当しているのは『魔法使いの嫁』監督の長沼範裕。キャラクターデザイン原案はトマリ氏。原案のほうはもうちょっと大人っぽい感じだった。


 監督・シリーズ構成・音響監督・音楽は、『ゆるゆり』シリーズ、『干物妹!うまるちゃん』シリーズ、『うちのメイドがウザすぎる!』等動画工房作品でおなじみのチーム太田雅彦。そのため本作のノリはだいたいあんな感じになっている。

魔法使い黎明期

 クラスに居場所がない魔法科高校の劣等生
 一応新作扱いではあるけれど、原作者のデビュー作である『ゼロから始める魔法の書』と同じ世界線の話、というか続編。前作の登場人物もちょくちょく出てくるので、気になる人は見てみてね。
 とある魔法学校で魔法を学んでいる生徒たちのお話。魔法使いが迫害されている世界で、ひょんなことから布教活動に赴くこととなった学生たちが主人公で、引率の先生と共に割りとひどい目にあったりしながら成長していく姿を描く作品。会話の小気味よい掛け合いは健在なので、シリアスな内容とは裏腹に結構軽いノリで楽しめちゃうのだ。シリアスな内容なのに。
 本作は「学校の庇護の元に成長する生徒のお話」という点がキモ。ネタバレになるので伏せるけれど、5話から本作のメインストーリーが前作とリンクして動き始めるのでアニメで観ると若干スロースタート気味かも。
 あと、本作はなんせ制作が制作なので、前作にも増してヒロインがめっちゃエロい。


 『講談社ラノベ文庫』より2018年から連載中の、虎走かけるによるライトノベルが原作(イラスト:いわさきたかし)。
 制作は『安達としまむら』『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』『カノジョも彼女』の手塚プロダクション。監督は同スタジオ作品でおなじみ桑原智。今作ではシリーズ構成も担当している。
 キャラクター原案が前作のしずまよしのりからいわさきたかしに変わっているため、全体的にキャラの雰囲気が異なっている(キャラクターデザインは同スタジオ作品で作監を担当していた岩崎令奈が初キャラデザ)。

史上最強の大魔王、村人Aに転生する

 転生した吉良吉影は彼女と静かに暮らしたい。一人ぼっちは寂しいもんな。
 友達が欲しくてがんばる主人公かわいい。けどちょっとキモいな。彼女さえいれば他には何もいらない!っていうスタンスは、『無職転生』の主人公とシルフィを思い出す。ルーデウスは強制的に離れ離れになってたけれど、本作の主人公はゴリゴリに共依存していて毎日たのしそう。急にラブコメ始まるやん。
 特に、主人公の志の低さが好き。友達が学校行きたいって言うから一緒についてきました。卒業できれば何でもいいです。みたいな。某魔法学院のアノス様と違い、世直しとか全然興味なさそう。
 お話の展開としては同じくSILVER LINK.による作品『賢者の孫』に似ていて、いやお前学校に行く意味ねえだろ~からの巻き込まれ系主人公のラブコメハーレム学園モノになっていくのだけれど、前者が「異世界転生モノにおける古典」みたいなポジションなのに対し、本作は様々な古典からネタを引っ張り出してきているパロディ作品としての趣向が強い。特に3話はやりたい放題過ぎてめっちゃ笑った。脚本誰だよ!横手美智子だったわ!
 あと特に目を引くのが、シルリン作品の最序盤に出てくる「噛ませ犬みたいなやつ」の仕上がりっぷり。以前は「なんか、ザ・かませって感じだなー」くらいにしか思っていなかったのだけれど、何作にも渡って必ず登場する噛ませ犬キャラを観ていると、一周回って愛おしくなってくる。手っ取り早く主人公の格を上げるためにしっかりパッケージ化された王道演出のため、表情もより豊かに、セリフもより洗練され、中の人のお芝居も、より小物感を感じやすいお芝居に。

ねっとりパンアップで登場した、スペンサー公爵家の倅くん©下等妙人・水野早桜/KADOKAWA/村人A製作委員会

 また、シルリンが関わっているなろう小説原作のアニメは作品ごとに世界観が似ているため、微妙にニュアンスを変えながらそれぞれ特色のある剣と魔法の世界を作り上げるノウハウを熟知していて、謎の老舗感があるよね。特に魔法の描写。先のアニメ『魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』ではソリッドな印象だった魔法陣も、本作ではかなり華やかなデザインに。なんかネオンサインみたいで綺麗。

©下等妙人・水野早桜/KADOKAWA/村人A製作委員会


 2017年から「小説家になろう」にて連載されている、下等妙人による小説が原作。2018年から書籍版が富士見ファンタジア文庫より刊行されている(イラスト:水野早桜)。
 制作はSILVER LINK.とBLADE。SILVER LINK.異世界転生モノ作品ですっかりおなじみ。BLADEは先のアニメ『いわかける! - Sport Climbing Girls -』を制作したスタジオ。
 監督は『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』『迷宮ブラックカンパニー』『ジャヒー様はくじけない!』の湊未來。助監督は『迷宮ブラックカンパニー』助監督の伊部勇志。シリーズ構成の横手美智子は『ジャヒー様はくじけない!』でも監督とタッグを組んでいる。キャラクターデザインは『天使の3P!』『八月のシンデレラナイン』『ひげを剃る。そして女子高生を拾う』の野口孝行

社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。

 ロリ仙狐さんと、合法で平和なハッピーシュガーライフ
 とある社畜さんの日常アニメ。実在の作品ではないけれど、先のアニメ『その着せ替え人形は恋をする』内で登場する架空の漫画作品『超売れっ子高校生ラノベ作家の俺が毎晩サキュバスに迫られて困っています』みたいな作品で、「何を言っても仕事をやめない主人に業を煮やした幼女が一生懸命ケアしようと奮闘している姿がめっちゃかわいい」という趣の作品。また、幼女は幽霊なので一周回って合法という斬新なアイデアにより安心して楽しめる。
 また、各話ごとに「『かわいい』しか言わない天の声」を担当する声優がいる。オーコメほど主張はしないが、かといって気にならないほど控えめでもない謎の存在感よ。原作ママではあるけれど、アニメは特にこの天の声によって「社畜さんが幼女幽霊に癒やされている様子を見て癒やされたい(天の声の)話」という構造になっている。誰だよ。
 1話で幼女を演じているのは、プロの幼女でおなじみ日高里菜。実は「社畜さん」より「幼女幽霊」の方がセリフが多い作品というか、尺のほとんどを幼女視点での一人語りに割いていて、その手腕を存分に振るいまくっている。一挙手一投足にセリフを付けて幼女感を演出する技術がほんとすごいよね。
 1話では前段と後段でそれぞれ「社畜視点」「幼女幽霊視点」を同じ時系列でそれぞれ描いている。この構成は、本作のシリーズ構成である赤尾でこが参加している作品『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』と似ていて、共にお互いのすれ違いが逆に微笑ましい作品なので、ついでにおすすめ。
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 『月刊少年ガンガン』にて2019年から連載中の、有田イマリによる漫画が原作。Twitterで公開してた漫画が元になってるんだって。へー。
 制作は『ド級編隊エグゼロス』『弱キャラ友崎くん』『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』のproject No.9。監督の南原玖宇は本作が初監督かな。シリーズ構成は、同スタジオ作品『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』でシリーズ構成を担当している赤尾でこ氏が本作にも参加している。

Shenmue the Animation

 カンフーアクションアドベンチャー
 ひょんなことから中国の裏社会に首を突っ込むことになった青年格闘家のお話。原作ゲーム自体は3部作になっているけれど、アニメはどこまでやるのか。
 正義感の強い主人公が、体一つでわるいやつらに立ち向かっていくアクション映画の王道ストーリーになっている。目標を定める→聞き込みをする→情報ゲット→ストーリーが進む、みたいなイベント形式のゲームを追体験しているような構成が非常にゲーム原作らしい感じ。
 格闘シーンは作画アニメーション。主人公が実在の格闘技を使いこなすキャラということで、アクションシーンのあらゆる所作が洗練されている。特に1話の「突然襲ってきた拳法使いのラッシュを手で捌きながら距離を詰めるシーン」とかめっちゃかっこよかった。アニメ的な表現を排した体格のキャラによるアクションシーンなのも相まって、ほんとアクション映画よね。
 この手の原作が古い作品にしては珍しく、世界観を現代に合わせてアップデートしていない。やたら出てくる「主人公に殴りかかってきて、返り討ちにすると情報を落としてくれるヤンキーたち」然り、ノリが全体的に懐かしい。
 主人公役の松風さんが元々アクション俳優(戦隊シリーズとか)であることや、シリーズ構成の下山さんが特撮作品のライターであることも相まって、変身はしないけど特撮作品みが強い。父親の死の真相を追う理由がもし「復讐」だったら、完全に仮面ライダーだよね。


 1999年に発売された、セガ制作のゲームが原作。1999年て。
 制作は『ルパン三世 PART5』『つくもがみ貸します』『神之塔 -Tower of God-』『イジらないで、長瀞さん』のテレコム・アニメーションフィルム。監督は『まじもじるるも』『ワンパンマン (SEASON2)』の櫻井親良。シリーズ構成は『ナカノヒトゲノム【実況中】』『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』『Deep Insanity THE LOST CHILD』等、SILVER LINK.作品でおなじみ下山健人が担当している。
 キャスティングは、2019年に発売された『シェンムーⅢ』のキャストになっている。主人公は原作ゲームに引き続き、松風雅也が続投。20年以上前なのに続投ってやべえ。

カッコウの許嫁

 マガジン版ニセコイ。2クール予定。
 タイトルについて。要は赤ちゃんの取り違えから始まったラブコメを「カッコウ」の性質である托卵に例えるの好き。てか托卵って不倫行為の比喩表現で使われたりするのね。
 ところで托卵された側の本来の子供は、カッコウの子供に追いやられて死んじゃう運命だと思うのだけれど、これは「妹は永遠に負けヒロイン」であることを示唆している・・・?
 個人的に、吉河美希の漫画といえば『ヤンキー君とメガネちゃん』の印象が個人的に強い。作者、素行不良の主人公好きよね。
 かなりコメディタッチなラブコメ作品。最初から主人公の気持ちが固まってるところから始まるっていうのがちょっと面白い。「恋愛は戦ァ!」とか「中学生の時に貰ったステラの押し花とメッセージ、顔も名前も知らないけれど彼はきっと素敵な男性に違いない!」ではなく「俺は絶対、学年1位のあの子に告る!」なので、ある意味メインヒロインである許嫁は邪魔者ポジションということになるのかな。邪魔しないでよね。
 OP吉岡聖恵ちゃんやんけ!学生時代にANNめっちゃ聴いてました!楽曲は緑黄色社会。そういえば、からかい上手の高木さん1期ED一発目はいきものがかりだったっけ。ちなみにかぐや様は告らせたいOPの作曲は元いきものがかり水野良樹なので、いきものがかりの影響力すごいな。
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 『週刊少年マガジン』にて2019年から連載中の、吉河美希による漫画が原作。同氏の作品がアニメ化されるのは『山田くんと7人の魔女』以来。
 制作はシンエイ動画xSynergySP。シンエイ動画は『ゲッサン』(小学館)の作品『からかい上手の高木さん』をアニメ化しているスタジオで、カッコウの許嫁の総監督も『からかい上手の高木さん』監督・赤城博昭が務めている。監督は、『ましろのおと』『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』等シンエイ動画動画工房の作品を中心に演出を担当している白幡良志之。初監督かな。キャラクターデザインは『干物妹!うまるちゃん』『からかい上手の高木さん』の髙野綾。
 シリーズ構成は『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』『地縛少年花子くん』の中西やすひろ

骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中

 勧善懲悪ロールプレイをすることになった『オーバーロード』のアインズ様
 ダサカッコイイ系世直し珍道中。最近の作品では『月が導く異世界道中』が同じく世直しをテーマにした異世界モノなのだけれど(あっちは明確に水戸黄門オマージュなのでわかりやすい)、本作は「勧善懲悪モノパロディ」という感じ。 
 面白いのは、主人公に明確な善悪の感情はなく、それこそ『オーバーロード』よろしく「思いつきで雨に濡れた子犬を拾う」をやってるところ。助けたんだからちゃんと最後まで面倒見てよね。
 もちろん主人公にも人並みの良心はあって、作中ではある程度道徳的な行動をしていくお話ではあるのだけれど、それはあくまで「さすらいの高潔な騎士様というロールが割り当てられているから」という理由からなので、主人公的にはフルダイブTRPGをプレイしてる感覚で勧善懲悪が描かれている。そういえばシリーズ構成はTRPGを制作しているライターさん。言われてみれば確かに「ゲームっぽい要素を取り入れている異世界転生モノ」って、実はTVゲームの方のRPGよりTRPGに近いのね。
 そんな胡散臭い主人公を演じるのは前野智昭。主人公の胡散臭さというか軽薄な、ふざけた野郎感の演技ほんとうまくて草。
 あとBGMで草。日常アニメかよ。ノリとしては「憧れの海外にはじめて旅行に行ってテンションが上ってる学生の日記」みたいな感じのまま、野盗共ををぶち殺している非常にシュールなアニメに。
 OPにSEついてて草。最近はなんとなく「OPにSEがついているのは特撮作品もしくはJOJOシリーズ(もしくはそのオマージュ)のみに許された演出」みたいな風潮を感じていたけれど、本作はそのどちらでもないのでちょっと新しい。
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 「オーバーラップノベルス」(オーバーラップ)より2015年から連載中の、秤 猿鬼によるライトノベルが原作(イラスト:KeG)。
 制作はスタジオKAI×HORNETS。KAIはウマ娘2期、『スーパーカブ』、HORNETSは『ソマリと森の神様』でサテライトと共同制作をしているスタジオ。
 監督は『戦姫絶唱シンフォギア』『ガーリー・エアフォース』『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』の小野勝巳です。シリーズ構成は菊池たけしTRPGの制作、出版を行っている会社「ファーイースト・アミューズメント・リサーチ」の人で、TRPG作品「ナイトウィザード」の著者だったりする。
 キャラクターデザインは『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』『ガーリー・エアフォース』『スーパーカブ』の今西亨。スタジオKAIは元々サテライトの一部スタッフが独立して設立したため、主要なスタッフはだいたい元サテライトの人だったりする。

コタローは1人暮らし

Netflix独占配信

 とある幼児の日常アニメ
 ひょんなことから一人暮らしを始めた幼児を中心にした人情コメディ。まいど何か事件が起こったりするドタバタコメディではなく、基本的に何も起こらない系の日常のお話が中心。そもそもコタローくんが一人暮らしをしている、という事件が起きていて、それを解決していくお話という側面もあるけれど、そこはあんまり掘り下げないみたい。
 「何も起こらない」という尊さ。タイトルの通り「幼児が一人暮らしを始めた」という事件についての掘り下げがあったり、なかったりするのでミステリー要素は少なく、むしろ「幼児が生きていく上でのいろんなハードル」を、それとなく助けてくれる隣人とのふれあいによって、みんなのソウルジェムが浄化されていく優しい世界だった。隣に住んでる漫画家志望(ニート)くんは特にそうで、コタローくんにあれこれ手を焼いているうち、気づけば自暴自棄な生き方から脱出してたりするっていう。大きな感動がある感動作というより、なんとなく日々を過ごすうち、毎回ちょっとだけ救われるお話。
 同じアパートに住む人達も「それぞれ少しずつ生きづらさを抱えている人」という描写からお話に関わってくるので、コタローくんを中心としたコミュニティの中でそれぞれが少しずつ救われてるんやな、って。コタローくんがみんなを救うとか、みんながコタローくんを救うとか、そういう一方的な感じじゃないところがすき。
 2話のお弁当の話すき。同じ園に通うクラスメイトのキャラ弁当を見て、自分も「(お母さんの作った)普通の(キャラ)弁当を食べる」という当たり前のことをしようと思い、結果として凄いことをするっていうお話。根底は「周りの子と自分は違う、ということに対する恐怖」みたいなものがあるけれど、結果としてみんなが傷つかないお話になってて凄い。


 『ビッグコミックスペリオール』にて2015年から連載中の、津村マミによる漫画が原作。へーTVドラマ放送されてたんだ。なんか、ネトフリ製作のアニメって「TVドラマ化されている/されそうな日常アニメ」みたいなチョイス多くない?
 制作はライデンフィルム。監督は『啄木鳥探偵處』の牧野友映。シリーズ構成は『宇宙戦艦ティラミス』シリーズ構成の佐藤裕。同氏は『キラッとプリチャン』や『トニカクカワイイ』の一部脚本も担当している人。

ラブオールプレー

 きれいなはねバド
 ひょんなことからバドミントンにガチで打ち込む事になった高校生のお話。
 バドミントンの試合を描くアクション特化というより「バドミントン部の活動を通じて、高校生の超楽しい青春の日々」みたいな描写が多い。楽しそう。
 「一緒に部活に入った同級生たち」の描写。もしスポ根モノだったら入部した生徒みんな色んなモチベーションで部活を続けていただろうけれど、まず同級生(特に未経験者)がガンガン辞めていく。先輩から特別イビリ散らかしてるとかいじめにあったとかではなく「部活ついていけないから辞める」「勉強についていけなくなるから」「なんでそんなに本気になれるのかわからないから」みたいな人間模様の描写はわりと『響けユーフォニアム』っぽい。「部活を続けるということ」についてみんながすごく冷静っていうか。そっか、これ青春スポ根漫画の路線じゃないんだ。
 あと、キャラの表情が良すぎる。同じく日本アニメーションが制作した、先のアニメ「やくならマグカップも」もまた独特の味がある表情が印象的な作品だったけれど、なんというか「日本アニメーションじゃないと出来ない表情」みたいなものがそこにあるのよ。全体的に丸いシルエット、コミカルな表情の付け方、強い意志の表情との振り幅とか。
 やっべー音楽めっちゃいい。ラグ系から始まってゆるい雰囲気のアニメか~って思いきやBGMのONOFFがハッキリしてて、ギターの音色・ニュアンスの付け方がめちゃくちゃ繊細で、進路に迷っている主人公の心理描写を際立たせている1話。劇伴の林ゆうきはTVドラマでもおなじみの人なので、本作はかなりTVドラマチックな演出に振ってるよね。めっちゃエモい。


 2011年からポプラ社より刊行された、小瀬木麻美による小説が原作。
 制作は日本アニメーションOLM。監督は『アイドルマスター XENOGLOSSIA』『モーレツ宇宙海賊』キャラデザ、『ブレイドアンドソウル』監督の竹内浩志。
シリーズ構成は『マジきゅんルネッサンス』『うたプリ』『ニル・アドミラリの天秤』『かくりよの宿飯』の金春智子。同氏が日本アニメーション作品にシリーズ構成として参加するのは『レ・ミゼラブル 少女コゼット』以来かな。キャラクターデザインは同じく日本アニメーション作品『やくならマグカップも』の金田莉子。やくもはキャラの笑顔が印象的なアニメだったけれど、本作でもその片鱗を既に感じている。

ヒロインたるもの!~嫌われヒロインと内緒のお仕事~

 お前、あのハニワがプロデュースしてる俺たちを知らないのか?・・・おもしれー女。
 ひょんなことから、クラスメイトで大人気アイドルユニット2人のマネージャーとして働くことになった女子高生のお話。ハニワ原作ということで、ゴリゴリのティーンエイジャー向け王道少女漫画ストーリーになっている。最近は同様の少女漫画がアニメ化される機会が減っているので、すごく貴重な気がする。
 特に未成年のアイドルが登場する作品において、マネージャーは年齢的に親目線で関わることが多いので(アイプラとか?)、本作の「同じ学校の同じクラスに通っている同級生がマネージャー」という設定は「同じ目線で仕事の悩みを共有できる唯一の友達」という特殊な視点になってるのね。
 「高校通って部活入って、友達作って、学校帰りに友達と一緒にクレープ食べて、そういうことがしたかった」っていう独白をする主人公のCVが水瀬いのりなので、ものすごく玉木マリ感が半端ない。特に序盤はアイドルの二人が終始ヘソを曲げており、代わりに主人公が二人の分まで喋り倒しているのだけれど、感情のジェットコースターみたいな起伏のあるお芝居を最初から最後まで途絶えさせないお芝居ほんと好き。毎話ヘロヘロになりながらアフレコしてそう。
 劇伴は『いつだって僕らの恋は10センチだった。オーケストレーションや『荒ぶる季節の乙女どもよ。』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の劇伴を務めている日向萌。特に推し武道の劇伴はくっそエモい印象が強かった(内容もめちゃくちゃエモいアニメだった)けれど、本作もまたオケ中心の劇伴が非常にエモくて素敵。


 HoneyWorksプロデュースによるオリジナルアニメ。
 制作は『いつだって僕らの恋は10センチだった。』『RELEASE THE SPYCE』『荒ぶる季節の乙女どもよ。』『アイ★チュウ』 の、Lay-duce。監督は『ギヴン』『うちタマ?! うちのタマ知りませんか?』『アイ★チュウ』等で一部演出を務めた橋本能理子。初監督かな。
 シリーズ構成は『狐狸之声』『アイ★チュウ』『先輩がうざい後輩の話』の成田良美。同氏はHoneyWorks作品『いつだって僕らの恋は10センチだった。』でもシリーズ構成を担当している人。実質アイ★チュウ。
 キャラデザは『荒ぶる季節の乙女どもよ。』の石井かおり。非常に個性的な眉毛の主人公をまた見ることになるとは。

乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です

 乙女ゲームのフラグがないモブに転生してしまった…
 「乙女ゲー」をテーマにした異世界転生モノ。既にアニメ化された作品『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』と似たような展開から始まる作品ではあるけれど、あっちが「大好きな乙女ゲーを散々やり倒した挙げ句その世界に転生しちゃった」という感じなのに対し本作は「やりたくもないクソゲーを散々やらされた挙げ句その世界に転生させられてしまった」というニュアンスのため、世界の切り取り方が全然違う。
 はめフラの主人公はゲームの登場人物を愛しているので、つい仲良くしちゃう→うっかりフラグを踏み荒らす→シナリオに巻き込まれる という展開の仕方だったけれど、本作の主人公はそもそもこの世界が嫌いなので「世界のどこかで平穏に暮らしたいのに、謎の運命力で物語の渦中に巻き込まれていく」という、JOJO4部の吉良吉影ばりに善良で不幸な市民のお話になっている。どんまい。あと乙女ゲーをテーマにした作品でありながら、主人公が男性なのが意外だった。もう冒頭から「乙女ゲーやったこと無い男性が持ってそうな先入観」を炸裂させている。
 アニメとしては、制作のENGIによるアニメ『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』に似ていて、「クソゲーを斜めに攻略していく実況アニメ」という要素が結構強い。てか1話の時点で斜め攻略っぷりが凄い。もはや何のゲームだよ。

貧乏貴族ゆえ無理やり政略結婚させられそうになるのを回避するため、古代遺跡に単身乗り込み飛空艇の鹵獲に成功した主人公の図©三嶋与夢/マイクロマガジン社/モブせか製作委員会

 恋愛ゲームの主人公って、設定状は「本来はその攻略対象と何のかかわり合いも持たないはずの存在だったけど、プレイヤーの操作による行動変容によって違う未来を勝ち取っていく」という運命のもとに生まれてくるので、逆に言えば「異世界転生モノにおける恋愛ゲームの主人公は、放置すれば基本的にバッドエンドを迎える」ということでもあるのね。本作の主人公はわりとそこを自覚しているのが面白い。本来の主人公の未来を知っているから助言をすることが可能だけど、連中の情事には微塵も興味がないからできるだけ関わりたくない・・・という葛藤をしている、すごくお人好しな主人公すこ。
 一方、自身の恋愛事情については完全に棚上げになっている様は、やはり『俺の青春ラブコメは間違っている。』の比企谷八幡を彷彿とさせる。八幡は作中で「美しい自己犠牲の精神(笑)」って言われてたけれど、本作の主人公もまたどこかで思いとどまる瞬間が来たりするんかな。


 2017年から「小説家になろう」にて連載され、2018年からGCノベルズにて書籍版が刊行中の三嶋与夢による小説が原作(イラスト:孟達)。
 制作は『宇崎ちゃんは遊びたい!』『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』『探偵はもう、死んでいる。』等のラブコメ作品でおなじみENGI。監督は三浦和也・福元しんいちの連名で、ENGI作品はだいたいこの二人が監督・副監督を務めている。シリーズ構成は『俺だけ入れる隠しダンジョン』『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』『月が導く異世界道中』『見える子ちゃん』の猪原健太。キャラデザは『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』でサブキャラクターデザインを担当していた鈴木政彦。

BIRDIE WING -Golf Girls' Story-

 きれいなプロゴルファー猿
 オリジナルアニメ。とある闇女子ゴルファーのお話。序盤の展開は『メガロボクス』にちょっと似ている。飯を食うためのゴルフをしていた主人公が、ひょんなことからガチのゴルフに目覚めるお話。メガロボクスよろしく大人向けの内容に見えて、実は「ちょっと懐かしい感じのホビアニ作品」といった趣向の作品だったりする。
 ゴルフと言えば金持ち。特に生まれた環境と才能が直結するスポーツのひとつなので、1話からさっそくお蝶夫人みたいなライバルが出てくる。
 また、ゴルフしてるおっさんの「ザ・ゴルフが趣味です」っぽいモチーフも印象的。ポロシャツ、キャスケット、お腹、メガネ、高圧的。かなり金持ちvs貧乏の構図が強調されているし、そんな連中の鼻っ柱をへし折って回る主人公はもうすごくヒーローしてる。
 そして2話の試合では、そういう固定観念を排した上で「スポーツとしての純粋な面白さに魅せられている二人」が描かれていてエモい。展開の熱さはもう完全に少年漫画だよね。 一般的なスポーツアニメだと、試合の最中にプレイヤーの思考をモノローグで挿入する際に(尺の都合で)時間を止めたり伸ばしたりするため全体的な試合のテンポ感が損なわれるか、もしくは一切の解説なしでアクションを見せるかの2択になりがちだけれど、ゴルフは交互にプレイするスポーツなのでそこらへんの都合が良く、アニメ向きのスポーツだなって思った。構えから狙いを読む→はいはいそういう戦術ね、完全に理解した→スーパープレイ→なん・・・だと・・・?みたいなやり取りがなんか「ターン制格闘技」を観ているみたい。もしくはカードゲームバトル。手持ちのカード、フィールドの状況、自身のスキルに応じてどんどんカードを切っていく読み合いが凄く面白い。また、ゴルフ周りの基本的な描写がちゃんとしている分スーパープレイの超人っぷりがより際立ってていいよね。
 そしてOPはまさかの広瀬香美。急に対象年齢高すぎぃ!
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 制作は『アイカツ!』シリーズでおなじみBN Pictures。監督は『タイムボカン24』『タイムボカン 逆襲の三悪人』『ちおちゃんの通学路』の稲垣隆行。シリーズ構成は『僕のヒーローアカデミア』『ID-0』『2.43 清陰高校男子バレー部』の黒田洋介が担当している。監修:井上透(プロコーチ・世界ジュニアゴルフ選手権日本代表監督)、協力:グローバル ゴルフ メディア グループ 株式会社とクレジットされているあたり、真面目にゴルフを描こうという気概を感じる。

このヒーラー、めんどくさい

 コント「ヒーラー」
 1話の中で何度かシーンチェンジこそ挟むが、基本的に最初から最後まで立ち話(コント)で構成されている。主人公の戦士とヒロインのヒーラー、そして各話のゲストキャラだけで30分尺のコントとは恐れ入った。しかも話がちっとも進まねえ!
 ハキハキツッコミしまくる戦士くんに対し、やたらゆっくり喋るヒーラーちゃん。クセが強いヒーラーちゃんが全体のテンポ感を牽引していて、独特な雰囲気に。また、貴重なレギュラーキャラの戦士くんは表情が鎧で見えないため、基本的にヒーラーちゃんのウザい煽り顔だけが印象に残っていく。常にハの字まゆ+上目遣いの攻撃力すごいな。



 2019年より『ニコニコ静画』『ComicWalker』にて連載されている、丹念に発酵氏による漫画が原作。ニコニコ静画出身のアニメってなんとなくシュールギャグ系が多いイメージ。
 制作は寿門堂。シャフトや動画工房などの大手スタジオ作品の下請けとしてクレジットされていることですっかりおなじみのスタジオなんだけど、単独での元請けは本作が初。
 監督は『魔法陣グルグル(1995年放送)』『恋姫†無双』の中西伸彰。ちなみに来期放送のアニメ作品『惑星のさみだれ』で監督を務めるのはこの人。シリーズ構成は『放課後ていぼう日誌』『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』『池袋ウエストゲートパーク』『無能なナナ』の志茂文彦。キャラクターデザインは動画工房の各作品で総作画監督を務めている菊永千里なので、わりと動画工房っぽい雰囲気のコメディ作品に。 

トモダチゲーム

 リアル人狼ゲーム
 ひょんなことから、カイジよろしくマネーゲームに参加することとなった仲良しグループのお話。「トモダチゲーム」という名の借金の押し付け合いを通じて、サークルクラッシャーに翻弄される高校生達を描いていく群像劇で、デスゲームじゃない分「ゲームの主催者vsプレイヤー」の構図にならないところが特徴的。
 「借金を返さないといけない」という建前によって、彼らがゲームから逃走する意欲を削いでいるのがちょっと面白い。ある意味デスゲームより切実ではあるし、お話が進むほど「強さのインフレ」が発生しにくいのも面白いよね。現在は原作も20巻まで続いており、ドロドロ群像劇パワーはほんと偉大だなぁ、って。
 基本的に心理戦メインなので腹のさぐりあいを楽しむアニメになっているのだけれど、思考の流れはゲームの観測者たちが適宜解説を入れてくれるので助かる。
 お話の序盤こそ「俺たちは友達だから、この問題に対してはこういうアプローチをするのが正解だよな。そうじゃないと誰かが仲間外れになっちゃうもんな!」という前フリが機能していると思うんだけど、後半ってどうなるんやろ。どのゲームも「自分だけは生き残りたい、と思わせるように思考を誘導するゲーム」になっていて、徐々にメンバーの判断が狂っていくところがキモになっているのだけれど、1話の時点でそこそこ疑心暗鬼になっているし、上記の前フリはほとんど意味なくなるよね。後半は逆に熱い共闘展開くる感じ?
 OPは水樹奈々。ぐるぐるでドロドロな演出が非常にスタイリッシュでかっこいい。OPの絵コンテ・演出を担当している大矢雄嗣は今期の『群青のファンファーレ』でもOP演出を担当してる人なのね。
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 『別冊少年マガジン』にて2014年から連載されている、原作:山口ミコト、作画:佐藤友生による漫画が原作。2017年にTVドラマ化したんだって。へー。
 制作は『俺だけ入れる隠しダンジョン』『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』のオクルトノボル。またエロいアニメかな。監督は『ぬるぺた』『ドラえもん(2020年~)』『はたらく細胞!!』の小倉宏文。シリーズ構成は『俺だけ入れる隠しダンジョン』『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』『月が導く異世界道中』の猪原健太。キャラクターデザインは『俺だけ入れる隠しダンジョン』で総作監を務めた宮﨑里美が担当している。

最後に

 新作全部1話視聴はおすすめしない。リアタイの魅力といえば「不特定多数の他人とリアルタイムで乾燥を共有することが出来る」「公式から様々な供給がある」「色々なコラボ企画が開催される」等様々だけれど、特に「来週が楽しみ」という魅力は大きい。
 ところが、視聴アニメが増えるほど「来週の放送を楽しみにしていたことを忘れてしまい、いつの間にかそのアニメの存在自体を忘れてしまう」という悲しい現象が発生してしまう。今期のアニメのうち完全新作として紹介したのは30作品ちょっとだが、シリーズモノやショートアニメ等を含めると実はこの2倍くらい放送されているため、全部リアタイすると約9作品/日というとんでもスケジュールになってしまうのだ。1話だけ観ても全部で約5クール分の話数。そら忘れるわ。
 一つ一つのアニメに割ける時間が減少することで、そのアニメに関する様々な情報に触れる機会を喪失し、結果としてその作品に対する興味を失ってしまうことに繋がるのが原因であるなら、「来週が楽しみ」という目的を達成するためにするべきなのは「視聴するアニメを増やす」ではなく、もっと別のアプローチのはずだ。
 キャパシティはその人のライフスタイル等によって様々だろうけれど、まずは「お気に入りのアニメを観る以外で、そのアニメを楽しむ方法」に目を向けて見てほしい。今のアニメは様々なメディアミックスによって収益化する方法が主流になっているため、いくらでも能動的に楽しみを増やしていく事ができる。「アニメを楽しむ」を越えて「その作品を楽しむ」ことで、「1週間に一度の楽しみ」をもっと特別なものにできるはずだ。
 そういう意味でも、スケジュールに追われがちなアニメ全視聴はそういった「特定の作品を存分に楽しむ」という行動に対し非常に消極的になりがちなので、やはり新作全部1話視聴はおすすめしない。

 そして、製作者様へ感謝をば。今期もまたとても面白い作品を作っていただきありがとうございます。私にとってそうであるように、すべての作品が誰かにとっての「特別」であることをもっと知って欲しいくらいです。まだまだ大変な情勢が続いていますが、お体にお気をつけつつ制作頑張ってください。陰ながら応援しています。