Sweet Lemon

2021年春アニメほぼ全部観たので、ちょっとした読み物にしたよ

はじめに

 今季は特に作品数が多く、また特定のプラットフォームのみでしか配信されていない作品もそこそこあるので「あ、今こんなんやってるのね」という気づきを得るための目録にしてみた。あまりに多すぎて、好きなシリーズの続編すらスルーしかねない現状マジでどうにかならないのか。
 また、一人でも多く沼に沈めることができればと思い、それぞれ1~3話程度の視聴後感をまとめているので、興味を持つきっかけになれば幸いだ。ちなみに『フルーツバスケット』『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』のような長期シリーズは「1期1話を観てね」くらいしか書くことができなかったので端折っている。

配信情報まとめ

 私はTVでアニメを観ない(BS見れないし、TOKYOMXもAT-Xも受信できない)ので、配信情報はこれ以外の手段について書いている。
 なお、独占配信系タイトルは放送開始時点でのものであり、後に他の配信サイトでも配信が開始される場合がある。あくまで現時点での参考になれば。

独占タイトル一覧

アマプラ独占配信

恋と呼ぶには気持ち悪い
ODD TAXI

アマプラ見放題独占配信

ましろのおと

ネトフリ独占配信

ゴジラS.P<シンギュラポイント>
極主夫道
エデン
Yasuke -ヤスケ-
B The Beginning Succession
パシフィック・リム:暗黒の大陸

FOD独占配信

セスタス -The Roman Fighter-

その他

Youtube独占配信)
ミニドラ
youtu.be


感想

不滅のあなたへ

 世界と生と死の大河ドラマ。蔵六に出会わない『アリスと蔵六
 『聲の形』でおなじみ、大今良時による漫画が原作。2016年から『週刊少年マガジン』で連載してんの?マジ?
 制作はNHK。と、ブレインズ・ベース。監督は『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のむらた雅彦。1980年代からアニメーターやってるすごい人で、最近だと『つくもがみ貸します』の監督を務めている。シリーズ構成は『それでも世界は美しい』『パズドラ』『フューチャーカード バディファイトX』の藤田伸三
 「主人公は、観測者が世界を覗き見るための窓として作られた上位存在」という特殊な作品。あえて言うなら手塚治虫の作品「火の鳥」が扱うテーマに近いかもしれない。
 ツダケンが「世界のどこかであなたが苦しんでいるとき、神様はきっとあなたのことを近くで見守っています。でも別に助けたりはしません。」みたいなスタンスのため、主人公はあくまで観察者側にとって都合の良い存在であるという立ち位置が1話にして明確に描かれている。
 1話では、主人公である上位存在が偶然遭遇した少年のお話(キービジュアルの子)。厳しい環境の中で懸命に生きる少年の人生を1話まるまる使って描いている。「突きつけられた不条理の中で、人間はどう考え、行動するのか」という部分がテーマなのかな。
 ナレーションは津田健次郎NHKといえば連続テレビ小説「エール」でナレーションを担当したことが記憶に新しい。先の「はたらく細胞BLACK」でもそうだけど、もはや定番と言えるくらいハマり役になっている気がする。
 何より、描き方がもう強烈。冒頭の少年はとても快活で、目の前にある厳しい現実を物ともせず振る舞うのだけれど、「ワイ、へこたれへんで!」→現実→「ワイ、へこたれへんで!」→さらに厳しい現実→「ワイ、へこたれへんで!」→さらに厳しい現実→「ワイ、へこたれへんで!」→…という描写の容赦の無さ。その中において、少年が最後まで家族を思いやり続ける姿がとても胸に刺さる。
 これまで「少年のペットとして振る舞うBOT」と化していた主人公(上位者)が、少年から受け取った「何か」をキッカケとする行動変容によって物語が動きつつ、明るい余韻で締めるラストがあまりに良すぎて泣いた。
 また、それほどセリフが多くはなく、むしろ余白の多い演出になっていて「今このキャラの心情はどうなんだろう」って考える時間が視聴者にたくさん与えられている。少ないセリフの中で、何かを掴み取ってほしいっていう創り手の意思を感じた。
 主題歌は「エヴァの曲歌ってる人ですよね。お母さんが若い頃よく聴いてたって言ってました」でおなじみ宇多田ヒカル。原作読んで即OKしたんだって。彼女の歌が持っている「無情さ」とか「虚無」といったニュアンスは、観測者が人々に対し同情的でないか、あるいは無慈悲であるか、という有りようを想起させる、いっこ上の次元で見守っているような歌声でめっちゃ好き。特に宇多田ヒカルは「生と死」がテーマとなる作品をよく作る人っていうイメージで、その延長上に本作があるのもむべるかな、なんてことを思った。

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美少年探偵団

 文字を読まなくても良い物語シリーズ西尾維新プロジェクトの新作。
 制作はみんな大好きシャフト。西尾維新プロジェクトということで、総監督として新房昭之がクレジットされている。監督は『アサルトリリィ』演出チーフの大谷 肇で、副監督の岡田堅二朗は『3月のライオンシリーズディレクターをそれぞれ担当した人。キャラデザは渡辺明夫ではなく、『それでも町は廻っている』の山村洋貴。
 物語シリーズはボーイミーツガールだったが、本作は阿良々木ハーレムからうってかわって逆ハーレムに。とはいえ西尾維新作品に限って、男子ウケとか女子ウケといった概念はあまり関係がないような気もする。
 1話は主人公の思い出の中にある架空の星(仮称アレガ)を探すお話。ミステリーを標榜してはいるけれど、一つ一つ謎を解いていって最後に真相へたどり着くプロセスは物語シリーズでもそうだったので、本質的には似たベクトルの作品。
 ヒロイン、というか主人公を演じるのは、物語シリーズにてキスショットアセロラオリオンハートアンダーブレード役を演じた坂本真綾。相変わらず小説のモノローグをカットせずに喋り散らかしており、思えば1話は最初から最後まで主人公のモノローグを聞いていた記憶しかない。
 よく聞くと、女の子の声とショタ声のミックスみたいな声。作品のテーマである「美少年の在りよう」みたいなものを考えたときに、「少女の中に、時折垣間見える少年の面影」みたいなニュアンスを絶妙に演じてる坂本さんマジパネェ。
 本当に主人公たちががひたすら喋っているアニメなのに、映像のテンポ感の良さに酔ってしまって説明ターンが体感1分で終わってしまうのがほんと不思議。説明セリフのシーンをずっと観ていたい中毒性があるよね。
 また、極端なライティングの演出もすごく好き。なんか舞台を観劇してるみたい。もはや自然光とかじゃなくて普通にスポットライト使いまくってるし。やはりシャフトの撮影班(エフェクトとか処理してる人)は最強やな。

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SSSS.DYNAZENON

 ダイナゼノンのダイナは、ダイナソーのダイナ。
 一応2期扱い?スタッフは『SSSS.GRIDMAN』から続投しており、物語のベースはGRIDMANから引き続き「青春群像劇」と「特撮」。
 1話の平穏な日常から怪獣戦に突入していくフェーズは前作を意識した演出になっていて、やっぱり超かっこいい。
 戦闘シーンはやっぱりビルや電線、車などの構造物が破壊される様によって「怪獣の大きさ、重さ、力強さ」を間接的に表現する演出から始まり、徹頭徹尾特撮作品として完璧に仕上がってる。やっぱり合体ロボって良いね・・・。

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燃える街 ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

 主人公を演じるのは榎木淳弥。すっかり主人公キャラが定着しつつある。また、ヒロインを演じるのは若山詩音。前作で宝田六花を演じた宮本侑芽とは同じ事務所(劇団ひまわり)の所属で、20年来の付き合いなんだって。アニメらしからぬナチュラルなお芝居が要求されるSSSSシリーズならではの縁って感じがして好き。
 相変わらずビビットな色使いのキャラクター。そういえば前作では主人公チームは響、六花、内海の3人だったが、元々のキャラデザ案では六花の代わりに茜(のデザイン)が主人公チームだったんのが途中で差し替わったんだって。
 そして、リアルな空気感の演出がやっぱり凄い。聞こえる音とか、映る小道具とか。学校もそうだし、それぞれの自宅の空気感も。部屋の「汚いわけではないけれど、物が多い感じ」とか「高校生の、親との距離感」が丁寧に描かれていてホントやだ。
 あと2話冒頭演出が好き。変形合体するとき、核パーツに搭乗している主人公視点で変形合体はこう見えているよ、ていうメタ視点のセンスも好きだし、撮影視点が核パーツの中にいるときだけ音楽がこもって聴こえる演出とかメタすぎて笑ってしまった。ちゃんとウーファーの音がボォンボォン聴こえる籠もり方まで完全再現すんなし。
 2話からは特撮パートと日常パートの境界があいまいなシーンが多く、戦いが終われば全部リセットされていたGRIDMANにはない本作特有の魅力だと思う。
 公式Youtubeにて、各話の幕間を描くボイスドラマが期間限定で配信されている。序盤では割とすぐガウマに対して協力的な主人公の姿が描かれていて「え、いつの間に仲良くなったん?」みたいな温度差を感じた人もいるかも知れないけど、実は裏でこんな話をしていました。みたいな。ボイスドラマってアニメと比べて尺の縛りがゆるいため、声優さんが活き活きとお芝居できるメリットがあるんだよね。おかげで本編よりこっちのほうが「なんでもない日常の一コマ」の空気感がとても強い。主人公も、より等身大の高校生っぽさが描かれていて好き。

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スーパーカブ

New Cub is Your Cub.
自分らしく暮らしを楽しむ、あなたのカブ。

 トネ・コーケンによる小説が原作。イラストは博。
 制作はスタジオKAI。若いスタジオだけど、直近ではウマ娘2期を制作したスタジオとしておなじみ。また協力・監修として本田技研工業株式会社がクレジットされている。「まるで本物」ではなく「マジで本物」。
 監督は『BORUTO -ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』の藤井俊郎。シリーズ構成は『マクロスΔ』『重神機パンドーラ』『ログ・ホライズン』の根元歳三。また、キャラデザの今西享は『戦姫絶唱シンフォギア』の総作監とか『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』のキャラデザ等、サテライトの作品を中心に参加している人なので、てっきりサテライトの新作かと思った。
 ひょんなことからカブを手に入れた女の子が、小さな旅をする物語。同じ道でも、乗り物に乗って行くだけで世界が変わるっていうミクロの変化を丁寧に描く作品。1話では「近所のコンビニにいく」という大冒険が描かれる。初心者にとってはマジで大冒険だよね。
 アニメーションの作りがすごく丁寧。「朝の空気をアニメで見てほしい」「目覚ましを止める女の子の手の動きを見てほしい」「コップに注がれるジュースのアニメーションを(ry」「パンにマーガリンを塗るアニメーションを(ry」「炊飯器を開けたときのお米の香りを(ry」みたいな。いちいちアニメーションを見せつけてくる。起床から家を出るまでの一連の儀式を約2分の長尺に渡って描いていて、もはや地方プロモーションのためのパイロットフィルムみたい。どっちかといえば「スーパーカブのプロモーション映像」だけど。
 ちなみに先のアニメ『のんのんびより のんすとっぷ』の1話冒頭は、起床→いってきますん!まで丁度1分なので、本作はのんのんびよりよりのんびりより。
 「乗り物に乗るときの、一連の儀式を丁寧に描くニッチなアニメーション」といえば、最近だと『荒野のコトブキ飛行隊』くらいしか思い浮かばないんだけど、なんせ本作はバイクに乗るときの儀式を丁寧に描いているので、初めてアレを教習所で動かすときのドキドキ感みたいなものが一連のシーンを通じてフラッシュバックしてくる。めっちゃ緊張するよねアレ。あと公道でトラックに追い越されるのって超怖いよね。
 そして、さざめく木々の梢が主役より喋っている(モノローグを除くと主人公は開幕6分間、ため息以外のセリフが無い)。総じて音のリアリティが高く、ただの通学風景でさえ「音のソノリティ」並に騒がしい。現実ってやっぱりBGMが不要なくらい騒がしいんだね。いやアニメなんだけどさ。個人的に「倉庫の中で眠ってた中古のバイクを引っ張り出してくるときの、なんか部品とか転がった?みたいな音の反響」が好き。この演出で活きてくるのが「バイクに乗っているときにどんな音が聞こえるか」の部分。てかエンジンうっさ!!同じ道なのに、音のせいで全く違う世界のように見えてくるんだからすごい。また、カブのあらゆる音は原作者の持ってるカブと音響効果を担当している人のカブ(しかも同型)使って撮った音なんだって。いやそれ本物やん。
 対する音楽が非常に控えめ。ピアノのクラシック曲をメインに、動きのあるシーンのみ流れるんだけど、空気みたいに現れては消える劇伴は「風」とか「月の光」とか、まるで自然現象の一部みたい。環境音楽とはまさに。ちなみにドビュッシー、サティ、リスト、ショパンあたりが多く使われているのは監督の趣味なんだって。
 口数の少ない主人公を演じるのは「主人公よりも名前が主人公っぽいよね」でおなじみ、夜道雪。本作に関わる以前より、バイカー向けの情報サイトで新型バイクのインプレ記事を連載していたりするという異色の経歴持ち。声優とは?
bike-news.jp
 最近は随分「写真をいい感じに加工してアニメの背景っぽく寄せる」っていう演出を利用する作品が増えてきているけれど、本作はあえてリアルの雰囲気を残して加工してる感じがある。交差点の上で網目状に張り巡らされている電線とか。その影響で、全体的に雰囲気が落ち着いていて、やや暗い。教室のシーンとかまるで葬式みたい。てか夜くっら!
 で、その色彩がちゃんと心情とリンクしてるのが面白い。心がときめいた瞬間にブワって鮮やかになる演出はこっちまでときめく。心情が落ち着くとまた元の色彩に戻っていくのも細かくて好き。

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©Tone Koken,hiro/ベアモータース

st-kai.jp
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Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-

 VOCALOID: Become Human 
 オリジナルアニメ。シリーズ構成として『Re:ゼロから始める異世界生活』の長月達平が参加しており、実質的に同氏が原作ということでOK?
 制作は『進撃の巨人』でおなじみWIT STUDIO。監督は『進撃の巨人』で一部演出を担当していたエザキシンペイ(江崎慎平)。ライデンフィルムA-1 Picturesの作品で監督を担当してた人で、WIT STUDIO作品は初監督。シリーズ構成の長月達平と梅原英司はともにリゼロの脚本を担当したタッグで、本作の原案となる小説を共同執筆している。小説読みたくなってきた。
 キャラクター原案はloundraw。劇場版の名探偵コナンでイメージボードを担当してたり『ジョゼと虎と魚たち』でコンセプトデザインを担当している人で、TVアニメ作品のキャラ原案は『月がきれい』以来。あと、日本エステティック業協会(AEA)のコンセプトムービー『十年分の私へ』という作品で同氏は監督・脚本・キャラクターデザイン・演出・総作画監督美術監督・動画検査・編集とワンマンアーミーっぷりを炸裂させていらっしゃるので、興味のある人は見てみてね。
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 キャラデザは『マクロスFRONTIER』でおなじみ高橋裕一。キャラデザを決めるためにコンペ開いたんだって。気合入ってんね。
 お話としては「AIの反乱によって世界が滅んじゃったので、今(事件の100年前)から世界を改変する旅をしようぜ」っていう物語。複数ある改変ポイントと改変のコツが事前通告されている分、リゼロのスバルくんよりもイージーだけど、やり直しが効かない分ハードモード。特にスバルくんは「一番正解のルート」にこだわるのに対し、本作は「それはいわゆる、コラテラルダメージというものに過ぎない。軍事目的の為の、致し方ない犠牲だ」という方針のため、主人公がより運命に翻弄されていく様子が描かれている。世界平和のためだから、目の前のそいつ殺せ。お前の意思?知らんがな。みたいな。
 あと、特徴的なのが「100年」という物語のスパン。12話かけて100年の旅を描くというコンセプトみたい。「モンサンミッシェル修道院みたいな建物がカリン塔みたいになるまでの間」っていう提示の仕方が、その途方も無い時間を視覚的にはっきり感じさせる演出になっててすごく好き。

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©Vivy Score / アニプレックスWIT STUDIO

 各時代において「100年後の未来のためになる行動(マツモト)」と「ミクロレベルで正しい行動(ヴィヴィ)」が衝突するお話なので、とても後味が苦い物語であることを予見させている2話ラストよ。きっと主人公は今後もいろんな成功と失敗を繰り返しながら100年の旅に伏すんだろうけれど、どう考えてもヴィヴィ虐の予感しかしない。おのれ長月達平。やっぱお前人間じゃねえ!
 そんな主人公のヴィヴィはアンドロイド(AI)という設定。といっても「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のヴァイオレットちゃんや「ソマリと森の神様」のゴーレムに近いタイプのロボットなので、1話にして既に「お前、やっぱり感情が・・・」ってなっている。年月を経て更に感情の豊かな後継機が登場するたび「心って何なんだろう」と思い悩む主人公はすこし子供のようにも見えるのがね。お姉ちゃんなのにね。
 そんな運命に翻弄されていく主人公を演じるのは種崎敦美。同氏は先のアニメ『魔法使いの嫁』でも運命に翻弄されていく主人公を演じている。「本当は言いたいことがあるんだけど、それをうまく言葉にできずもどかしい気持ち」みたいな、繊細さの表現に秀でた方だなぁ、っていつも思う。まほよめはいいぞ。
 相方のマツモトを演じる福山潤社長との公式ラジオ初回では、マシンガントークの福山社長に置いてけぼりを食らう種崎さんの様がまんまマツモト&ヴィヴィみたいで好き。ゴリゴリの演技論もっと聞きたいな。何が凄いって、福山社長の話速が制作の想定より早過ぎたために、急遽マツモトのセリフを増やしたっていう。あの人やばくね。
youtu.be
 また、WIT STUDIOの持つ作画力の多くが「主人公の魅力」を描くことに執心している。印象的なシーンの多くが主人公のカットなので、『甲鉄城のカバネリ』が無名の可愛さを描く作品だったように、『魔女の旅々』がイレイナさんの可愛さを描くアニメだったように、本作はヴィヴィの可愛さを描く作品なのかもしれない。
 特に、主人公を含むアンドロイドが急に美麗な作画になるシーンがちょくちょく出てくるのだけれど、その美しさというのが「有機的な美しさ(笑顔が可愛いとか)」ではなく「無機的な美しさ(デザインとして、機能美として)」にフォーカスした描き方になっていて、「なんやかんや言っても、やっぱりアンドロイドなんやな」みたいな文脈で描かれることもあるし、逆に「心がわからないって言うけどお前、やっぱり・・・」という文脈でも使われていて、揺れ動くヴィヴィのアイデンティティを暗喩しているような演出になってるのがすごく良かった。

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©Vivy Score / アニプレックスWIT STUDIO

 また、非常にSF描写てんこ盛り。かつ時代が飛ぶごとにちょっとずつ描写が変化していくので、毎話すごくそそられる。序盤でいうと、2話の戦闘シーンが好き。イヤリング風のインターフェースからコードを伸ばして物理的に接続するっていう設定は攻殻機動隊リスペクトかな。主人公が何かを見つめるたびに目のフォーカスを絞るところも細かいけど好き。あと「論理矛盾攻撃でAIの機能を停止させる」っていう攻撃方法いいよね。
1 物理的な攻撃をする
2 それに対するAIの行動(プログラム)を誘発させる
3 そのプログラムの脆弱性を利用して、不正なアクセスをする
4 任意のコードを実行する
5 論理矛盾によりAIの機能を停止させる
みたいな?
 ヴィヴィの歌唱を担当するのは、八木海莉。こないだ高校卒業したばっかなんだって。ちょくちょくツイッターで弾き語りを投稿してるけど、たしかに主演の種崎敦美と声が似てる。若干ハスキーかな?以降もゲストのキャラ(AI)は声優と歌手がそれぞれ分担で声を当てていくスタイル。で、みんなすっげー声似てるの。

 また、公式サイトでは各エピソードのアフタービジュアルが公開されている。全部泣くんだが。
https://vivy-portal.com/special/gallery_aftervisual_01/
https://vivy-portal.com/special/gallery_aftervisual_02/

ゴジラS.P<シンギュラポイント>

Netflix独占配信

 どんとこい超常現象。なんやかんや、こまめに新作出てるよね。
 制作はボンズ、そしてオレンジ。数年前だったら「制作:ボンズ」て書かれてたと思うので、オレンジはすごい会社になったんやなぁ、って。監督は『青の祓魔師 ―劇場版―』『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』の高橋敦史。
 また、監督はボンズ作品『スペースダンディ』にて一部話数演出を担当しており、そのスペースダンディにて脚本を書いていたSF作家・円城塔が本作のシリーズ構成を担当している。つまりゴジラSPはスペースオペラだった?
 キャラクター原案は青エクの原作者こと加藤和恵。たぶん青エクの劇場版つながり。そして音楽の沢田完は長らくドラえもんで劇伴を務めている人。なんかスタッフィングの時点で、高橋監督の集大成みがある。 
 平穏な日常が、ひょんなことから崩れていくお話。本邦におけるゴジラって、単なる悪役ではなく「自然災害」とか「神の化身」みたいな描かれ方でわりと一貫してるんだね。
 『シン・ゴジラ』でもそうだったのだけれど、主人公は真正面からゴジラと戦う戦士ではなく裏方ポジのキャラクターになっているのがすごく特徴的。本作だと主人公は物理工学系エンジニアだし、ヒロインも生物工学のドクター(マスターだっけ)。異常現象が起きたとき、その現象の原因や予兆を掘り下げながら謎の正体を探っていくSFミステリー的な部分が物語の本筋。
 そんなわけで、本編の殆どが「フィールドワークしてるシーン」と「PCを睨んでいるシーン」で出来ている。でも表情の豊かさや会話のテンポ感が面白くて全然飽きないし、何より超常現象を科学的アプローチで紐解いていくお話自体もうワクワクしちゃうので、むしろもっと喋っててほしい。これは怪獣が出なくても面白いゴジラ。まあ怪獣出るんですけど。
 主人公を演じるのは劇団四季出身の石毛翔弥。え、シンバ役やったことあるの?やば。アニメ作品の主演は『遊☆戯☆王VRAINS』以来かな。よう早口で喋れるな。
 主人公その2を演じるのは劇団ひまわり出身の宮本侑芽。よう早口で喋れるな。先のアニメ「SSSS.GRIDMAN」に始まり(円谷プロ)、機界戦隊ゼンカイジャー(東映)、そして本作(東宝)と、やたら特撮作品に縁のある御仁である。関係ないけど、こないだ稲田徹さんにたこ焼き器を買ってもらったんだって。
 乗り物を含む人工物の作画がめっちゃ正確。外観は3DCG、内装は作画っていうハイブリッドになっていて、ロボが細部までめっちゃロボ。自動車の内装くらいしっかり書き込まれているので、割と一時停止推奨。機内にSF描写が詰まっている。
 あと音楽の付け方がすごく良かった。謎の生物の遺骸やシルエットが映るだけだと「なんかやべえ生物が出てくるのかな」みたいな、不穏な予兆を与えるだけのシーンになっちゃうけど、そこで流すテーマによって、一転して「あいつが来るのか!」ってなる演出すごいよね。何気に望遠圧縮効果使ってパンアウトしながら巨躯を見せる演出のこだわり方も好き。でもワンダバが流れるのは流石に草。音楽一つでこんなにテンションが上がるとは。

youtu.be
gigazine.net

ゾンビランドサガ リベンジ

 不屈の地方アイドル。2期。
 1話は1期から少し後のお話。いつもの懐かしいノリを踏襲しつつ再起を誓うフランシュシュが差し入れてもらっていたのは、小島食品工場株式会社がネット販売限定で展開しているおつまみシリーズ「古伊万里浪漫」。約40種類以上の豊富なラインナップから、シチュエーションに応じたセットが選び放題。干物なので、最低でも2ヶ月の賞味期限を保証しているところが地味に嬉しい。

食べてみた

 今回購入したのは「古伊万里浪漫 ビール党6選 おつまみ ギフトセット 6個入」。うち、紹介するのは「焼えいひれ 唐辛子入り」「辛子明太炙りいわし」「殿様するめ」。
 ちなみにどれも食べきりサイズとなっているので、一人でちまちま食べることができる。

・焼えいひれ 唐辛子入り

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焼きえいひれ 唐辛子入り

 軽く噛むだけでどんどんほぐれていく。ヒレの骨がパリサクで癖になる。しょっぱ辛いので日本酒の方が良いかもしれない。めっちゃ辛い。

・辛子明太炙りいわし

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辛子明太炙りいわし

 いわしが短冊状にカットされている干物。カットされている部位が頭だったり背中だったりお腹だったりするので、パリパリからフワフワまで食感が意外と多彩。炙った青魚特有の香ばしさがありつつ、焦げたときの苦味は一切含まれていないのですごく旨い。あと辛い。

・殿様するめ

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殿様するめ

 イカの皮が付いているため、ほんのり苦味がある。あと香ばしくて旨い。わりと永遠に噛んでいられるので、これだけでかなりの満足感。味は しょっぱさ > 甘さ なので、この1パックだけでお酒をパカパカ飲める。噛む→飲む→口に残ってるイカを噛む→飲む→…の無限ループが完成した。

 閑話休題。数あるご当地アニメの中でもゾンビランドサガはストーリーの中に地元の企業や施設がガッツリ絡んでくるのが特徴的。また、ただの「応援してるね!」ではなく仕事として呼ばれてパフォーマンスして、っていう関係なのが良いよね。アイキャッチでリアル商品を宣伝しているのも物語に沿ってるし。

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©ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会

 彼女たちがゾンビィであることを除けば、非常にリアル準拠な地方アイドルを描いた作品。いきなりファンが500人から数千人に増えないし、大規模な会場を押さえても奇跡的に会場が埋まることは無いっていうリアリティラインは「アイドルはファンタジーじゃねえんだよ!」っていう。
 ゾンビランドサガの音楽って、「アイドルらしからぬ」みたいな尖ったコンセプトのものを敢えて選んでいるみたいなことをプロデューサーがインタビューで語っていた記憶があるのだけれど(それで1期のOPがあんな感じのかっこいい曲になったらしい)、それにしても冒頭の曲よ。なんせ歌がうまいから、だんだんおばちゃんたちの歌声に火が灯っていくのホント草。どんな社歌やねん。
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MARS RED

 比較的ホワイトな鬼滅の刃
 舞台演出家の藤沢文翁による、2013年に初演の音楽朗読劇が原作。制作はSIGNAL.MDProduction I.Gの親戚)。『ネト充のススメ』を制作したスタジオで、TVシリーズの元請けはめっちゃ久しぶり。監督の羽多野浩平は本作が初監督かな。最近だと『まちカドまぞく』のOP絵コンテ・演出、4話(タコさんウインナーの回)の絵コンテ・演出とかやってる人。
 シリーズ構成の藤咲淳一は『BLOOD+』の監督・シリーズ構成を務めた人で、その音楽朗読劇『BLOOD+ 〜彼女が眠る間に〜』に藤沢文翁が演出として参加したつながりかな。
 キャストは主人公役・諏訪部順一を含む一部が朗読劇から続投で、藤沢文翁も本作の音響監督として参加している。
 大正浪漫ダークファンタジー。世界観としては『天狼 Sirius the Jaeger』『終わりのセラフ』とかに近い。
 元々が音楽朗読劇ということで、物語は「悲恋」がテーマになってるみたい。お芝居の気合の入りようが凄まじい。単にキャスティングが神がかってるっていうのもあるのだけれど、朗読劇の独特なテンポ、間合いのようなものが何故か失われておらず、どのキャラクターの掛け合いも好き。
 1話の後半に向かって、まるで階段を駆け上がるような盛り上がりを見せる一連の展開とか、リアル舞台のクライマックスシーンを観劇しているような気分に。これ、舞台版を生で観たかった。
 1話に登場する舞台女優を演じるのは高垣彩陽。彼女のとんでもない怪演で全てを持っていった1話は、他の記憶がかすれるくらい強烈なキャラクターに仕上がっている。「演者が上下を演じ分けている感」を残した演出になっているあたり、舞台の生っぽさを感じる。
 背景の色彩がすごく好き。平面的な絵が多く、空の色彩とかかなり版画っぽさがありつつ、一方で洋風の建築や衣装が描かれているため、ミュシャっぽくもある。すごく独特な雰囲気だよね。
 あと、とにかく劇伴が美しい。音楽朗読劇で音楽を担当した村中俊之が続投しており、おかげで作品の雰囲気がかなり舞台っぽくなっている。「お前んち、ウーファーあるよね?」と言わんばかりの豊かな低音で、ぜひ良いイヤホン・ヘッドホン、もしくは2.1ch以上のスピーカーで聞いてほしい。村中俊之はもともとチェロの奏者なので、この豊かな低音はチェロなのね。つい久石譲の音楽を思い出すような、映画とか舞台の音楽みが強い。そういえば、久石譲が携わった作品『海獣の子供』の劇伴がすっげー良かったよ。

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NOMAD メガロボクス2

 「NO MAD」ではなく、”遊牧民”を意味する「NOMADノマド)」。2期。
 絵柄がかなり違うのでピンとこないかもしれないが、漫画「あしたのジョー」連載50周年記念作品。
 1期放送当時、プロデューサーのインタビュー記事で「森山洋という人物を世間に知ってほしかった」みたいなことを言っていたのをうっすら覚えてはいたのだけれど、まさか2期とは。
 とても綺麗に終わった1期のおさらい:首輪がついていた主人公たちは、なんやかんやあってその首輪を引きちぎり、無事自由になりました。
 2期のあらすじ:その象徴となるメガロニアでの決勝戦のあと、主人公は過去の栄光という亡霊に苛まれる羽目になりました。ナムサン!次のステージに進んでなお、新たな首輪に苦しめられる姿はまさに人生って感じ。ボクシング漫画は選手のサクセスストーリーだけではなく、栄枯盛衰まで包括した物語っていうイメージなので、この2期のお話も王道ということになるのかな。
 2期になって、ボクシングのシーンが進化してる。体重の乗ったパンチ、体重の乗っていないパンチ、体を捻ってパンチを撃つときの足さばき等、切那の切り取り方がとても豊かになっていてすごい。セル画調の画作りも健在で、「ステゴロの格闘アニメといえば3DCGだよね!」っていう2021年においてかなり異彩を放っているよね。

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©高森朝雄ちばてつや講談社メガロボクス2プロジェクト

 また、本作の特徴である「ギア」というモチーフが好き。本作の機械拳闘におけるギアは単にアクションを派手にするための演出という表向きの意味とは別に「選手のスポンサー」とか「マッチメイクを取り仕切るオーナーの所有物」とか「過去の因縁」といった、ボクサーにとっての何らかのしがらみの暗喩になっていたからこそ1期では「ギアは取外し可能な外部装置」であることをうまく利用したシナリオになっていたんだよね。本作でも早速それぞれのボクサーの背景、というかしがらみ、というか繋がりが描かれている。ジョーもまたギアつけてるし。
 音楽は1期と同じくmabanua。1期のブラックミュージックからガラッと変わってスペインの音楽に。主人公が「よるべを失った遊牧民」として描かれるのと対比する形で、海外にルーツを持つ移民・難民が出てくるっていうのは2021年だからこそっていう感じがして好き。海外でもウケてほしいなぁ。

86―エイティシックス―

 ディストピア世界の戦争ゲーム。
 電撃文庫より2017年から連載されている、安里アサトによる小説が原作。イラストはしらび、メカニックデザインはI-IV。
 電撃文庫ということで、制作はA-1 Pictures。3DCGは白組。監督は、『GRANBLUE FANTASY The Animation』『約束のネバーランド』『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』等で演出を担当した石井俊匡。初監督かな。シリーズ構成は『約束のネバーランド』の大野敏哉が担当している。キャラデザは『学戦都市アスタリスク』『亜人ちゃんは語りたい』の川上哲也。やっぱA-1 Picturesのヒロイン可愛い。
 音楽は、澤野弘之とKOHTA YAMAMOTOのコンビ。つよい。特に、SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki名義のED主題歌『Avid』がすーーーーーーっごく良かった。
 現実では無人ドローンによる遠隔攻撃が実戦投入されるようになって久しいけれど、本作における「無人機による戦争」はこれをさらに発展させた戦争形態。
 1つ目は、現実感を感じにくくなる、という点。自身がコントローラを握って敵を撃つのではなく、その間にもう1段階プロセスを挟んでいるのがより悪い方向に。指揮をする将校たちはゲーム感覚に近いかたちで戦いに関わっており(操作用インターフェースもマルチモニターのゲーム画面みたい)、将校たちの待機所がゲーセンの休憩スペースみたいになっている。
 2つ目は、ディストピア世界の構築。「人間を載せないことで流血を防ぐ」という正攻法ではなく「人間と、それ意外という概念を導入する」という優生思想によって、戦争の悲惨さから「全ての人間」を守ることに成功している。

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1話より、一見平和な街の様子 ©2020 安里アサト/KADOKAWA/Project-86

 ヒロインはこの構図に立ち向かう役割を担っていて、強い使命感を持ち、積極的に行動を起こし、そんな自分を誇らしく思っているっていう気高い(あと可愛い)人間として描かれているんだけど、それが逆説的に「両者の見えている景色があまりに違うという現実」を強調している2話のラストが非常にきつかった。戦争モノって基本的に自軍と敵軍という対立関係がテーマになっているのに、本作は85区と86区がその対立構図になっているのはそういうことだったのね。敵の敵は味方じゃないのか。
 ああ愛しのディストピア飯!ちょくちょく挟まるSF描写めっちゃ良いよね。特に戦闘シーンはSF描写の塊で、局地戦用ゆえ戦車より優れた走破性のあるデザイン、というより「どこでも自力で行ける高射砲」だよねこれ。歩くときのエンジン音とか、移動しながら撃てるように姿勢が低く、すり足気味で本体が上下しない動きとか。装甲?知らんな。

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©2020 安里アサト/KADOKAWA/Project-86

 2話の戦闘シーンとかマジで凄い。高射砲のマズルフラッシュと爆炎、反動、着弾時の爆炎も容赦なくて興奮するし、一方の戦術描写もかっちりしている。一望できる狙撃ポイントから一気に叩いたり、建物等の遮蔽物で敵の視線を切りながら死角に回り込みつつ一撃離脱を徹底したり、その中でも主人公が変態ムーブで魅せてきたり。こんなやつ『アーマード・コア』の戦場にいたわ。外見は全く一緒の機体だけど、ちゃんとエンブレムで僚機と見分けがつくように演出してるところも好き。
 また、公式ラジオがYoutubeで配信されている。パーソナリティは千葉翔也、長谷川育美。今回が初パーソナリティとなる長谷川育美に対し一日の長がある千葉翔也は、話の持って行き方が丁寧で、かつ本作の感想についても十分に咀嚼した上で提供してくれるため、すごくわかりやすい。本作の理解を深める上で結構おすすめ。やっぱりちばしょーのラジオ好きだわ。
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シャドーハウス

 アダムとイヴと、知恵の実。
 『週刊ヤングジャンプ』にて2018年より連載中の、ソウマトウによる漫画が原作。また「となりのヤングジャンプ」とアプリ「ヤンジャン!」でカラー版が同時に配信されている。
 制作はCloverWorks。監督は『PERSONA5 the Animation』で一部演出を担当した大橋一輝。本作が初監督かな。シリーズ構成は同じくCloverWorks作品『約束のネバーランド』でシリーズ構成を担当した大野敏哉
 ひょんなことからシャドーさん家の使用人として働くことになった女の子のお話。1話は初仕事に戸惑いながらも徐々にシャドーさんと打ち解けてい様子が描かれる。なんだ、シャドーさん全然怖くないじゃん!
 主人公目線をベースとした語られ方のため、主人公に見えないものは見えない。RPGで言うところの「Lv1のときはこの扉は開かない(存在に気づかない)けど、そのうち行けるようになる」みたいな伏線まみれになっており、ハートウォーミングストーリーに終始している1話の時点で既に心がざわざわしまくっている。主人公が成長するにつれ「あれ、そういえばこれって・・・」という形で、世界の謎が徐々に紐解かれていくという部分が物語の縦軸かな。3話とかほんま。
 主人公を演じるのは篠原侑。『となりの吸血鬼さん』では人外を愛する人形好きの女の子だったが、本作では人外に愛される人形の女の子になってしまった。あんま変わらないか。キャストは基本的に人形と影を同一人物が担当している。1話を観るとその限りではないのかな、なんて思うけれど、2話以降を見てると主人公のみが特別な立ち位置であることがとてもわかりやすい。
 音楽は末廣健一郎。オケが中心の劇伴になっていて、特に主人公の心情を表す音楽が多い。なんせ本作は不穏な空気が漂う作風ゆえ常に緊張感を感じやすいので、主人公が嬉しい時は嬉しい音楽、主人公が悲しい時は悲しい音楽を聞いて、できるだけ主人公目線で楽しもう。とっても平和なアニメに見えてくる。

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1~3話のエミリコ。©ソウマトウ/集英社・シャドーハウス製作委員会

 
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バクテン!!

 ネガティブ禁止の青春部活モノ。
 ノイタミナ枠のオリンピック案件・・・ではなく、フジテレビによる「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」という東北大震災の被災地支援プロジェクトで作られたオリジナルアニメ。
震災から10年 フジが東北3県舞台アニメ3作制作 - 芸能(日刊スポーツ)
ずっとおうえんプロジェクト 2011+10
 制作はZEXCS。監督の黒柳トシマサを含め、同スタジオの作品『舟を編む』のスタッフが多く参加している。シリーズ構成は『ログ・ホライズン』『スーパーカブ』の根元歳三
 余談だけど、辞書の編纂をテーマとした『舟を編む』では作中に架空の辞書「大渡海」が登場するのだけれど、実は本作の主人公の勉強部屋に大渡海がこっそり置かれていたりする。そういうファンサいいよね。
 宮城県岩沼市の、とある男子新体操部のお話。アニメの制作会議で会議で「ネガティブを禁止しよう」という方向性になったらしく、非常に明るい方のスポ根アニメに。pvの時点で驚きの青さに。
 1話で試合に出ていた先輩に対する憧れから新体操に興味を持った主人公が、「試合に出たい」と思うようになるまでの動機づけが2話まで丁寧に描かれている。主人公が非常にポジティブな性格で、かつ先輩たちも彼の自主性に寄り添ってくれるいい人ばかりなので、見ていて気持ち良い。私が高校時代に所属した部活動も、あんな感じで初心者の私を歓迎してくれた先輩ばかりだったなぁ、なんてことをふと思い出してほっこりした。
 で、なによりアクションが凄まじい。アクション作画監督として、「神姫絶唱シンフォギア」のアクションディレクターでおなじみ光田史亮が参加しているため、競技シーンになると急に別次元のアニメになる。
 まず冒頭の競技シーン。まさかの演技1回分、まるまる放送するという狂気のシーンになっている。アニメならではの、演者の合間を縫うように飛び回る視点もヤバいし、モーションキャプチャーをベースとした3DCGとロトスコープ作画があまりに高レベルで融合しすぎていて、ただただ魅入ってしまう。
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 また、1話後半の練習パートは作画だけど多分ロトスコープだよね。「補助を付けてもらってバクテンしようとするんだけど、反りが足りなくて失敗する動き」のリアルさよ。そこまでするのか。
 2話ラストのバク転も、切那にこれまでの物語が全部圧縮されたような演出と美しい体の動きが相まって映画のワンシーンみたい。光田さんやべえ。
 個人的に、ここ最近で光田史亮が手掛けた作品としては「少女歌劇レビュースタァライト」の第8話が超好き。古川知宏監督が「同じものをまた作れって言われても、二度と出来ないかもしれない。奇跡みたいなクオリティの仕上がり」みたいなことをラジオで話してたのが印象的で、もうほんと超すごいのよ。
 ところで、制作スタジオのゼクシスはツイキャスでこっそり公式ラジオ番組を配信している。監督、プロデューサー、各話演出の方々がワイワイ楽しそうに「あそこのシーン、実はこういう演出になってるんですよ!(ドヤァ)」「実は絵コンテが完成した段階で尺が7分くらいオーバーしてたんすよww」みたいな制作秘話を生放送しているので、興味のある人は是非。
twitcasting.tv

ましろのおと

AmazonPrimeVideo見放題独占配信

 若手ミュージシャンの上京物語。
 『月刊少年マガジン』にて2010年より連載中の、羅川真里茂による漫画が原作。
 制作はシンエイ動画。監督は同スタジオの作品『からかい上手の高木さん』の赤城博昭。シリーズ構成の加藤還一も、『ブラッククローバー』シリーズ構成の他に高木さん2期の一部脚本を担当した人。
 また、『ジビエート』でおなじみ吉田兄弟津軽三味線の監修として本作に参加している。監修って、楽曲とか三味線の作画とか監修するんかな。
 ひょんなことから青森→東京へ上京した主人公が、自分だけの音楽を探すお話。ロッカーの上京物語かな。実際1話ではロックミュージシャンを目指してる彼くんと対比する形で「主人公は音楽とどう向き合うの?なんで音楽やってんの?」が描かれている。色々な人たちと関わっていく中で、過去(おじいちゃんの津軽三味線)に縛られる主人公が未来志向へと変わっていくお話かな。高校入学はその第一歩とではあるのだけれど、一方で「青森にいた頃となんにも変わってねえじゃん」ってなるところが青春してて好き。
 新しい音楽=未来の象徴 歴史のある音楽=過去の象徴みたいなとこあるよね。津軽三味線はカテゴリとしてはクラシック音楽に属するため、特に「過去のしがらみ」という文脈になるのね。また、クラシック音楽は「この曲はこういう風景・心情を描いた曲なので、それをどうやって演奏で表現するのか」という部分にスポットが当てられるため、歌詞で語る音楽と比べて(アニメーションとしては)情景描写が凄く豊かだなぁって改めて思った。
 で、その津軽三味線の演奏パートがマジですごい。奏者が座ったまま演奏するスタイルと、固唾を呑んで見守るオーディエンスが「静」、音楽の荒々しさが「動」の対比になってて超カッコいい。それに、三味線ってこんなに音が豊かなんだ。アタック音も多彩だし、弦も3本しかないのに音色も鮮やかだし、曲の展開によってスピード感が変化していく自由度もすごいし。
 2話ではデュオ演奏曲および唄が演奏されるんだけど、曲と唄(全身を使うように歌う歌唱法の作画から溢れるパワーが凄いよね)が良すぎて全部持っていかれる。
 本編1話ではロックと津軽蛇味線が出てきたけど、EDはJ-Popと津軽蛇味線。和ロックの進化版みたいな音楽になってて超かっけー。てか加藤ミリヤ吉田兄弟やんけ!これは勝ったわ。てかEDクレジット読めねえ!!

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やくならマグカップ

 放課後とうげい日誌。
 2012年よりプラネットから発行されているフリーコミックが原作。岐阜県多治見市を舞台に、伝統工芸品の美濃焼をテーマに扱った作品。コミック自体は今も無料でダウンロードできる。
yakumo-tajimi.com

 制作はみんな大好き日本アニメーション。子供向けアニメかな?監督は『キングダム』シリーズでおなじみ神谷純。シリーズ構成の荒川稔久もまたキングダムを担当していた人。キラキラした作品のような印象を受けるが、スタッフにはベテランが多め。
 最高気温40.9℃の街として広く愛されている街・多治見市に引っ越してきた主人公が、入部した陶芸部の活動を通じて市の日常を描くご当地アニメ。内容も陶器にまつわる挿話が多め。『おちこぼれフルーツタルト』とか観てると感覚が麻痺してくるけど、本作はかなり多治見市の魅力を発信することに重点を置いたご当地アニメになっている。
 構成も2期の「八十亀ちゃんかんさつにっき」よろしく、実写パートでメインキャストたちが作中の聖地を巡礼しながらダベっている。ブラやくも。もしブラタモリだったら陶芸→素材の土→地形→歴史という具合に多治見市を掘り下げる(物理)話になるんだけど、カフェでお茶してるだけの本作はまた違う趣がある。多治見市行きてえなぁ。
 またアニメ2話ではフィールドワークを通じて陶器のことを学ぶ回になっているのだけれど、まさかの「碍子」登場。ちなみにブラタモリではタモリさんが工場で碍子を作る体験をしていたので、2話はほぼブラタモリ
 また、2話は引っ越してきたばかりの主人公がなかなか部活に馴染めず、おセンチになっているところから始まっていて、フィールドワークを通じて徐々にみんなと打ち解けていくっていう「もう一つの物語」の描き方がすごく良かった。
 ちなみにプリチャンとキャストがめっちゃかぶってるけど、本作とは関係ない。主人公を演じる田中美海はご当地アニメと本当に縁のある声優さんだよね。ぱっと思いつくだけでも「WUG」「ハナヤマタ」「ゾンビランドサガ」「結城友奈は勇者である(くめゆ)」とか。よっ!地方創生みのある声!
 アニメーションとしては、SEとかセリフとかキャラのお芝居とか、全体的にキラキラした雰囲気に包まれている。ご当地アニメということで背景の気合もすごいけど、担当してる草薙の写実的ないつもの作風(例:スーパーカブ)とは違う、暖かくて柔らかい背景なのがすごく印象的。制作が日本アニメーションなので、あえて親しみやすさを重視してるのかな。
 あとOPすき。カントリーミュージックって久しぶりに聴くとすごくノスタルジーを感じる。多治見市はウェストヴァージニア州だった?

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転生したらスライムだった件 転スラ日記

 小休止。平和な方の転スラ。
 「月刊少年シリウス」にて連載中の、柴によるスピンオフ漫画が原作。
 制作は本編と同じくエイトビット。監督は転スラのCGIプロデューサーである生原雄次がクレジットされている。
 分割2クールの間にリムル王国の日常を描く。でもガッツリ30分枠。ていうかむしろこれが本編まである。あっちが動乱パート、こっちが内政パートと言えるくらい、相互補完的な内容。特に本作では脇役の臣民にスポットを当てた話が多いので、リムル王国がいい感じに発展している(た)ことを改めて実感できて楽しい。また登場キャラがクッソ多いので、終始本編より賑やか。
 当のリムル本人としては、こっちでは物語を引っ張る必要がないため、立ち止まってこれまでの自分の行いを振り返るパートとして機能している。まあ、日記ってそういうもんだよね。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う

 ポップなクズの本懐
 「カクヨム」にて2017年より連載され、2018年から角川スニーカー文庫から書籍版が刊行されている、しめさば氏による小説が原作。イラストは3巻までぶーた氏、4巻から足立いまる氏が担当。
 制作はproject No.9。ラブコメ作品を中心に扱うスタジオなので、本作も一応ラブコメということになるのかな。監督の上北学は本作が初監督。シリーズ構成の赤尾でこは、同スタジオの作品『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』でシリーズ構成を担当している。
 1話は、いわゆる「神待ち」のJKを拾うお話。元JKかな。『ワンダーエッグプライオリティ』観た後だと、神待ちっていう言葉だけでうへぇってなる。で、主人公とその子との歪な構図が概ねタイトルに集約されている。
 神待ちで半年間生き延びたワケアリのヒロインは既に「ギブアンドギブなんてこの世には無い。この世はギブアンドテイクなんだよ」というサヴァイブスキルに染まっており、主人公の個人的な厚意すら「自分に返せるものがあるか、ないか」という基準で断ったりする姿を見てると「ああ、公的な支援(セーフティネット)をすり抜ける人の中には、こう考えている人もいるのかな」なんてことを思った。
 加えて、その彼女の考えに対して「いや、俺は既に十分お前から対価をもらっているから、これは正当な報酬だよ」つって彼女の価値観を肯定しちゃう主人公よ。「俺自信も、あいつの甘い考えを許して逃げ場を作っているクソッタレだ」と自己嫌悪してる場合じゃないぞ。
 「そのJKを拾った大人は全員クズ」「俺もそのJKを拾った大人の一人だけど、俺だけはクズじゃない。そいつらとは違うんだ」「本当のJKはこういう子じゃない」「本来のJKはこういうときにそういう事言わない」みたいなモノローグがすごく多い主人公。小説はもっと多いのかな。自信の理想を、妄想を、コンプレックスを彼女に押し付けることで「自分は他の大人とは違って立派な人間である」と思いたいのかな、主人公。結局テメーの身勝手に彼女を巻き込んでいるただのクズでした、というオチになりそう。
 また、彼女に「こうしろ、ああしろ」という言葉がいちいちブーメランになって主人公を苦しめているようで辛い。「で、何をしたいんだ・・・俺は・・・」という言葉がしみる。あと現代を舞台にした作品で、主人公が心情吐露をするシーンに小道具としてタバコ使うの最近少ないよね。相当おっさん向けってことなのだろうか。

聖女の魔力は万能です

 聖女の魔力は万能ですが、お前ではないです。
 2016年から「小説家になろう」にて連載されている、橘由華による小説が原作。2017年からカドカワBOOKSより刊行中。イラストは珠梨やすゆき。
 制作はディオメディア。監督は同スタジオの作品『ガーリッシュナンバー』『ドメスティックな彼女』の井端翔太。そしてシリーズ構成に『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』原作者の渡航がクレジットされている。なんで?と思ったら、ガーリッシュナンバーの原作者なのね。キャラデザは『アホガール』でキャラデザを担当した石川雅一
 お話としてはタイムトラベル・ラブロマンスみたいな?少女マンガっぽい作品。ひょんなことからタイムスリップした主人公が実はすごい力を持っていて、そんな彼女を巡って大きな争乱に発展していきそう。あと聖女様が主人公として描かれるアナザーサイドの物語もあるのかな。
 異世界転移モノの1話はたいてい異世界転移のくだりと世界観説明に結構な尺を持っていかれがちなのに、それを早々に打ち切って(主人公目線で考えれば、勝手に連れてこられた世界の事情なんてぶっちゃけどうでもいい話ではある)、「主人公は今どうしたいのか」という視点で一歩一歩進んでいく様子が描かれているので、血の気の多いなろう作品とは違った趣きがある。本好きの下剋上(序盤)っぽいかも。
 また、転移系の作品は「誰が、何の目的で主人公をこの世界に送ったのか」の部分を解き明かすことがひとつテーマになることが多いけれど、1話冒頭でそこが明確になっていて、かつ転移が完了した時点で主人公は役目を終えているため「正真正銘の自由」を手に入れている、というのも特徴的。
 1話、2話とスローライフなお話が続く。やっぱり最初は衣食住だよねー。生活改善のための工夫として、スキンケアをテーマに選ぶところが個人的に盲点だった。たまたま知り合ったお姫様と、使ってる化粧水の話をしてるシーンいいよね。単に「肌きれーだね」で終わらない肉付けの仕方も好きだし、そこからニキビの治療の話につながっていくってすごない?
 あと、キャラデザがすごくシュッとしている。主人公含め皆成人済のため、甘酸っぱい青春モノというフレーバーがほぼ無いという特徴を捉えたような、大人っぽい感じ。登場人物に未成年が多い『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』と比べ、もっと大人向けの作品なのだろうか。

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シュッとしていて、表情の豊かな主人公 ©2021 橘由華・珠梨やすゆき/KADOKAWA/「聖女の魔力は万能です」製作委員会

 ところではめフラのカタリナ様って転生前は学生で、かつ転生してから10年くらい生活しているので、本作の主人公とは精神年齢はほぼ同い年なのでは?・・・同い年?

さよなら私のクラマー

 私達が思いっきりプレイできる環境は少ない。今夏、劇場版公開予定。
 『月刊少年マガジン』にて2016年から2021年1月まで連載された、新川直司による漫画が原作。新川直司といえば『四月は君の嘘』以来のアニメ化。
 制作はライデンフィルム。監督・宅野誠起、シリーズ構成・高橋ナツコ、キャラデザ・伊藤依織子、音楽・横山克等、主要スタッフはライデンフィルム作品『うどんの国の金色毛鞠』『恋と嘘』『寄宿学校のジュリエット』等でよく見るいつもの座組。ちなみに横山克は『四月は君の嘘』でも音楽を担当している。
 サッカーと言えば実質的に日本の国技の一つみたいなものだけれど、女子サッカーとなると世界が一変するんだね。同じくマイナー競技を扱った『灼熱カバディ』と違うのは、団体競技の側面が強いという点。「マイナースポーツ、しかも団体競技だからこそ起きる悲哀」みたいな部分がフォーカスされているのが印象的だった。人が少ない、集まってもモチベに差がある、技術の差がある、やる気や才能に溢れるほど孤立する。というドラマがそれぞれのキャラにあって、彼女らが同じコートで試合をすることで出会い、救われるまでの物語。
 音楽の付け方もここに重点が置かれてて、序盤はほとんど音楽無いんだよね。陰鬱とした、という程ではないけれど、どこか閉塞感のある感じからの盛り上がり。横山克の音楽やっぱり好き。
 また、当事者である高校生達の青春ドラマと同時に「彼らが満足にプレイできる環境を提供するには、何をすれば良いのだろうか?と思い悩む指導者たちの物語」も同時並行で描かれていて、かなり包括的に女子サッカーを描いた作品になっているのが印象的。プレイ人口を増やすには何をすれば良いのか、最高のプレイが出来る環境はどこに作れば良いのか、仮にプロを目指す子がいたとして、彼女たちの将来をどうやって作っていくのか。『メジャー』シリーズみたいにプロサッカー編とかあるのかな。
 そして声が強い。島袋美由利悠木碧黒沢ともよ。あとうどんの国の金色毛鞠でポコを演じた古城門志帆が主要キャラとして参戦しているのね。ちょっとエモい。そして監督役が甲斐田裕子。どう考えても鬼やん。試合中は「殺すぞ」くらいの殺気を感じるような大声で指示を出すのがサッカーの特徴だけど、傍から見ると喧嘩してるようにしか見えないところも再現している。
 また、サッカーシーンで印象的なのが「パス」の意味。パスには「試合をどう展開するか」「ボールを持っている人が何を考えていて、周りはそれをちゃんと理解しているか」「そして、それにちゃんと付いてこれるのか」という暗喩になってて、とにかく1話はパスが通らないんだよね。男子からボールを貰った主人公が取りこぼすシーンは特に印象に残っている。
 EDアニメーションはモーションキャプチャーによるロトスコープ風アニメーション。絵コンテ・演出をライデンフィルム作品『はねバド!』の監督である江崎慎平が担当しており、あのやべえアニメーションが久しぶりに。


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BLUE REFLECTION RAY/澪

 
 ガスト(コーエーテクモゲームス)より2017年に発売されたゲーム『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』が原作。
 制作はJ.C.STAFF。監督は『Lostorage conflated WIXOSS』『魔法科高校の劣等生 来訪者編』の吉田りさこ。シリーズ構成は『Lostorage incited WIXOSS』『ひそねとまそたん』等で一部脚本を担当した和場明子。キャラクター原案はドヤ顔ダブルソードの人こと岸田メル。今季のアニメの中でも特に繊細なデザインになっている。アニメのキャラデザは『この素晴らしい世界に祝福を!』の菊田幸一。え、変身フォームのデザイン、めっちゃ良くない・・・?


 魔法少女モノであることはさておき、思春期の繊細な心情の機微を丁寧に描いていく群像劇。あと百合作品。
冒頭の展開は割と「フリップフラッパーズ」に近いかも。「内向的な少女が、明るい少女と出会うことで変わっていく魔法少女モノ」という流れではあるのだけれど、フリフラは「内側にあったフラストレーションが、変身によって爆発する開放感」みたいな所が魅力的に描かれていたのに対し、本作はもっと陰鬱としているのが印象的だった。「正義と悪」みたいな構図すら若干曖昧なので、最終的に泥沼になりそうな予感。ダークさでは「グランベルム」とか「WIXOSS」に近い。特にEDのダークさが強烈。
 色彩も非常に特徴的。単色じゃなくグラデーションで塗るっていうクッソめんどくさい描き方になっていて、全体的にすごく淡い。
 だけでも十分異彩を放ってるんだけど、戦闘シーンがもっとヤバい。生物をかたどった宝石をモチーフとしたエフェクトっていうかテクスチャっていうか、どうやってこれを考えたんだろうっていう意味ではまどマギのイヌカレー空間と良い勝負している。
 時が止まっている表現といえば、JOJOのザ・ワールドみたいに「停止しているモノ=青い色」みたいに、寒色系の色を使って描き分けることが多いイメージなんだけど、本作のこれは「もっと高次元の、ヤバい何かがこちらの世界に干渉してきている予感」みたいなものを表現しているのだろうか。ちょっと「裏世界ピクニック」っぽい作品かも。
 めっちゃ動かしづらそうなシーンが多いのでキャラの表情が硬いけど、それでいて戦闘シーンはゴリゴリ動かしてくるんだから凄いよね。特に『ガールズ&パンツァー』『スロウスタート』でメインアニメーターを務めた吉田亘良が原画を描いている変身バンクめっちゃ好きなのでみんなも見てほしい。2話Bパートだから!

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Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~

 ツッコミ不在の狂気(”狂気”と書いて”愛”と読む)。キンプリみたいな「美男地球防衛部
 オリジナルアニメ。制作は『美男高校地球防衛部』『RobiHachi』のスタジオコメット。監督は『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』の菱田正和と、同じくキンプリで演出を担当した小林浩輔がシリーズディレクターとして参加している。
 冒頭からカロリー高くてお腹いっぱい。大真面目に「私達の宗教の素晴らしさを知ってもらう為のアニメですよ」みたいな作り方をしながら、ちょくちょく細部から狂気を漏らすのやめろや!
 あまりにもツッコミが不在なので、画面に向かって真面目に突っ込んでる自分が逆に頭おかしいのでは?と思えてくる。登場人物もストーリーも徹頭徹尾マジメ路線なので、狂気にさえ目をつぶれば実質「セーラームーン」と同じく少女漫画の系譜にある魔法戦士モノなのかもしれない。
 激しいエフェクトとともに空を舞うプリズムジャンプ!さてはキンプリ・・・いや、この実写混じりのカオス空間、さてはお前まどマg・・・いや、このBGM、さてはお前勧善懲悪モノの時代げk・・・いや、この輝く可愛い魔法のステッキ、さてはお前女児向けアニm・・・いや、この扉のデザイン、さてはお前キングダムh・・・いや、なにこれ?

擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD

 か・・・さ・・・擾乱。綺麗な無限の住人

 地球の大気圏では自転などの影響で常に対流が起こっている。その中でも、普通の動きとは違い、時間とともに刻々と変化する比較的小さな乱れが常に発生している。このように大気が乱れる現象を気象学では擾乱と呼んでいる。気象学における擾乱であることを明確にするため、気象擾乱と呼ぶこともある。(Wikipediaより

 制作はBAKKEN RECORD。タツノコプロが立ち上げた新レーベルで、BAKKEN RECORD名義での制作は『パンドラとアクビ』に続き2作目。監督は『攻殻機動隊 ARISE』『Dies irae』『八月のシンデレラナイン』の工藤進。シリーズ構成の根津理香はフジテレビのTVドラマなんかで脚本を書いていた人で、アニメのシリーズ構成は初かな。
 吸血鬼とか鬼とか色々跋扈していたかつての日本(明治~大正)を舞台に、因縁の相手を探しながら殺し屋稼業をする女のお話。ベースは時代劇だけど、ちょっとスパイモノっぽくもある。そして異能バトルモノ。
 「この世はなんと諸行無常なのでしょうか」っていうお話の作りがなんかアニメっぽくない。みんな達観してるキャラなので、とても儚い。1話では静かな主人公の佇まいと戦闘シーンの猛々しい様が対比になっていて「無限の住人」よりも修羅の道を歩んでるなぁ、って。その後もドロドロの愛憎劇が続くので、非常に摂取カロリーが高いアニメ。
 劇画調の作画すごいね。筆っぽい線画で描かれる戦闘シーンは全体的に黒が多く、独特の雰囲気に。絵の黒さでいうと「どろろ」が近いかも。1話冒頭とか、「曇り空」「女の髪」「着物」「地面」が全部黒で、その中で微妙なニュアンスで変化をつけているっていうこだわりよう。これが戦闘シーンでの青い光と対比になっててすごく綺麗。特に、インクをぶちまけたような血しぶきの演出やば。そういえば『BNA』とかもそうだったんだけど、アニメって色を意図的に減らしていったとき、最後に残るのって「青」「赤」なんだね。
 キャスティングからピンときた人もいるかも知れないけど、実はブシロ案件。そのうち舞台とかやったりするんかな。そういうわけでOPはバンドリのRAISE A SUILEN(レーザー睡蓮だと思ってた)。節回しは演歌っぽいけどサウンドはロックってめっちゃかっけーな!

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究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら

 過疎ってる『インフィニット・デンドログラム』
 MF文庫Jより2020年8月から刊行されている、土日月による小説が原作。イラストはよう太。土日月といえば『この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる』に続き2作目のアニメ化。
 アニメ化が決まった時点でまさかの1巻までしか刊行していなかったらしいんだけど、1クールの中で余裕で追いつくのでは?ドラゴンボールみたいにならない?アキレスと亀なの?
 制作は『旗揚!けものみち』『宇崎ちゃんは遊びたい!』のENGIで、元請けは3作目。監督は全て三浦和也が続投していて、シリーズ構成は慎重勇者と同じく猪原健太。
 「物事を見る視点を少し変えるだけで、全く違う世界が見えてくる」の典型みたいな導入。パット見、主人公はただ部屋を物色してるだけなんだけど、「ここめっちゃリアルやん!」っていちいち感動する様は3DCGゲームやってる人なら結構共感するポイントだよね。初期スポーン部屋のオブジェクトいじって「これは動く」「これは動かない」みたいなのやるやる。多くのアニメ作品ではこういう細かい描写は端折ることが多いだけにちょっと新鮮だった。あと主人公が「だから痛えって!」っていうだけでこんなに面白いと思わなかった。
運営「リアルを追求するために痛みのフィードバックこだわりました!」
主人公「そのフィードバックいらねえよ!」
っていうコントみたいな流れ好き。
 あえて言うなら、異世界転移系に近いゲーム実況系っていう位置づけかな。ゲーム実況系との違いは「ゲームを通じてプレイヤー同士の交流を描く」という部分の有無。本作はゲームの攻略に孤軍奮闘するお話なので、ゲーム実況と違いプレイヤー同士の、リアルでの交流がほぼ無い。でも異世界転移系と違い、現実世界から決別しているわけではないので、そっちはそっちでどうするん?っていう縦軸も持っている。両方ともうまく行かないダブルバインドとは恐れ入った。
 よくアニメとかで「異性とのコミュニケーションが超苦手なので、ギャルゲーで培ったコミュニケーションスキルを披露して「は?お前何いってんの?」ってあしらわれるオタク男子」みたいなキャラが出てくるけど、主人公はゲーム世界のNPCからその洗礼を受けている。一周回って新しい。
 リアルを追求したゲームという肩書の意味自体は色々あるけれど、主眼はたぶんこの「NPCとのコミュニケーションをどう円滑に進めていくか(攻略するか)」という部分みたいなので、結果としてギャルゲーライクというか、要はラブコメ作品に収斂していくみたい。
 で、一人目?のヒロイン?はNPCの女性っていう。果物ナイフが似合うヒロインを演じるファイルーズあい(ファイルーズがファーストネームで”あい”がミドルネームなので、本人曰く「ファイちゃんって呼んでね!」とのこと)はバイタリティのあるキャラが多いイメージだったので、おしとやかな(清純な)キャラって珍しい気がする。監督から「叫ぶシーンで微塵の可愛さも感じさせない全力ぶりがすごく良かった」と評価されたらしく、たしかに2話以降ほぼ叫んでるよね。絶叫系ヒロイン。
 あと、各種配信サイトにて各話オーコメが配信されている。特に主人公の中の人がゲーマーなので「このフルダイブRPGってゲームとしてどう?」みたいな話を延々としてて面白い。

イジらないで、長瀞さん

 お前のほうがいじらしいよ。おまいじ。
 ナナシ(旧名"774")による漫画が原作。2011年からpixivにて連載され、2017年より『マガジンポケット』にて連載中。
 制作は『つくもがみ貸します』『神之塔』のテレコム・アニメーションフィルム。監督は『されど罪人は竜と踊る』『神之塔』の花井宏和。シリーズ構成は岸本卓。同氏は今期『フルーツバスケット』『憂国のモリアーティ』とシリーズ構成を3作掛け持ち。すげー。
 音楽制作はキングレコード。ということで、ポプテピピックよろしく吟(BUSTED ROSE)と上坂すみれが参加している。チーフプロデューサーとしてポプテピピックの仕掛け人こと須藤孝太郎も参加しており、もう既にカオスの予感。 
 お話としては、破滅的コミュニケーションの長瀞さんと対人恐怖症の主人公との日常を描く特殊性癖ラブコメ
 オリジナルのpixivは今でも公開されているのだけれど、アニメになり声が付き動きが付き、表情が付いたことで長瀞さんがより悪魔に、そして主人公がよりサンドバッグに。
 長瀞さんを演じるのは上坂すみれ。この手の作品では「ヒロインは声や仕草が可愛い割に言動がキツイというギャップが云々」という甘辛い味付けが多い中、本作の長瀞さんは「見た目がイカツい割に当たりがキツく、言動がキツイ。おまけに声が怖い」という北極ラーメンみたいなキャラに。でも長瀞さん自身は楽しそうっていうニュアンスがちゃんと声の中に入ってるんだよね。
 基本的に長瀞さんがマウントポジションから主人公をボコボコにするタイプのラブコメで、二人の関係性が特殊なバランスの上にある。一方的なコミュニケーションの中で「主人公が何を譲歩し、何をやり返すのか」みたいな部分がすごく上級者だった。作者はドMなのか?
 そこらへんの真相がわかりやすいのが、公式ラジオ番組。どういう人が本作を愛しているのか?お前らはMなのか?というパーソナリティの疑問に、いろんなリスナーから答えが集まってくる。やっぱMじゃねえか!
 また、自ら一切ブレーキを踏まない上坂すみれと、それに負けじとブレーキを踏まない鈴木愛奈の掛け合いが凄まじい。あと上坂さん、何気に本作で長瀞さんがつるんでる女子の中の人(小松未可子井澤詩織)とそれぞれラジオや生放送番組やってるんだね。ラジオモンスターやん。

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戦闘員、派遣します!

 この素晴らしいクズに栄光を!
 『小説家になろう』上で連載された、暁なつめによる小説が原作。同氏の原作がアニメ化されるのは『この素晴らしい世界に祝福を!』以来。ちなみに連載時期はこのすばより前。
 制作はこのすばと同じく、J.C.STAFF。監督は『からかい上手の高木さん』の赤城博昭で、『オーバーロード』のシリーズ構成でおなじみ菅原雪絵とは『ひなろじ』以来のタッグかな。またキャラデザの諏訪壮大は『からかい上手の高木さん』で作画監督を担当していた人で、本作が初のキャラデザ。本作はテイストとしてかなりラブコメなので、女の子がかわいい。
 このすばといえば爆音上映をよくやっているイメージだけれど、本作の音響スタッフもこのすばに引き続き岩浪美和音響チームなので、もし映画化するなら爆音上映ワンチャンあるでこれ。
 暁なつめ作品の特徴として登場人物にクズが多いというのがあるけれど、それ以外の共通点として
 ・勇者になる正規ルートが用意されている(魔王の存在、主人公に使命が課せられている、等のテンプレをちゃんと踏襲)
 ・それはさておき、主人公を含む主要キャラが己の都合を優先して行動するため、世界の救済ルートがスルーされる。
 ・結果として、悪と正義の中間くらいで落ち着く。
 特に主人公は悪の秘密結社出身なので、涼しい顔でいともたやすく行われるえげつない行為がいっそ清々しい。世界平和よりテメーの懐を大切にする人間らしいキャラばかりなので、1話にして好きなキャラばかりに。個人的に女騎士(クズ)が好き。主人公とは相容れないものの、下心(悪い意味)で協力関係を築いていく流れいいよね。

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こんな感じのヒロインが出てくる ©2021 暁なつめ, カカオ・ランタン/KADOKAWA/「戦闘員、派遣します!」製作委員会

 あと、このすばライクな演出が多め。特に印象的なのが「異世界に放り込まれる理不尽な展開」を象徴する、高高度からの落下シーン。多分、このすばOPオマージュだよね。今後もちょくちょくオマージュやるらしいので、このタイミングでぜひこのすばも観てみてね。

SHAMAN KING

 ジャンプの殿堂シリーズ。当時「マンキン」って呼んでいたけれど、今はなんとお呼びすればよいのでしょうか。
 1998年から『週刊少年ジャンプ』にて連載された、武井宏之による漫画が原作。元のシリーズは2004年に打ち切りの憂き目にあったが、なんやかんやあって2020年に講談社より『SHAMAN KING』KC完結版が刊行。本作はこの完全版がベースになっており、ラストまでアニメ化するんだって。
 制作は『遊☆戯☆王SEVENS』『無能なナナ』のブリッジ。長期シリーズに元請けで関わるのは初かな。監督は『ēlDLIVE エルドライブ』『七つの大罪 戒めの復活』の古田丈司。シリーズ構成は米村正二ONE PIECEシリーズ構成の他、リメイク版ハンターハンターの脚本、FAIRY TAILの脚本も担当しており「長期シリーズといえば」みたいな人。既に大作の予感。
 くっそ懐かしい。奇抜なキャラデザ、当時は気にならなかったけど改めて観るとすごいな。特にキャラデザをかなり原作に寄せていてちょっと感動した。2話で登場する道蓮の頭のアレはちゃんと健在。あとまん太めっちゃ喋るのな。そして阿弥陀丸がクッソイケメンだった。OPの時点である程度の指針が示されていることから察するに、結構早足でシャーマンファイトに話が進んでいく感じなのかな。原作の展開忘れたけどホロホロとかファウストって結構先じゃなかった?
 そして、キャスティングが時空を超えている。憑依合体だけによみがえれーつって。主人公役は佐藤ゆう子から日笠陽子にバトンタッチされ、その他はまさかの続投。道蓮役の朴璐美に至っては、ドスが効きまくった声の影響で前作以上の凄まじい強キャラ感が。あとアンナが完全にアンナだった。
 音楽いいよね。劇伴は林ゆうき。テーマがシャーマン(死霊使い)ということで、ある種『呪術廻戦』みたいな雰囲気も兼ね備えている作品(時系列的には逆かもしれないけれど)なので、戦闘に入る盛り上がりのシーンで流れる音楽がなんかこう、めっちゃ怖い。

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すばらしきこのせかい The Animation

 14年間生き延びる、渋谷のデスゲーム。
 スクウェア・エニックスより2007年に発売されたニンテンドーDS用ゲームが原作。また、2021年に続編が発売予定。やったね。
 制作はドメリカxシンエイ動画。監督は今期『灼熱カバディ』『セブンナイツ』を抱えている市川量也。制作がドメリカということもあり、主要スタッフは市川監督の作品『潔癖男子!青山くん』『厨病激発ボーイ』と大体一緒。音楽は原作と同じく石元丈晴が担当している。
 ひょんなことからデスゲームに参加した男の子と女の子のお話。1話から最後の段階に入ってるけど、展開早くね?
 もう主人公がすっげー厨二。「記憶喪失」「いつもヘッドフォン」「心の闇に飲まれるな!」etc、野村哲也みがつよい。リメイクされる理由は、このノリが一周回って新しい!ってなった感じ?
 舞台の渋谷は原作からアップデートされてるのかな。作中では音楽にまつわる実在の施設が登場するんだけど、タワレコってまだあるんだね。個人的にこの14年で渋谷は「流行の爆心地」というニュアンスが薄れつつあるイメージがあって、そこら辺原作ファン的にどうなのだろう。「今?渋谷?」ってならない?
 元が音ゲーということで(訂正:元となるゲームのジャンルは「アクションRPG」でした。ご指摘感謝します)、劇中歌めっちゃかっこいいね。楽曲はシリーズ通して石元丈晴が担当している。ちなみにOPも石元丈晴の楽曲。元々ALIの「TEENAGE CITY RIOT feat. R-指定」をOPとして放送する予定だったがバンドメンバーの逮捕をキッカケにお蔵入り。過去の前例に則り、既存の配信楽曲も配信停止されたりしちゃうんだろうか。あの措置って違法ドラッグ限定だっけ?
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 キャラデザがカッコよくてかわいい。私は学生時代からKHで育ってきたので(FFスルーしました)、やっぱり野村哲也のキャラデザを・・・最高やな!本作はかなり元のデザインに寄せた感じのキャラデザなのね。この世界観を作っているモブのデザインも、使い回しの効かなそうな尖ったデザインなのにめっちゃ丁寧に、大量に作ってるのが結構すごい。
 ゴリゴリにカメラを動かして疾走感を演出するアクションシーンが多いので、そういうゲームのプレイ動画を見てるみたい。ちょっとKHやりたくなってきた。

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東京リベンジャーズ

 マガジン版シュタインズゲート
 『週刊少年マガジン』にて2017年から連載中の、和久井健による漫画が原作。あと実写映画化プロジェクトが進行中。
 制作はライデンフィルム。監督は『デッドマン・ワンダーランド』『青の祓魔師 京都不浄王篇』の初見浩一で、シリーズ構成・むとうやすゆきもデッドマン・ワンダーランドで監督とタッグを組んだ人。キャラデザは『ゴールデンカムイ』『グラゼニ』の大貫健一が参加しており、全体的にゴツい感じの印象に。
 元ヤンの主人公が、過去の過ちにもう一度立ち向かうお話。タイムリープものって、ざっくり分けると過去を改変する過去志向と、欲しい未来が出るまでサイコロを振り続ける未来志向があるけど、本作は前者。タイムリープ先は2005年。あの頃ってどんなだったかなー。
 内容としてはゴリゴリのヤンキーマンガではあるんだけれど、元ヤンの主人公がそもそも「うわっ、当時の俺クソだせえ!」っていう視点なのがちょっと面白い。自分にとっての黒歴史と向き合うだけでも十分しんどいのに、周りまで自分の力で変えないといけないってヤバいね。「自分にとって一番の暗黒時代に戻って、自分の力で自分を救わないといけない」とかどんな拷問だ。
 また、過去改変は一度ではなく「改変→現実がちょっと変化→2回目の改変→現実がちょっと変化→…→n回目の改変→ゴール」みたいな方式のため「あの頃の自分を変えることで確実に未来は変化するんだ」という、とても強いメッセージを何度も発信している。なんかすげー励まされた。
 あと、この手の作品にしては珍しく主人公のやんごとなき事情を理解して協力してくれる人がいるんだね。タイトルの「リベンジャーズ」のズはそういう意味なのかな。
 OPはOfficial髭男dism。アニメ作品の主題歌は『火ノ丸相撲』以来かな。ちなみに髭男の代表曲「Pretender」は、メンバーの藤原聡が自身のインタビュー記事で『STEINS;GATE』からインスピレーションを得て制作した楽曲であることを語っていて、それくらいシュタゲが大好きなんだって。そんな髭男がOPを担当しているということは、本作って実質シュタゲじゃね?

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憂国のモリアーティ(2クール目)


 2期。制作はProduction I.G
 分割2クールの2クール目。1期では「モリアーティ卿の成り立ちと目的」「モリアーティ卿とシャーロック・ホームズとの出会い」が描かれていた。
 主人公にモリアーティ卿を据えている本作の特徴として一番印象的なのは「悪の魅力」の描き方。犯罪の手引きをするというザ・黒幕ムーブをキメるタイプのダークヒーローモノで、話数が進むごとに「スマートな解決を図るモリアーティ」「あんまりスマートじゃないホームズ」みたいな対立の構図が描かれているんだけど、このスマートな方法と言う名の「悪」にホームズを含む色んな人が魅了されていくんだよね。ギリギリのところで一線を越えずに謎を解こうとするホームズと、普通に一線を超えていくモリアーティとのコントラストがはっきりしていて好き。
 2期1話とか見ると主人公はシャーロック・ホームズかな?って感じるけど、それでもなおモリアーティを主人公に据えているのは、積んでいるエンジンが「なぞなぞ大好き♥シャーロック」に対し「憂 国 の モ リ ア ー テ ィ」という、比較にならないほど出力が違う点を踏まえれば自明と言うか、要は作者はめっちゃモリアーティ推しなんだなって。

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恋と呼ぶには気持ち悪い

AmazonPrimeVideo独占配信

 完全に一線を越えている『ブレンド・S
 pixivにて2015年から連載され、2016年からpixivと一迅社ウェブコミック配信サイト「comic POOL」にて連載中の、もぐす氏による漫画が原作。
 製作総指揮はアニプレの超偉い人こと夏目公一朗。直近で製作総指揮としてクレジットされるのは『邪神ちゃんドロップキック』『理系が恋に落ちたので証明してみた。』に続き3作目で、本作もまたコメディ作品。ちなみに本作のヒロインは、邪神ちゃんのぺこらの中の人だったりする。制作は邪神ちゃんと同じくノーマッド
 監督は『orange』のシリーズディレクターを担当した中山奈緒美。監督は初かな。最近だと邪神ちゃん2期の7話で絵コンテとして参加している。シリーズ構成は『ちはやふる』『はたらく細胞』『灼熱カバディ』の柿原優子。
 きっっっっっっmラブコメ。「俺からの誘いを断るなんて・・・おもしれー女。」から始まる年の差カップルのお話。面白がって見守る友人好き。「なんかおもしれーことしてんな。」っていう軽いノリで見れるタイプの作品。
 彼氏の度重なるレッドカードに対し彼女や周りの人間が法的措置をとらないのは邪神ちゃんみたいなコメディ時空だからとしても、なんやかんや平和に終わっていく様は多面性の掘り下げ方うまいよね。ギャグ顔をほぼ使わずに真面目な顔で頭おかしいことを言ってるイケメン彼氏はいつも喜怒哀楽が華々しくて、見てて飽きない。さてはお前が主人公だな?
 彼氏「好きだよ♥」彼女「きもっ。死ね」彼氏「アハ☆」というやり取りが、イチャイチャカップルのそれと異なり「永遠にわかり会えない二人」という設定(タイトル)によって断絶されているので、たぶん最後までこのままなんだろうなぁ、っていう流れからの2話ラストよ。
 キモいストーカー男を演じるのは豊永利行。本作が初主人公役となる小坂井祐莉絵に対し歴が長い声優さんということも有り、「饒舌にしゃべる彼氏」「喋りが拙く、よそよそしい彼女」という対比がきれいに決まってて好き。

灼熱カバディ

 火ノ丸カバディ
 小学館WEBコミック配信プラットホーム『マンガワン』『裏サンデー』にて2015年より連載中の、武蔵野創による漫画が原作。 
 制作はトムス・エンタテイメント。また制作協力に、本作の監督・市川量也が取締役を務めているドメリカが参加している。スタッフ的には市川監督の作品『爆丸』シリーズや『厨病激発ボーイ』のスタッフが多く参加していて、座組だけ見るとホビアニっぽい感じに。なんせ道具のほぼいらない競技なので、これが流行ったら小学生の間でカバディブーム来ちゃったりするんだろうか。
 競技としてカバディがアニメ化されるのは「ちおちゃんの通学路」以来かな。カバディ自体をテーマに扱った作品はもちろん初なので、いかにして新規性を描くかという熾烈なレッドオーシャンことスポーツ作品において、燦然と輝く貴重なマイナースポーツ枠。「え、カバディってそういうスポーツなん?」という根本を主人公視点で描いているという点で毎話新鮮な楽しみがある。『ヒカルの碁』並に画期的では。
 1話は説明回。説明用のアニメーションがそのまま競技の紹介動画として使用できそうなくらいわかりやすい。海外のアニメファンでも「へー、カバディってこういうスポーツなのね」って一発で理解できそうな感じに。日本カバディ協会の監修を受けているので安心だね。
 演出含め、格闘技を見ているような気分に。殴る・蹴るが無い以外はまんま格闘技なので「ハードな格闘技アニメより表現がマイルドな、肉弾戦の熱い戦いを描くアニメ」という感じ。登場人物も血の気の多いキャラばかりなので、スポーツというよりバトル系なのかもしれない。
 また、3話の学年別練習試合では、それまで個人の力で相手をねじ伏せようとしていた主人公が徐々に仲間の力を借りて戦うようになる過程を描きながら主人公の心情変化や、「相手を倒すことに主眼をおいた格闘技」と異なるカバディの特性が描かれていて好き。特に、主人公がどんどんハマっていく演出すごく良かった。表情がクッソ強くてゾクゾクする。これ、一番近いのは「鬼ごっこ」かも。スプリント鬼ごっこ。 

 本編では思ったよりも「カバディ」というセリフ(詠唱)が無いので、公式自ら耐久カバディを供給してくれている。ちょうどカバディを切らしていたので非常に助かる。
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魔入りました!入間くん 第2シリーズ

 2期。制作はNHK。昔「ざわざわ森のがんこちゃん」「さわやか三組」みたいな、学校をテーマにした人形劇やドラマを観ていた記憶があるのだけれど、その延長上みたいな作品。もし「今期でこれだけは見ろ」みたいなテーマを与えられたとき、視聴者の属性に可能な限り配慮した上で1つだけ選ぶなら入間くんかなぁ、って思った。
 1期ではなんやかんや学校に馴染むまでのお話。2期からは、ひょんなことから入間くんが自身の進路について考え始めることに。動機づけが入間くんらしくて好き。

新幹線変形ロボ シンカリオン

 きれいな新世紀エヴァンゲリオン。2期。
 なんやかんやあって急に終わったTBSの前シリーズから、テレ東の製作にチェンジしたシンカリオン。制作のOLM、監督の池添隆博(本作では総監督)を含む主要なスタッフは続投しており、視聴者としては特に気にせず続編として楽しむことができる。ただ旧作のキャラは一切登場しないかもしれない。
 TBS版の世界から数年後(同じ世界線?)が舞台になっている正当続編。登場人物は一新されていて、1話ではとある少年がシンカリオンと出会うまでのお話。やっぱり鉄道博物館から始まるのねかなり観光情報の発信に力を入れているのが印象的。聖地巡礼向きアニメって感じ。


 作品の内容は相変わらずガッツリ鉄オタなのね(主人公はオカ板住人っぽいけど)。新幹線に加え、在来線が合体融合するシステムが追加。戦いの可能性は新たな超進化速度へ。何言ってんだ自分。「え!?はやぶさと山手線!?どうやって?(地理的に)」っていうのがポイント高かった。
 あと3話のタイトル草。え、鉄道が好きな子ってVVVFインバータでテンション上がるの?タモリ倶楽部の「走行中の電車のインバータ音ソムリエ回」くらいでしかフィーチャーされているところを見たことないのだけれど。
 余談だけど、つい先日公開された新世紀エヴァンゲリオンは特撮の系譜にある作品で、また本作や『SSSS.DYNAZENON』が新世紀エヴァンゲリオンと縁のある特撮作品で、さらに『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』という長い歴史のある特撮作品も同じ時期に公開されているのって相当すごいよね。特撮のリバイバルブームじゃん。

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幼なじみが絶対に負けないラブコメ

 明るい『School Days』。俳優たちの恋愛頭脳戦。
 電撃文庫より刊行されている、二丸修一による小説が原作。イラスト担当はしぐれうい。
 制作は動画工房。監督は『3D彼女 リアルガール』の直谷たかし。また、副監督の浅見松雄とシリーズ構成の冨田頼子もリアルガールに携わった人なので、ラブコメよりも青春群像劇みが強い作品になりそうな予感。
 「変に策略を練って、駆け引きをしても良い事無いぞ」とは『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』白銀御行のセリフ。原作1巻に相当するアニメ3話までが第一幕になっており、序盤は役者の紹介。生い立ちまで含めて4人ほど把握しないといけない主要人物がいるので、覚えるのがちょっと大変。
 「このキャラはこういう生い立ちで、こういう性格」「このキャラはこういう実績があって、周りからこう思われている」のような肉付けによって、各キャラクターがどんどんベタな人物像になっていく1~2話までの展開。ここを丁寧に描いた上で「で、これからキャラクターたちはどういう決断をするのか」に繋がっていくのだけれど、加虐心、猜疑心、自尊心、虚栄心等によって各々が生々しい行動をし始め、だんだんラブコメじゃなくなっていくところが青春こじらせてて好き。このままSchool Daysしてしまうのか?
 かぐや様は「相手を出し抜くことで先に告白を引き出し、恋愛関係に持っていく」という目的を持って会長を一本背負いしてたけど、本作は「あいつを出し抜くことができれば何でも良いや」といった具合に手段が目的化しているため、こんなに応援しづらい恋路もそうそうないよね。不幸になるほど面白くなるタイプなので4話以降の展開も楽しみ。
 ラブコメ力学において「幼馴染が勝つ」というのは「青いバラ」みたいな意味らしい。ラブコメの物語構造自体に着目した上で「登場人物がファンブルし続ければ、もしかしたらワンチャンあるんじゃね?」というアプローチで描くハイコンテクストな作品なのかな。『俺を好きなのはお前だけかよ』以来のパンチ力だった。
 キャストはいつものメンバー。ところで、主人公を演じる松岡禎丞は新しい作品ごとにヒロイン役の水瀬いのりと改めて恋に落ちているわけだけれど、ぶっちゃけどういう気分なのだろう。改めて恋に落ちる気分って。

↓↓有識者による解説↓↓
honeshabri.hatenablog.com

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EDENS ZERO

 ボーイミーツガールスペースオペラ
 『週刊少年マガジン』にて2018年から連載中の、真島ヒロによる漫画が原作。
 制作はJ.C.STAFF。総監督は『FAIRY TAIL』に引き続き石平信司が参加しており、監督の鈴木勇士もFAIRY TAILで演出を担当した人。シリーズ構成は『ゾイドワイルド』『彼女、お借りします』、プリキュアシリーズ(脚本)の広田光毅ホビアニかな?
 「RAVE」「フェアリーテイル」に引き続き、王道のボーイミーツガール作品。てかRAVEって1999年に連載開始した作品だったの・・・やば。
 1話では旅の始まりまでが描かれているんだけど、20年以上経って描き方が変わったところもあるし、全く変わらない部分もあって楽しい。特に印象的なのは、飛行船に飛び乗る際ヒロインが主人公の手を取るんだよね。主人公ではなく。ヒロインの声を『バック・アロウ』のプラークさんが担当しているっていうのも素敵。
 それぞれ孤独な出自を持つキャラたちが旅の中で出会い、友だちになるストーリーも過去作と似た展開ではあるけれど、本作ではアンドロイドが人権を獲得して久しい世界(Vivyのユートピア版みたいな)になっており、「人種を超えた絆」みたいな部分がテーマなのかな。つまり実質Vivy。
 あと、キャラの等身ちょっと低くなった?なんか可愛い。

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©真島ヒロ講談社・NTV

結城友奈は勇者である ちゅるっと!

 ゆゆゆシリーズのスマホアプリをベースとしたショートアニメ作品。デフォルメされたキャラデザの原案は娘太丸
 制作はDMM.futureworks/ダブトゥーンスタジオ。監督は同スタジオの作品『BanG Dream! ガルパ☆ピコ』にて監督・キャラデザを担当した宮嶋星矢。
 「おのれタカヒロ」で知られる本シリーズは比較的ハードなストーリー展開が有名だけれど、そのタカヒロをオミットすることで本来の姿を取り戻したのがこのアニメ。一応、1期2期も1/3くらいはちゃんと日常パートが含まれているので、「ゆゆゆは実質日常アニメ」という認識が少しでも広まれば嬉しい。ゆゆゆってこんな感じよね。
yuyuyui.jp

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω

 IQが低い方の『オーバーロード
 制作は1期の亜細亜堂から、手塚プロダクション×オクルトノボルに。オクルトノボルは先のアニメ『俺だけ入れる隠しダンジョン』の元請け。主要スタッフとしてはシリーズ構成・筆安一幸、キャラデザ・金子志津枝、音楽・加藤裕介が続投しており、監督は『安達としまむら』の桑原智にバトンタッチ。その他スタッフもあだしまのスタッフが多く参加している。そのせいか、若干キャラデザがあだしまっぽくなっている気がする。目とか。
 ストーリーは、ロープレ魔王様の冒険譚。1期ではヒロインの魔王様が仲間たちに支えられて一回り成長するまでのお話だった。なまじ王道冒険ファンタジーしているので、うっかり王道冒険ファンタジーと勘違いしてしまいがち。いや勘違いはしないか。
 2期もまた「王道冒険ファンタジーって、2次創作にこういう薄い本あるよねー」みたいな展開を自ら盛り込んでいくスタイル。2期はマジ魔王Verが無くなっているので、逆説的に際どいシーンは減っている、ということに何故ならないのか。
 あとエロいシーンになると登場人物が全員IQ低くなるので毎回笑ってしまう。敵味方問わずセリフの一つ一つが丁寧にテンプレ踏襲していてるのはわざとなのか。グヘヘて。2話のエンドカード伊東ライフなのは流石にド直球過ぎて草。ちなみに1話エンドカードは『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』イラストでおなじみ溝口ケージ。それで制服なのね。

 楽曲制作はDIVE II entertainmentからエイベックスに。もうOPがめちゃくちゃエイベックス化してて草。いや世界観!
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セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-

 ファンタジーバトルアクション生徒会。
 ネットマーブルジャパンより配信されているスマホゲーが原作。リリースから5年以上の月日を生き延びている長生きなIP。
 制作はライデンフィルム、ドメリカ。ドメリカが制作元請けを担当するのは今期が初で、監督は同スタジオのいちばん偉い人こと市川量也。キャラデザの松浦有紗は監督の過去作『潔癖男子青山くん』『厨病激発ボーイ』から引き続き担当。ドメリカ作品は今後もずっとこのコンビなのかな。
 シリーズ構成は小太刀右京。最近だと『ロード・エルメロイII世の事件簿』等のFGO案件を中心に仕事してるイメージ。
 1話は説明会。英雄を装備して戦う少年少女のお話。「ひょんなことから兵役を課された少年少女が、戸惑いながらも自分なりに戦う理由を見つけていく」みたいなストーリーで、最近だと『アサルトリリィ』とか近いかも。ちなみに百合作品ではない。
 中世ファンタジー風の作品だけど、敵の仕様がゾンビモノっぽい。なぜか鉄道で移動するところとか’「くっ、この街はもうだめだ!」みたいな展開とか、襲われた人がモンスターになるところとか。でも「甲鉄城のカバネリ」ほど陰鬱さは無いから観てる方は気楽ですわ。
 スマホゲー出身のアニメはストーリーがガンガン進んでいく感じの作品が多いけれど、本作は割とキャラクターの心情を描くパートの割合が多い点が印象的。3話とか、青春部活モノにも通じるような群像劇みがあるよね。会長のコロッケ=部活マネージャーのはちみつレモン的な?
 7人の英雄のうち、ほぼ全員が近接武器。そのため戦闘シーンは概ねチャンバラアクション。1話のゴリゴリ動きまくってる絵コンテは、キャラデザを担当している松浦有紗と関絵里奈の共同。監督は市川量也だけど、監督補佐として両名および飯田祐輝(3DCGアニメーターの人)がクレジットされているので、市川監督は3人に任せてる感じなのかな。
 特に松浦有紗は1話の絵コンテ・総作監・プロップデザイン、OPの絵コンテ・演出・作監・原画、EDの絵コンテ・演出・作監・原画まで幅広く担当しているので、セブンナイツは松浦有紗の作品と言っても過言ではないと思う。
 やっぱり藤澤慶昌の音楽、めちゃくちゃエモい。最近は特にファンタジー作品で引っ張りだこになっている同氏らしい節回しが感じられる、オケ中心の音楽。緩急とか盛り上げ方とか完璧すぎて好き。人間ドラマ成分の多い本作のストーリーとも相性良いし。
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オッドタクシー

AmazonPrimeVideo独占配信

 深夜にやってる社会風刺ドラマ。オリジナルアニメ。
 制作はP.I.C.S。映像制作スタジオといってもCMやプロモーション映像制作がメインの会社で、TVアニメの制作は『スペースバグ』以来。監督はP.I.C.S.所属の木下麦で、シリーズ構成も同じくP.I.C.S.所属の漫画家、此元和津也。
 また、副監督の新田典生、キャラデザの中山裕美を始め多くのスタッフが『かみさまみならい ヒミツのここたま』のメンバーで構成されている。つまり実質ここたま。
 とある都市で、タクシーの運ちゃんとして働いているおっさんのお話。毎話登場する多彩なキャラクターとの掛け合いを楽しむ結構渋めの内容。『BEASTERS』がケモ要素の濃い人間讃歌なのに対し、本作はケモ要素が薄い人間讃歌っていう感じ。あとストーリーの縦軸としてミステリー要素を持っているので、ラストの引きが強い。つい連続で見ちゃうよね。
 主人公がかなりリアル寄りのおっさん。というわけで、総じておっさんホイホイネタが山ほど出てくる。車の窓開けるときのクルクルするやつとか、今の10~20代に伝わるんだろうか。あとWe are the WorldBruce Springsteenの下りめっちゃ好き。いや2話までそのネタ引っ張るんかい。
 かなりドラマっぽい作品で、演出もドラマっぽい。例えばBGMとかほぼ無くて、車内に音楽やラジオのみ流れているシーンが非常に長い。ナチュラルなトーンの(リアル準拠なので、テンションが常に低い)会話をするお芝居も、「昔こういう深夜ドラマ見たことあるわー」ってなる。キャストにも芸人が多数参加しており「TVアニメとTVドラマの間くらいの何か」という趣がある。
 中でも主人公(CV.花江夏樹)、フリ→ボケ→ツッコミの間の取り方がめっちゃ良いので、中の人が声優であることを伏せて観たら「主人公は芸人が演じてるのかな?」ってなりそう。
 あと、Youtube公式にてオーディオドラマが配信されている。内容は本編と関係無かったり無くなかったりする内容なのでスルーしてもまあ良いんだけど「他人の生活を勝手に録音して動画配信サイトにアップロードして収益化を狙う底辺動画配信者のラジオ」みたいなコンセプトになっていて、単品で面白い。
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ドラゴン、家を買う。

 現地民視点の異世界旅モノ。
 『月刊コミックガーデン』にて2017年から連載されている、原作:多貫カヲ、作画:絢薔子による漫画が原作。
 制作はSIGNAL.MDTVシリーズの元請けは久しぶりの割に今期は2本同時に放送している。コロナの影響かな。監督は春日森春木。めっちゃ春やん。TVシリーズの監督は初かな。
 ファンタジーアドベンチャーゲームを模した作風なので、剣でモンスターと戦いながら世界を旅する人間の冒険者や魔王なんかも登場するのだけれど、主人公はただのモンスター。 そのモンスターが人間に何をするわけでもなく、ただ「家を探す」っていう目的が好き。本作では「土着の種族たちが普段どういう生活をしているのか、モンスター視点でそれを垣間見ながら旅をする」というストーリーなので、モンスターたちの普段の暮らしにスポットを当てているんだよね。彼らの生活圏にお邪魔することを「売り家の内見」になぞらえて描く発想が既に面白い。
 主人公のドラゴンはメンタルとフィジカルがクソ雑魚の割に、積極的に他者と関わろうとする姿勢がすごく健気で可愛い。心なしかナレーションも優しい声に。
 外見に似合わず表情が多彩なので作画がすげー大変そうだけれど、何気に2話時点で全ての原画を自スタジオだけで捌いている。SIGNAL.MDって実はすごい会社だったりするのかな。
 OPはオーイシおにいさん。本作の監督は以前、あにてれ独占配信作品「ようこそジャパリパーク」で監督・脚本・動画・撮影・編集とワンマンアーミーしてたことがあるので、多分その時の縁だと思う。ドラゴンもフレンズなんやな、って。

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極主夫道

Netflix独占配信

 極道さんちの今日のご飯。祝・第2シーズン配信決定。
 2018年からウェブコミックサイト『くらげバンチ』にて連載中の、おおのこうすけによる漫画が原作。
 プロデューサー松倉さんやんけ。制作はJ.C.STAFF。監督は先のネトフリ独占配信ショートギャグアニメ『ゴクドルズ』に引き続き今千秋。シリーズ構成の山川進もゴクドルズの人なので、実質ゴクドルズ。
 出で立ち、喋り方や声、仕草が全て怖い、けど可愛い主夫の日常アニメ。やってることは『衛宮さんちの今日のごはん』とあまり変わらないのに、見た目で損する主人公。ちなみに主人公の津田健次郎役は、原作に引き続き本人が続投している。
 テンポ重視のため、かなりアニメーションを排している。各セクションのスタッフが一人ずつくらいしかいない低予算アニメ枠なのね。仕上がりが今流行りのライブマンガみたい。1話数当たり3話程度の短編集なので『斉木楠雄のψ難』よろしく無限に観ていられる。

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました

 平和な「ワンパンマン」ハゲマントの日常。
 「小説家になろう」にて2016年から連載されている、森田季節による小説が原作。2017年からGAノベルより刊行中。イラストは紅緒。
 制作はREVOROOT。元請けは『バビロン』に続き2作目。監督はバビロンで演出を担当していた木村延景。監督は初かな。シリーズ構成はコメディ作品でおなじみ髙橋龍也。
 1話では主人公がハゲマントになるまでのお話(しかも対価ナシのイージー転生)と、ジェノスみたいな子がやってくるお話。肉体言語で相互理解とか、一念発起して魔王退治とかそういうのではなく「頑張らないことの大切さ」を描く平和な日常アニメ。異世界で頑張らないって結構たいへんだよね。タイトルの通りめっちゃ勤勉な主人公だった。
 テイストはかなりギャグアニメ。ノリがもはや懐かしいまである。毎話家族(ボケ)が増えていくため、『蜘蛛ですが、何か?』よろしく主人公役・悠木碧がツッコミに忙殺されていらっしゃる。

セスタス -The Roman Fighter-

FDO独占配信

 あしたのセスタス
 1997年より2009年まで『ヤングアニマル』にて連載された、技来静也による漫画が原作。その後も何度か媒体を変えながら、現在は『ヤングアニマルZERO』にて連載中。
 フジテレビのTVアニメ枠「+Ultra」で放送されている作品。+Ultraといえば「3DCGアニメーション」「大人向けの内容」そして「ネットフリックス独占配信」という縛りが設けられていたのだけれど、本作はFOD独占配信。ちなみに過去のネトフリ独占配信作品も一部FODで配信されていたりするけど、決してネトフリの代替にはならないので注意。
 制作はBN Pictures。監督は『最響カミズモード!』でシリーズ構成を担当していた川瀬 敏文。また、脚本の三浦 浩児を含む多くのスタッフがカミズモードから続投している。セスタスはホビアニだった?
 ローマの日常アニメ。PVとかキービジュアルを見ると3DCGアニメだけど、1話だけ作画アニメーション。3DCGアニメあるあるだけど、序盤にだけ登場する主人公の幼少期はコストの兼ね合いとかで作画になったりするのよく見るよね。
 古代ローマのとある拳闘士(という名前の奴隷)の活躍を中心に、当時のローマの文化をリアル準拠の解説付きで描いていく作品。
 原作では奴隷のセスタスに加え、皇帝のネロ、帝国兵士のルスカそれぞれの視点から多角的にローマが描かれる作品だが、本作はあくまでセスタス視点に重きをおいたストーリーみたい。他の二人が絡んでくる話は2話でかなりオミットされているが、要約すると
・セスタス→色々あってフリーの拳闘団が購入、各地を行脚中
・ルヴァン→色々あってフリーの拳闘団が購入、各地を行脚中
・ネロ→色々あった
・ルスカ→色々あってセスタスを買ったけどリリース
 基本的に大人向けボクシングアニメなので大まかな雰囲気は「メガロボクス」と似ているのだけれど、描き方のウェイトとしては「当時の拳闘士がどういう扱いを受けていたのか」という部分に重きを置いているみたい。ちゃんとした試合も3話までに一度しか無いし。しかし奴隷の扱いクッソ雑やん。今の時代だったらミニ四駆ですらもっとマシな扱いされてるのに。特に主人公とネロ、ルスカがルールに否定的な態度(反体制側)なのは、歴史モノとして一歩引いた視点で楽しもうぜっていうメッセージに感じる。
 1話は作画アニメということもあり、やたらキャラの表情に力が入っている。「負けたら基本的に死刑」というカイジみたいな世界なので、登場する拳闘士がみんな顔が怖い。また2話以降、特にBパート以降となるセスタス青年期では登場人物みんな筋肉モリモリマッチョマンの半裸3DCGばかりなので、「筋肉を眺めるアニメ」みたいになっている。

バトルアスリーテス大運動会 ReSTART!

 四半世紀前に発売された方のウマ娘
 1997年に展開されたメディアミックス作品。なんせ20年以上前の作品のため、当時アニメとOVAを制作したAICは露と消え、発売されたゲームのハードはセガサターンPlayStation。やば。
 制作はR指定のショートアニメでおなじみアニメーションスタジオ・セブン。30分枠のアニメ元請けは『京都寺町三条のホームズ』以来。エロいアニメじゃないよ!しらんけど。
 監督は同スタジオの作品でおなじみ佐々木勅嘉。最近だと『女子かう生』『ノブナガ先生の幼な妻』『トライナイツ』の監督。
 ストーリーとしては原作のだいたい100年くらい後。各惑星から選ばれたアスリーテスたちが、宇宙撫子を目指して日夜奮闘するお話。
 出てくるネタが何もかもが皆懐かしい。
・くっそハイレグで草。
・いや冥王星て。
・司会のキャラはだいたいあんな感じの格好や髪型してたなー。黒髪+金髪インテーク。
・空をマラソン 夢をユニゾンしたくなるステップすき。
 2話以降も大量のおっさんホイホイネタが散りばめられていて、虎の巻が欲しいレベル。
 既存のスポーツ作品って「地味な競技に見えるが、人間やめてる上級者同士の試合を観ると世界が変わる」みたいな描写が多いイメージだけど(今期だと灼熱カバディとか)、本作は「一見すると超人同士の戦いだが、実際は普通の女の子」という逆のパターンなので、なんか全員健気だよね。だって女の子だもん。
 「出自の異なる選手同士であっても中身は同じ人間なんだよ」という相互理解を互いに深めていくストーリーを今描くなら『天晴爛漫!』みたいに年齢、性別、体格の異なるキャラクター達が一同に会して云々というお話が多い昨今において、登場人物が全員美少女という設定に本作独自の魅力というか、時代を感じる。
 あと作画カロリーの兼ね合いもあって、スポーツより対話シーンの比重が大きい。もっとベタなスポーツで対決してもいいのよ?もしかしてゲーム発売予定?

最後に

 新作全部1話視聴はオススメしない。
 いろんな作品の発信者側へのインタビュー記事を読んでいると「いままでアニメを見ていなかった世代にどうやってアプローチするか」みたいな努力を語っているシーンを最近よく見かける。例えばTVドラマの脚本家を起用した作品はアプローチとして分かりやすいよね。
 あの手この手で「普段アニメを見ないマジョリティ」に対し様々なアプローチが生まれている中で、極端に言えば「アニメが好きな人向きでないアニメ」こそ主流になっていくのかもしれないな、なんてことを思った。
 その潮流にあって、「自分はアニメが好きだから、とりあえず全部見てみよう」という行為はもはやある種のジャーナリズムや酔狂の類でしか無いような気がするので、控えめにっても新作全部1話視聴はオススメしない。

 そして、製作者様へ感謝をば。今期もまたとても面白い作品を作っていただきありがとうございます。ちっとも情勢が好転しないままですが、お体に気をつけつつ制作頑張ってください。陰ながら応援しています。ではでは。