2021年冬アニメ1話ほぼ全部観たので大まかな目録書くよ

 最近のアニメを調べていて特に印象的なのは「アニメだけで完結しないIP」の圧倒的な多さ。いわゆるアイドル作品はその典型で、アニメの放送自体は彼らの幅広い活動における、いち形態でしかなかったりするので、「いやーアイドールズ(アニメ)いいわー」とか言ってるうちに着々とYoutube配信を重ねていたりするんだよね。「お前はアイドールズの良さを全然わかってない」と言われてしまえば、実際そうなのかもしれない。
 なので、アニメ放送だけを切り取ってあれこれ感想を書くよりも、メディアミックス含めた体験記のほうが時代に即しているのでは・・・と思うことは多くなった。
 ここではアニメをメインに感想を書いてはいるけれど、あくまで「こういうメディアミックスコンテンツがあって、その中の一つとしてアニメを観てみたよ」くらいに捉えていただければと思う(もちろん純然たるアニメ作品もあるよ)。読んだ人の片足だけでも沼に引きずり込むことができれば幸いだ。
 ちなみに今期も作品が多い。一時期コロナ禍の影響で少なくなっていたけれど、ここ2クールはほぼ例年通りの多さに。
 続編も非常に多く、全体の1/3くらいは続編。ちなみに『ワールドトリガー』『ログ・ホライズン』(ともに3期)は最近1話から観始めたので今回は割愛。改めて見返してもつくづく面白いと思う。本当に良いよね・・・ゆゆ式

配信情報まとめ

 私はTVでアニメを観ない(BS見れないし、TOKYOMXもAT-Xも受信できない)ので、配信情報はこれ以外の手段について書いている。
 なお、独占配信系タイトルは放送開始時点でのものであり、後に他の配信サイトでも配信が開始される場合がある。あくまで現時点での参考になれば。

独占タイトル一覧

アマプラ独占配信

約束のネバーランド Season2
天地創造デザイン部 ※dTVでも見放題配信中。独占とは
EX-ARM エクスアーム
PUI PUI モルカー(全話無料配信)

ネトフリ独占配信

BEASTARS 第2期
天空侵犯

その他

OBSOLETE(EP7-EP12) Youtube独占配信

感想

BEASTARS 第2期

ネトフリ独占配信

 2期。1期で一旦保留となっていた犯人探しが再開されることに。
 それにしても、なんでこんなにお芝居が良いの、このアニメ。数あるプレスコ収録の中でも本作は「実際に台本持って、自由に動きをつけながら収録する朗読劇」みたいな先鋭的な収録方法を採用してるらしく、セリフの尺感とか息遣いや空気感にドラマCDのような自由さを感じる。2期1話「非常階段で会話する二人のシーン」とか、バックで流れてるのが「月に浮かぶ物語」のインストアレンジなのも相まって泣いちゃうわこんなん。
 ご時世柄こんな方法で収録するのはもう無理だろうけど、本作はコロナの自粛期間に入る前に収録が完了してたらしく、最後までこんな感じの良きお芝居が楽しめそう。
 収録といえば、本作の公式ラジオ番組ではパーソナリティの二人が当時の収録の様子を振り返ってあれこれ話をしてるんだけど、聞けば聞くほど本作のプレスコ形態が試行錯誤をしている様子が垣間見えてとても面白い。
BEASTARS レゴシとフリーのわんにゃんレディオ! | インターネットラジオステーション<音泉>
 OPを担当するのはYOASOBI。「小説を原作とした音楽」というコンセプトのアーティストということで、本作も例に漏れず原作となる小説がある。しかも「YOASOBIにOPを制作してもらうため、原作者がOPの原作となる小説を執筆」という、なんかすごいことをしている(小説はこれが処女作とのこと。アニメの公式サイトで公開中)。特に歌詞が、パッと聴いただけでも分かるくらい「レゴシの歌」なんだよね。
 個人的にレゴシは「見た目は怖そうだけど、本当はすごく優しい草食系」という類型的なキャラだと思ってたんだけど、1期で描かれたのは「見た目も心も実は獰猛な肉食獣で、その凶暴な素性とどう向き合えば良いのか分からず悩んでいた青年」っていう。ハルちゃんと出会ったことでレゴシはその本能と向き合う選択をして、肉食獣として普通にやべーやつに昇格してしまったというのが1期の顛末だけど、そんな彼を「ヒーロー」ではなく「怪物」として描いたOPは、彼の持つ「危うさ」みたいな部分を黒や赤の強い色使いで不気味に描いててドチャクソかっこいい。やっぱりレゴシってヤベー奴だよね。

www.youtube.com
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ゆるキャン△ SEASON2

 2期。季節は秋→冬から、冬→春へ。
 1期では原作を補完するようなアニオリが輝いていた本作だけど、2期のしまりん過去回からもう好き。
 1期ではキャンプ初心者のなでしこに、プロみたいな(何のプロだよ)友達があれこれ教えてくれるシチュエーションが多かったので、キャンプをガッツリ失敗することは殆どなかったんだけど、「誰しも最初は初心者だったんだよね」というとても大切なメッセージを、1期1話のしまりんソロキャンとの対比で描いていく話の構成に感動した。しかも、そこで描かれる失敗は1期で「ここをこうすると失敗しないんだよ~」みたいなネタから丁寧に拾っていたりするので、ほんと素晴らしいアニオリだと思う。アニオリだよね?しまりんがカレー麺のことを「非常食」と呼ぶ由来を補完する会話シーンでちょっと泣いた。ソロキャンガールって言われてるけど、別に最初から全部一人で完結してるわけじゃないんだよね。
 本作の劇伴は「キャンプ場ごとに、その雰囲気を感じられるようなテーマを流す」という姿勢で一貫してるんだけど、2期1話に登場する河口湖畔のキャンプ場のシーン(※訂正 1話に登場するのは本栖湖畔のキャンプ場。ご指摘感謝です)に流れる劇伴は、1期1話の同じキャンプ場で流れる劇伴を思い出すようなテイストの曲もあって嬉しい。
 背景美術すごいな。本作では制作に当たり、必ず「主要なスタッフたちで、作中の時期にそのキャンプ場で実際にキャンプしてみる」ということをしてて、今期もコロナの影響を受ける前にロケハンが完了したそう。単純に美麗な背景っていうのもあるのだけれど、季節によって表情の変わる風景を描いているのが凄い。特に志摩家周辺の景色とか、夏→秋→冬すべて網羅してるんじゃないだろうか。何回ロケハン行ったんだよ。また、1話で登場する河口湖畔のキャンプ場も、1期1話とは雰囲気が若干違うのはやはり「作中でキャンプしてる時期が違うから」という演出になってるから、かな(1期はシーズンオフで、2期はギリギリシーズン内)。こんなん見せられたら毎シーズンキャンプ行きたくなっちゃうじゃん。

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© あfろ芳文社/野外活動委員会

 あと、ロケハンの影響を感じさせるのが、環境音。作り手が肌感覚として「キャンプ場は静かに見えて、常に何かしら音が聞こえている」ということを理解して作られてるよね。斉藤となでしこがご飯を食べてるシーンも、キャンプメシに思いを馳せてる時ですら「ざあああああああああ(川の音)」ってなってるし。
 え、OPが超よくない?1期よりもさらに表現が多彩になってて、「ああ、この人達はキャンプが本当に大好きなんだろうな」っていう思いがガンガン伝わってくる。
 ここからは原作勢向け。話としてはいずキャンまでが2期の範囲と思われるので、今期からちび犬子参戦って感じだよね。個人的にちび犬子と犬子の掛け合いが楽しみ。あと嘘やでーの顔ね、姉妹であれやるんかな。極寒キャンプで死にかけるエピソードはどれくらいシリアスにやるんだろうね。実際命に関わるシーンではあるからコメディにフリにくいし。あと、原作のエピソードではしまりんとおじいちゃんのツーリング回がホント好きで、短い話ではあるけれどアニメになっても多分泣くと思う。

PV。「たのしいも、さみしい」「さみしいも、たのしい」とかいうキャッチコピー、最高すぎひん?
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ワンダーエッグ・プライオリティ

横断歩道は みんなで渡っても 怖いんだ

 野島伸司が初めて原案および脚本を手掛けるオリジナルアニメ作品となり、日本テレビおよびNTTドコモの両社のコンテンツ投資会社であるD.N.ドリームパートナーズアニプレックスの両社が初めてタッグを組んで製作した作品なんだって。へー。
 制作はCloverWorks。監督の若林信は『22/7』のPVを作った監督さんで、TVシリーズを監督するのは初っぽい。副監督の山崎雄太も同じく上記PVに演出として参加しているので、絵や演出の雰囲気はほぼあんな感じ。
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 アクションディレクター・川上雄介は『ブラッククローバー』アクション作監や『はねバド!』OP原画とかを担当していた人。若干ネタバレだけど本作はアクションシーンがマジで凄い。
 ストーリーは1話だけだとあんまりわからない。主要な登場人物はキービジュアルにいる4人の少女で、1話ではその中の一人が登場する。
 「社会から爪弾きにされた子供」が「社会から爪弾きにされた子供」のために「社会から爪弾きにされた子供」を救う中で「社会から爪弾きにされた子供」と出会うお話。1話では「いじめ」と「自殺」がテーマとして描かれている。表題のワンダーエッグは、その当事者同士を繋ぐためのキッカケのようなもの、だろうか。いわゆるマクガフィン的な。
 あの頃の当事者って、「同じような目にあってる人間はどうせ世界に独りだけで、誰も自分の気持ちなんて分かってくれない」なんてことを思っていたりするものだけれど、本作はその当事者同士を亜空間でつないでいくお話。そのワンダーエッグは希望かもしれないし絶望かもしれないけど、もし自分が主人公だったら希望かも。
 いじめにおける「見て見ぬ振り」という行為について。見て見ぬ振りをする本人としてはただの消極的な行いではあるのだけれど、それを「いじめの被害者を集団で追い詰める暴力的な加害行為」として強烈に描いていたことが特に印象的だった。今後もこの「見て見ぬ振り」が登場するようなので、本作を通じて伝えたいメッセージの一端を担っているキャラクターなのかも。
 アニメーションとしては、表情の力がとても強い。監督の作品である「22/7」でもそうだったけど、「ただそこに佇んでいるだけの少女」の目に、もはや魔力じみたものを感じる。扱っているテーマがセンシティブなだけに、一つ一つの表情がどれも強烈。

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©WEP PROJECT

 狂気じみた怒涛の展開とともに移り変わる劇伴の多彩さもすごくて、「ここは現実です」とか「ここは夢です」みたいな区別のない、主人公にとって現実と非現実の境界が曖昧であることを体現してるような不思議空間を見せられているみたい。
 あと、プロップデザイン(作中の小道具とかを書いてる人。主人公の部屋に飾ってあるネームプレートとか)の井上晴日という御仁がEDを担当しているのがちょっと意外だったので同氏の卒業制作を観てみたんだけど、良かった。もともと油絵やってた人なんだね。てことはED絵は油絵なのかな。
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のんのんびより のんすとっぷ

 3期。1話はシティ生まれの女の子がのんのんされていくお話。クールを重ねるほど成長するれんちょんたちの姿が・・・うん?
 しかも、1期から全く演出の雰囲気を変えずにやってるので、鮮明に1期の記憶が蘇る。放送されたの7年前なんだって。ウケる。
 サムネだけで伝わる、背景美術の凄まじさ。全く地元民じゃないのに強烈なノスタルジーを感じるの、なんでだろうね。個人的に本作の最大の魅力は背景美術だと思っているのだけれど(劇場版のんのんびよりも、「沖縄=田舎なのん」という解釈で描かれた作品だし)、3期も冒頭からその世界観を見せつけてくる。超好き。
 特に、冒頭のシーンの「玄関に置いてある灯油タンクとポンプ、ポンプ使うとき手に付けるゴム手袋」を見ただけで泣いちゃう。なんでそんなに視聴者のツボ抑えるのが異常に上手いの・・・。
 都会に住めば住むほど灯油や灯油ストーブとは疎遠になって行くから、あのカットにノスタルジーが宿っているという視点すごく好き。1期の頃から訳わからんタイミングで泣かされる作品だとは思っていたけれど、開幕2分でタオル握ってた。

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©2021 あっと・KADOKAWA刊/旭丘分校管理組合三期

 はるか昔『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』っていう作品があって、作中で「『オトナ帝国の匂い』によって大人がどんどん正気を失っていくシーン」っていうのがあったと思うんだけど、あの匂いってこの匂いなのかもしれないな、なんてことを思った。
 あと、アニメの放送に合わせて、公式ラジオ番組が復活している。
「声優界一おとなしい村川梨衣
「声優界一おしとやかな佐倉綾音
「声優界一無口なお兄さん」
これまで通り3人体制のままなので、聴いていてとても癒やされる。

のんのんびよりうぇぶらじお のんのんだより のんすとっぷ!なのん | インターネットラジオステーション<音泉>


ホリミヤ

 堀さんと宮村くんの日常。
 HEROによるウェブサイト「読解アヘン」にて公開されているWebコミック『堀さんと宮村くん』が原作。また『月刊Gファンタジー』にて、萩原ダイスケが作画を担当するリメイク版『ホリミヤ』が連載中。本アニメはこっちを原作としている。
 制作はCloverWorks。監督は『新世界より』『PERSONA5 the Animation』の石浜真史。シリーズ構成は『不機嫌なモノノケ庵 續』『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』『100万の命の上に俺は立っている』の吉岡たかを。キャラクターデザインは『アイドルマスター SideM』『えんどろ~!』『ジョゼと虎と魚たち』の飯塚晴子。ジョゼ虎どう?面白かった?
 ストーリーとしては、ほんのささいなきっかけで堀さんと宮村くんが仲良くなる話。ここまで湿気の少ない三角関係も珍しいよね。
 とにかく作品全体の印象として、すごく爽やか。投げ合う言葉は高校生らしく「あと一歩、思いやりが足りない刺々しさ」みたいなものを孕んでいたりするのに、それを受けた側も(多少怯みはするけど)ちゃんと言葉にして打ち返していくやり取りが多くて、観ててあんまりもやもやしない。
 「付き合ってんの?」から始まる一連のシーンとか、彼らの堀さんに対する気持ちがアニメーションで丁寧に描かれてて、軽いジャブのようでお互いに体重乗せたストレートの打ち合いしてる感じがめっちゃ青春してる。みんな結構な鋼メンタルだね。
 A-1 Picturesといえばラブコメということで、横山克の音楽も含めてラブコメ調の明るいテイストの演出が多め。心情の描き方も、軽さと重さのバランスをかなり意識してるよね。あんまりネガティブな感情を掘り下げすぎると重くなっちゃうし、軽いノリにしすぎるとキャラの本気度、必死さが出ないし。1話ラストの喧嘩も、いい感じに体重の乗ったパンチの打ち合いなのに後味が良い終わり方に仕上がってたので、自然と「次も見ようかな」って思えた。
 ちなみに石浜監督は色んなアニメのOP絵コンテ演出をやってる人で、個人的に『Aチャンネル』『ヤマノススメ セカンドシーズン』のOPがドチャクソ好き。本作のOPも漫画のコマ割りがシームレスに変化しながら異なる季節を見せつつ関係性の変化を暗喩する、というまあすごいOPになってて超好き。若干本編の内容との温度差が引っかかるので、気長に楽しもうと思う。
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SK∞ エスケーエイト

 頭文字S。オリジナルアニメ。
 制作はボンズ。監督は『Free!』『BANANA FISH』の内海紘子で、原案にはボンズとともに監督がクレジットされている。シリーズ構成・脚本は大河内一楼
 スケボ少年がスケボを通じて少年と出会う話。競技としてのスケボーは「技を見せ合うバトル」と「スピードを競うバトル」に大別されるのだけれど、本作はそのあたりを描いていくアングラ?アウトサイド?スポーツの作品。「ビーフ」だって。アニメでビーフっていう言葉聞いたの初めてかも。
 やっぱボンズって凄いね。重力とか摩擦とか遠心力が目で見えるアクションの作画もそうだし、トリックのアニメーションも山ほどスケート動画見て研究したであろうことが伝わってくる魅せ方で、超かっこいい。コーナリングで火花散らしてたけど、マジでああなるんだって。「あんまり馴染みのないスポーツだからこそリアルな動きを追求したスポーツアニメ」というくくりで言えば『はねバド!』みたいな作品。
 あと本作の特徴的なところは、スケボのアクションに「スノーボード」の動きを混ぜてくる所。2回目のビーフで青年が覚醒してからの動きはスノボのそれで、こまめに膝を曲げるアクションが多いスケボに対し、重心を支えるように伸ばすスノボの足の動きとか、足のポジションも「つま先が前を向いている前屈姿勢」のスケボと「進行方向に対し体が横向き」のスノボ、みたいな対比とか。急カーブとか何度も観ちゃう。
 キャラの表情の付け方もデフォルメ顔からシリアスまで幅広く、しかもモブまで表情豊かなので、あんまり集中せずに観ててもくっそ楽しい。ノリでいえば『SHOW BY ROCK!!』みたいなノリ。
 あとシリアス顔が好き。2回目のビーフで青年が鋭い目つきをする横顔のシーン、目ががアニメ的な表現ではなく視線と眼球の向き、虹彩の形をリアルに描いている。それまでギャグ顔含めコミカルな作風だったこともあり、唐突なリアリティにめちゃくちゃ惹き込まれる。ここから流れる音楽の「流れ変わったな」感いいよね。

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©ボンズ・内海紘子/Project SK∞

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SHOW BY ROCK!! STARS!!

あぁ^~親の声より聴いたほわんの「ヒメコちゅぁん」。
え、ヒメコちゃん運転するんだっけ。
いただきました!今週のルナティック〇〇!共感性羞恥で今日も顔が熱いぜ!
ああーっ!「シュビ☆」が見れた!よかった!そんなにぽんぽん使う感じだっけ?まあいいや!
あれ、なんでシアンおるの?超かわいい。
 舞台はましゅまいれっしゅのいた下北沢から、1期2期の舞台である大都会に。メンツも1期2期が合流するので「ましゅましゅの絵で2期の続き」みたいな感じ。公式で本作が4期の扱いなので、主人公は引き続きましゅましゅになるのかな。
 丁寧にキャラごとのネタを拾っていった1話だけに、非常にカオスな作風に。加えて1期よろしくオマージュネタをガンガン放り込んでくるスタイル。そういえばこういう作品だった。そういえばこれって何のアニメだっけ。
 あと、何気にバックで流れてる曲って新曲だったのね。公式ラジオ番組で中の人が「え、新曲そのシーンで使うの?」って困惑してて草。

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ウマ娘 プリティーダービー Season 2

 2期。1はスペシャルウィークサイレンススズカのお話が主題だったけど、2期はトウカイテイオーが主人公(あとメジロマックイーン)。時系列的には1期の後になるのかな。
 テイストとしてのコメディタッチは相変わらず及川監督らしさを感じる。1話は各ウマ娘のざっくり紹介ターンではあるのだけれど、ツッコミが追いつかないくらいにはボケ倒してるので「あ~ウマ娘ってこんな感じだったわ~」ってなる。楽しい。かわいい。
 ファンファーレ聴くとテンション上がる。本作はとにかく競馬の史実ネタをガンガン拾っていく作品なので、有識者のコメントが集まるニコニコ動画等を併用してみるのがおすすめ。単に「これの元ネタってそういうことなのかー」っていう面白さもあるし、加えて「そうそう、このレース行ったんだよなー」みたいな生き証人まで集まってくるので、いかに競馬が多くの人たちに愛されてきたかが垣間見える貴重な機会になっている。知れば知るほど面白い沼がそこには広がっているので、ぜひ。
 レースシーンは今期からガッツリ3DCGに。制作のスタジオKAIはネトフリ独占配信アニメ『虫籠のカガステル』が初元請けとなる若いスタジオ。あっちは全編3DCGなので興味のある人は観てみてね。
 作画と3DCGのハイブリッド演出が結構すごくて
・レースシーンを上空からの俯瞰で映すため、ウマ娘たちの疾走してる絵に迫力がある
・キャラにカメラが寄っていくと、ある時点から作画のキャラがフレームインしてくるので、表情の描き方が丁寧に見える
 みたいな切り替えを駆使していく感じ。カメラアングルが多様になったことでレースシーンがもっと面白い。それにウマ娘は全体的に個性的な装飾が多いから作画は超大変よね(3DCGモデリングか楽という意味ではなく)。
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無職転生異世界行ったら本気だす~

 ファンタジー社会復帰ドラマ。
 「小説家になろう」で2012年から連載されていた、理不尽な孫の手によるライトノベルが原作。同時期に連載していた『Re:ゼロから始める異世界生活』の長月達平や『この素晴らしき世界に祝福を!』の暁なつめとは当時から親交があるらしく、長月達平との対談記事ではお互いの関係性や作品に対する印象、受けた影響等を掘り下げていてすごく面白かった。めっちゃ仲いいのね。
アニメ「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」特集 理不尽な孫の手(原作者)×長月達平対談 - コミックナタリー 特集・インタビュー
 制作はスタジオバインド。『Re:ゼロから始める異世界生活』『ゴブリンスレイヤー』『慎重勇者〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜』のWHITE FOXと、プロデュースのEGG FIRMが共同で立ち上げた若い会社で、「本作を長期的に継続して制作をするために設立」という、作品と運命共同体みたいなスタジオ。どんだけ自信あるんだ。監督は『ゲーマーズ!』の岡本学で、今回はシリーズ構成も担当している。
 1話は杉田智和劇場。転生した主人公の成長を描きつつ、主人公目線で「ここはこういう世界です」が描かれる。
 「赤ちゃんから見た世界はきっと何もかも新鮮に見えて、毎日が発見の連続である」みたいな描き方がすごく良い。最初に自分がコナン=新一だと気づいたきっかけが「ちっちゃいおてて」なのも好きだし、その後の「ガラスの窓を覗き込む顔」とか「がんばって謎の箱を開ける動き」とか、ただ中身おっさんの子供がマップ埋めをしながら情報収集をしているだけなんだけど、同時に「おっさんの中の少年の心」が垣間見える感じがする。かわいい。おっさんだけど。
 あと、一番最後のモノローグがすごく╭( ・ㅂ・)و ̑̑ ぐッ!ときた。普通に考えれば「転生して人生リセットで負債チャラだぜヒャッハー!」なんだけど、「俺」にとって新しい両親の庇護の下ですくすく育っていった時間は、結局のところ前世で家に引きこもっていた時間と何も変わらない、という視点が描かれているのが1話なんだよね。だから主人公にとって魔法は、ただの超能力というだけではなく「自分を変えるために、世界と自分を繋ぐ大切なキッカケ」という側面もある、ということを最後のモノローグで描いててちょっと感動した。本作ってタイトル通り社会復帰がテーマの作品なんだろうか。

 以下は、うっかり魔法で壁に風穴を開けてしまったときのカット。前世ではついにニート生活から脱出できなかった主人公が、自分の力で引きこもり生活に終止符を打った瞬間を象徴するシーン。すごく好き。

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©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

 それにしてもロキシーさんの作画めっちゃいいな。装飾が多いのでちょっと動くだけでアニメーション映えするし、多感な年頃の女の子ということで表情が非常に豊か。「お茶目でかわいいロキシーを、みんなすこれ」と言わんばかりの作画枚数と演出になってるので、彼女は制作のイチオシなのだろうか。うっかり木をへし折ったときの「・・・まずいですね」の目の泳ぎ方が好き。

理不尽な孫の手さんのマイページ -小説家になろう- 

 Youtubeで公式ラジオ番組が配信されているんだけど、まさかのパーソナリティが杉田智和。「無職転生」というタイトルの、「無職」の方に寄り添ったお便りが届く番組になっていて、本作とは違った味わいがある。
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Dr.STONE STONE WARS

 2期。1話から前期の振り返りもほどほどに本編開始。2期は「知性主義と反知性主義に別れた人間の戦い」。
 何よりもシナリオが面白いよね。敵と戦うのに必要なものはなにか、からゴールを設定して、絵でロードマップを示し、各話でキャラ同士の関係を描きつつも「科学(主に化け学)の面白さ」をメインに据えた描き方。着々とロードマップが埋まっていくので、印象として中だるみしにくいし。
 「科学で復興する」という目的であれば、それこそ「鉄腕DASH」みたいに年単位のオーダーで発展の過程を描くのも一つの方法だけど、本作は「司帝国に対抗するため、次の春までに武器を完成させないといけない」といった具合で期限が切られていくので、ほんとサクサク進む。
 あと、1期では特に主人公とパッパの話が好き。SF系作品としては『インターステラー』くらい壮大なスケールで描かれた親子愛の話で、また藤原啓治さんの演技がすごく良かったんだよね。たまに藤原さんの声を聞きたくなったときは本作でも見ようかな。
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はたらく細胞!!

 2期。冒頭のナレーションが、もはや実家のような安心感。
 制作は1期に引き続きdavid production。スタッフはだいたい続投しているが、監督は『ドラえもん』(2020年~)で監督を務めている小倉宏文にバトンタッチ。
 2期で主人公の後輩ちゃんがレギュラー入り。先輩後輩ポジのキャラが増えたことで「闇属性のお仕事アニメ」みたいな側面がより印象的に。
 ちなみに、去年劇場上映された『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』は2期のエピソードの一部を先行公開したものなので、今回改めて放送されるんだって。やったね。
 1話は主に、血小板にフォーカスを当てたお話。なんか血小板の歌流れてるー!?
 2期でコミカルな演出増えたよね。より親しみやすい作風に。本作ほど「老若男女問わず、広く見てほしいアニメ」もそうそう無いので、この方針はアリよりのアリ。
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はたらく細胞BLACK

 ポストアポカリプス系お仕事ドラマ。
 制作体制が無印と異なる。制作はライデンフィルム。今期ライデンフィルムTVシリーズを4作品、また劇場版アニメ『どうにかなる日々』がこないだ公開したばかり。作ってる人たちは健康的で文化的な最低限度の生活を営む権利を行使できているのだろうか。
 監督は『魔法少女特殊戦あすか』『スタンドマイヒーローズ PIECE OF TRUTH』の山本秀世。シリーズ構成の森ハヤシはTVドラマ畑の脚本家で、アニメ作品のシリーズ構成としてガッツリ関わるのは初なんだって。
 教習ビデオのクオリティが高い。何がリアルかと言えば、「ブラック企業に勤めたときの「ブラック臭さ」の表現」。1話序盤の「時間外労働ってありますか?」という質問に対する答え方とか「あ~…」ってなる。『SHIROBAKO』に似ているようで全く違う、闇属性のお仕事アニメ。救いはないんですか?
 無印では「この細胞はこういう機能がありますよ」みたいな紹介が割とメインだったけど、本作では生活習慣に起因するリスク要因と、それが体に及ぼす影響のお話が多い。1話は喫煙のお話で、2話はアルコールのお話。非常に耳が痛い。
 どうでもいいけど、本作における人体って「資本主義経済下における会社という組織」というよりも「社会主義国家」みたいな存在なので、ブラック企業というご指摘は当たらないのでは?
 無印と比較すると「遠くで聞こえる心音が早い→高血圧の表現」「通路にごみが散乱している→動脈硬化」「通路がところどころ錆びている→酸化」といった感じで、体質の悪化を非常にわかりやすく描いている。逆に本作を見た後改めて無印を観ると「登場人物がみんな若い」「細胞の往来が盛ん」「道が広い」等、細かい意匠にどんどん興味が湧いてくる。よく出来てんなー。「ディティールにこだわるアニメ」の部分が徹底されているところははたらく細胞そのものって感じ。
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怪物事変(けものじへん)

 霊幻新隆(本物)の霊とか相談所。
 「ジャンプスクエア」にて連載中の、藍本松による漫画が原作。
 制作は『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』『本好きの下剋上』『かくしごと』の亜細亜堂。ちなみに2期の『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術ω』は制作が手塚プロダクション×オクルトノボルにお引越し。
 監督は、同スタジオの作品『終末のイゼッタ』の藤森雅也。シリーズ構成は『聖刻の竜騎士』『刻刻』『ガンダムビルドダイバーズ』の木村暢。『這いよれ! ニャル子さん』のシリーズ構成してた人なんだけど、最近は硬派な作品のほうが多いのね。
 怪異譚。特に、当事者としての怪異(マイノリティ)に寄り添った怪異譚。1話はとある怪事件と、とある少年のお話。諏訪部と行動を共にする中で、少年が徐々に心をひらいていく過程の描き方がすごく丁寧。だから後半パートの「怪異と人間の断絶と、少年の絶望」を象徴するシーンが切なくて好き。しかもちゃんと救いがあるとか最高じゃん。
 2話以降も、基本的に「怪異と関わりを持った子どもたち」にフォーカスを当てた描き方が印象的。ちょっと教訓じみた感じのオチと後味の良さでいうと『怪病医ラムネ』と似たベクトルかも。
 あと、心情に寄り添った音楽の演出がすごく良い。シーンによって音色も多彩で、あの『生徒会役員共』の劇伴作ってる人とは思えない。
 背景すごい。1話はどっかの田舎が舞台なんだけど、里山や田畑の表現がすごく良い。単純にリアリティを追求したハイコントラストな森(今期だと「のんのんびより」の背景とか)というより、もっと「セル画のようなタッチの、ぬぺーってしてる背景」が遠い山々まで描かれてて見入っちゃう。担当しているのは「メイドインアビスの背景って、ジブリの背景の人がやってるんだって!」でおなじみインスパイアード。代表の増山修は本作では美術アドバイザーとしてクレジットされているので、今後もやべえ背景がちょくちょく出てくると思う。
 また、キャラの表情がすごく良い。1話でいうと、旅館の女将さんとか。終始神妙な表情なんだけど、単に「困っているから浮かない表情」とは思えないくらい露骨に顔にシワが寄っている。これが1話の種明かしを食らった上で見直すと「おお・・・」ってなるくらい彼女の心情が描かれてるんだよね。

約束のネバーランド Season2

アマプラ見放題配信

 鬼ごっこ Wave2。
 主人公は小学生くらいの子どもたちなんだけど、ストーリーは知恵比べがメイン。特に1期はその色が強く、彼らが幼い子供であることをすっかり忘れる。割とネタバレ厳禁。
 なんせ命がけの鬼ごっこなので、生きるか死ぬかの瀬戸際に追い詰められたとき、彼らの表情や声のお芝居、キャラによってどういう覚悟を決めるのか、みたいなシーンは作画、演出、音楽含めすごく良い感じなので、Wave2でもいい感じに絶望がやってくるのを楽しみに待ってる。
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2.43 清陰高校男子バレー部

 福井県の高校を舞台にした青春群像劇。バドミントンに続き、バレーボールもギスギス系スポーツとして認知されてしまうのだろうか。
 集英社のWEB文芸サイト「RENZABURO」にて連載中の、壁井ユカコによる小説が原作。イラストは山川あいじ
 制作はdavid production。監督は『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』の木村泰大。シリーズ構成は『僕のヒーローアカデミア』等の黒田洋介。個人的に黒田洋介=血と硝煙の匂いがする作品っていうイメージだったけど、本作はゴリゴリの青春部活モノ。
 ひょんなことから福井の中学(高校生じゃないんかーい)で活動を開始したバレーボール部員のお話。前置きは程々に、サクッと部員が集まって練習をそこそこ始める所とか、「大会で成果を出さないと廃部ー!?」みたいなアニメらしい動機づけが無いところも小説原作らしさを感じるというか、「他に見せたいものがあるんですよ奥さん」みたいな囁きが聞こえてくる。
 小説原作のアニメ作品全般に言えるのは、序盤の展開はだいたい1~3話くらいで1エピソードになっていることが多いので、観るならとりあえず3話まで。特に本作は1話から2話にかけて「話の盛り下がり方」がめっちゃ良い。「なんや、みんなええ奴やんけ!」「主人公、バレーと相性バツグンやん。さては天才か」「なんやかんやマブダチになったし、次は全国制覇や!」という、スポ根ならではの王道ストーリーをなぞったような描き方をフラグとして、そこから一気に「どこにでもいる、平凡な中学生の話」に回収していく展開は、自分自身の中学時代を思い出してなんとも言えない気持ちになった。つら。
243.shueisha.co.jp

裏世界ピクニック

 JDトレジャーハンターの珍道中を描くコズミックホラー。つまりゴーストスイーパー美神と同じジャンルということですか?あとタイトルを空目しがち。アナザーワールドではなく、アザーサイド。
 ハヤカワ文庫JAより刊行されている、宮澤伊織による小説が原作。制作はライデンフィルムとFelixFilm。『はねバド!』『無限の住人-immortal-』『どうにかなる日々』等、意外と一緒にアニメ作ってるのね。そして監督・シリーズ構成は『どうにかなる日々』の佐藤卓哉。どうにかなる日々どうでしたか。面白かったですか。
 昔みんながよくネットで漁っていた都市伝説に、実際に会いに行くオカルト作品。妖怪の登場する作品は数あれど、ネットの都市伝説にフォーカスを当てたアニメ作品ってかなり珍しい気がする。ネット上とはいえ、これはこれで民俗学の守備範囲になるのだろうか。
 1話は「くねくね」。都市伝説としての成り立ちを掘り下げていくのかと思いきや、結構さらっと流していく感じ。主人公たちはトレジャーハンターなので、「どうやったら倒せるか」という視点からアレを解釈していく感じなのね。「トカレフでくねくねは倒せない」という知見を得た。
 1話ではお互いのことを「おもしれー女」みたいなニュアンスで締めてたけど、実は百合要素のある作品なのかな。監督の佐藤卓哉は百合作品ではすっかりおなじみの人だし。
個人的に佐藤監督の中では「あさがおと加瀬さん」が超おもしろかった!
 あと、演出がホラー映画風。特に音楽の付け方が印象的で、ちゃんと単品で聴ける楽曲というより、雰囲気を際立たせるための環境音楽、という感じが徹底されてる。サントラ欲しくなってきた。
 音響も雰囲気があって、市中の雑踏(ガヤガヤ)から始まり、ボロ小屋(隙間風の音が聞こえてきそうな雰囲気)で会話してるシーンからいきなりドアバンとかびっくりした。大きな音で観てみてね。八尺様の登場シーンで流れる音楽とか超怖いから。
 難しいと感じたのは「架空の怪異を映像化」という行為で、ちゃんと特徴を捉えた解像度の高い描写になればなるほど「架空の存在」から遠ざかってしまう、というジレンマ。落とし所むずくね?原作勢的には本作の描き方はどうなんだろう。襲ってくる瞬間急に怖くなくなる所はB級ホラーっぽいけど、でもガチガチのホラーにされたら多分怖くて観れない。
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蜘蛛ですが、なにか?

 人間性を失ったくまクマ熊ベアー。2クール予定。
 「小説家になろう」にて連載された、馬場翁によるライトノベルが原作。2015年からカドカワBOOKSより単行本化。
 制作は『てーきゅう』『コップクラフト』のミルパンセ。監督は板垣伸。ちなみに同スタジオの作品はすべて、同氏が監督を務めている。シリーズ構成は『アフリカのサラリーマン』『インフィニット・デンドログラム』の百瀬祐一郎。また、共同併記で原作者がクレジットされている。
 お話としては、まるで「モルカー」のように愛くるしい容姿に転生した元女の子が、自らの身体的特徴を駆使してサバイブするお話。主人公が可愛い系異世界転生(転移)モノとしては「くまクマ熊ベアー」と似たベクトルかも。ただ、アニメのクマは「可愛い」にフォーカスを当ててるのに対し、本作は「サバイブ」にフォーカスを当ててる印象。
 なんせ人外魔境で人外に転生しちゃったので、主人公の周囲に人間の言葉を話す生物が主人公だけ。当然のように1話から主人公の独り相撲というか一人芝居が始まるんだけど、端的に言って悠木碧ってすごいね。という回。板垣監督の作品に関わるのは『ベン・トー』以来らしいのだけれど、「芸達者という印象のままだった」と監督が自身のブログで語っていたのを見るに、彼女のお芝居って我々視聴者だけでなく創る側にも深い爪痕を残しているんだなぁ、って改めて思った。
 あと、キャラの名前が覚えられない。前世の名前と今の名前と、前世の声色と今の声色が入り乱れるせいで誰が誰やら。
 総じてコミカルな演出が多い。ゲームを原型とした世界観なので、スキルがどうのこうのっていう解説が1話のメインなのだけれど、単にゲーム画面と主人公がにらめっこするのではなくて、例えばスキルの字面に主人公がツッコんでみたり、視聴者に文字を読ませている間、主人公が文字の周りをうろうろしてたり。おそらく視聴者のほとんどは、最終話を観る頃には主人公のことが好きになってると思う。ほんと、ずーーっと動いてる。
 あと、3DCGでコミカルなお芝居をさせるって結構ハードルが高いイメージだけに、序盤からクモちゃんの可愛さを見せていくのは面白い。OP開けの、くつろぐポーズ可愛いな。クモ独特の体型だけに、動きの一つ一つにアニメーションの可能性を感じる。監督がブログ内で「今作はいつにも増して変なカメラアングルをたくさんやってます!」って語ってるくらいなので、すごく3DCGを堪能できそうな予感。
 作画もなんかいい感じ。総作監の田中紀衣は『ひとりぼっちの〇〇生活』『かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~』総作監をしてた人で、本作も女の子が可愛い(サブキャラも田中さんのデザインだろうか?)。先生に絡まれて、お兄ちゃんに回り込むようにして隠れるカットの動きとか好き。ミルパンセの作品はたいていアニメーターの吉田智裕、木村博美、小林大地が参加しており、1話のアニメーションもやっぱりこの3人の貢献が大きいのかな。
 あと、なんでミルパンセの作るOPはフォントが必ず白文字+黒影なんだろう。若干の古めかしさみたいなものを大切にしているのだろうか。逆にこだわっているのか?

馬場翁さんのマイページ -小説家になろう-
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転生したらスライムだった件 第2期 第1部

 2期第一部。第二部は年内放送予定で、来季はショートアニメが放送予定。
 概ねスタッフは続投しているが、1期で副監督を務めた中山敦史が今期から監督になっている。
 スライム王国史異世界転生モノのアニメとしては、最も世界平和に近づいている作品かもしれない。「本気でユートピアを目指そうとする」という一点において、『オーバーロード』と袂を分かつ作品。
 とはいえ、少年漫画よろしくあらゆる困難をステゴロで解決する血の気の多い作品なので、ある程度政治色の強くなってきた2期でもメインは殴り合い。本作ほど拳で会話するファンタジー作品って珍しいよね。個人的にエイトビットの作品はアクションシーンが大好きなので、どんどん殴り合ってほしい。
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天地創造デザイン部

アマプラ、dTV見放題配信

 メテオフォール型けものフレンズ開発日誌。
 蛇蔵鈴木ツタ(共同原作)、たら子(作画)による漫画が原作。「月刊モーニングtwo」で連載中。
 制作は旭プロダクション。元請けは『なむあみだ仏っ!-蓮台 UTENA-』(2020年8月31日サ終)以来。監督はPAWorksのお仕事アニメ『サクラクエスト』の増井壮一で、シリーズ構成は『SHIROBAKO』の横手美智子。お仕事アニメかな。
 今存在している多様な動物って、その環境に適用できるように進化した結果多様な身体的特徴を獲得したと考えられている(キリンの長い首とかね)けれど、翻って本作は「もしそこに神様の作為があったら?」という、ある意味「生物史の2次創作」みたいな趣をもった作品。
 クライアントが雑な依頼を投げてくる→デザイナーがアレヤコレヤアイデアを出す→意味わからんデザインをクライアントが気に入る→「んなもん作れるかボケェ!」ってエンジニアがブチ切れる→偶然生まれた成功例として実在の動物に結びつく、という話の流れになっていて、概ねギャグよりのお仕事アニメみたい。
 個人的にデザイナー→エンジニアの部分が好き。デザイナーが自己中なデザインを考えた後、どうやって実装するか要件定義をし始めるのだけれど、例えばキリンなら「この首の長さは心臓が持たない」「頭まで血が登らないから即死ぬわこれ」「草食て。体型を維持するの無理やん」といった具合で、だんだん「あれ、もしかしてキリンってリアルでは実装不可能なのでは?」とか思っちゃったりする程度には動物のことを多彩な知識で掘り下げていくので、終始「へ~」ってなる。各話のネタまとめしてる人いないかな。
 加えて、「何だよその雑な依頼」からの「なんだよその雑なデザイン」からの「なんだよその雑な実装」みたいな話の展開から実在の動物にたどり着いたりするので、つい「そうはならんやろ・・・」って言っちゃうけれど、じゃあ実際はどういう経緯でその動物は生まれたの?というと、やっぱりよくわからないんだよね。動物って不思議。
 『けものフレンズ』『群れなせ!シートン学園』にあったような、リアル動物の生態解説パートが付いており、印象として「動物を知るためのアニメ」という側面がかなり強くなっている。1話3~4エピソード構成のため、解説パートも多め。しんざきおにいさんの解説パートが好きな人は楽しめるんじゃないかな。これは知育アニメだった?

IDOLY PRIDE

 長瀬麻奈と、ゆかいな仲間たち。
 サイバーエージェントグループ、ミュージックレイン、ストレートエッジによるメディアミックス作品。
 制作は『彼方のアストラ』『地縛少年花子くん』のLerche。監督は同じくLercheの作品『ようこそ実力至上主義の教室へ』『あそびあそばせ』副監督の木野目優。初監督かな。シリーズ構成はラブコメ作品でおなじみ高橋龍也なんだけど、ストーリー原案として水澄佳希(サイバーエージェントの人)、安達薫(ラブライブの人)、花田十輝(ラブライブの人)が参加しているので、ラブライブが好きな人がハマるやつなのかな。
 こんな事を言うと「お前、今更気づいたのかよ!」って言われちゃうかもしれないけど、アイドルって、頂点を目指さないといけない使命があるんだね。
 1話は前日譚。マネージャーと長瀬麻奈の馴れ初めが描かれている。本作って他のアイドル作品よりもマネージャーの心情を描くことに軸足が乗っかっているよね。もちろんメインは新人アイドルちゃんたちなんだけど、彼女たちの教育方針をあれこれ議論してるマネージャーとお姉ちゃんのお話ももっと聞きたい。
 そして、その長瀬麻奈というキャラクターと物語上の立ち位置が面白い。ここは公式の相関図を見てほしいのだけれど、あらゆるキャラクターがこの長瀬麻奈によって繋がっていて、ただの「マネージャーのイマジナリーフレンド」ではないことが分かる。作中のアイドル達がどんな目標に向かってアイドル活動をしているのか、を端的に表す「スター」として長瀬麻奈が君臨しているのね。
 そして、設定がギガ盛り。トップに君臨していて、かつ主人公グループのことは応援していて、でもライバルとして戦うことはしなくて、でもアイドルを辞めたわけじゃなくて、今でもみんなの心のなかには「最高のアイドル」として存在し続けている・・・みたいなとんでもないアイドル像を、ウルトラCなシナリオで実現してしまった。永遠のアイドル(17)ってそういう意味だったのか。その長瀬麻奈役として、神田沙也加さんが参加。駆け出しのアイドルです~ゆーてんのに歌がクッソ上手くて草。アルバムで何曲か歌ってくれないかなぁ。
 あと、アイドル作品におけるアイドルとマネージャーの関係性がすごく好き。中には恋愛関係みたいなのもあるんだけど、本作のように「好きだけどLOVEじゃない」「仕事上の仲間だけど、異性としての魅力を常に感じている」「その子がみんなに愛されている姿が好き」みたいな。すごく不思議で魅力的な関係。
 キャスティングで言うと、主役の中の人は新人アイドルなんだけど、事務所(ミュージックレイン)の先輩であるTrySail、スフィアがキャスティングされててちょっと面白い。いやライバル強すぎひん?
 総じて、画作りが美しい。よくシークバーを弄りながらサムネイルを眺めて話の展開を予想するのが好きなんだけど、本作のサムネイルは展開やキャラの心情に合わせた画作りがはっきりしていて好き。1話で言えば、長瀬麻奈を表す淡いピンク、急転直下からくすんだ灰色、独りになったマネージャー(若)の深い青。シネスコサイズなのはLercheのアニメ『彼方のアストラ』を思い出す。彼方のアストラも色彩がいいアニメだよね。

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© 2019 Project IDOLY PRIDE/星見プロダクション

idolypride.jp

ゲキドル

 少女☆演劇。2層展式のメディアミックス作品。
 オッドエンタテインメントによる日本のメディアミックスプロジェクト。今年の3月に舞台が上演予定なんだって。
 制作はフッズエンタテインメント。制作元請けは2019年の『戦×恋』以来。監督は同じくフッズの作品『メルヘン・メドヘン』の上田繁。シリーズ構成は『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』『安達としまむら』の大知慶一郎。コメディ作品の脚本もやってる人だけど、本作はかなり青春群像劇寄り。
 キャラ原案を担当した関谷あさみは、あのComic快楽天とかで連載している漫画家。てっきりエロいアニメなのかな、なんて思っていたけれどそんな事はなかった。ということもなかった。いやEDめっちゃエロいやん。EDの絵コンテと演出を担当した上田監督は『メルヘン・メドヘン』のときもEDがかなりフェティッシュだったけど、そういう癖でもあるのだろうか。
 ひょんなことから演劇に目覚めた女の子たちのお話。2層展開式ということで『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を思い出すけれど(ちなみに舞台版主人公を演じるのは、スタァライトの主人公でおなじみ小山百代だったりする)、本作は表題に「アイドル」が含まれる通り、「歌って踊れて、お芝居も魅力的なスーパーアイドル目指します」みたいなニュアンスになっているっぽい。
 裏方の描き方も面白くて、例えばラブライブでは演者が自らの呪力で生得領域を展開するのに対し、本作はゴリゴリのハードウェアによるAR空間投影、という設定みたい。あえてボロいサーバマシンを山積みにして稼働させている演出になってて、すごくそそられる。でも「ゴオオオオオ」っていう駆動音は草。今ってこの手のSFっぽい演出見ないよね~。
 2話以降は各キャラのバックグラウンドが掘り下げられていくんだけど、総じて闇が深い。『A3!』のときも思ったんだけど、舞台俳優ってやたら重くて暗い過去を託されやすい運命でもあるんだろうか。本作って実は表現者としての「業」を描く硬派な作品なのかな。
 たまたま見に行った舞台がすごく面白くて、友達と「あーいうお芝居する人憧れるよね~」なんて会話をするシーンの日常感が強調されてるので、Bパートからの「ここからはお芝居の世界ですよ」感がより際立ってて好き。
 演劇がテーマということで、アリスインプロジェクトの「アリスインデッドリースクール」という実在の演劇を、本作のキャラクターによる劇中劇として「別のアニメ作品」という形でアニメ化する、という面白いことをしている。円盤に収録されるんだって。
 単に劇中劇をOVA化している事自体面白いとは思うけれど、それよりも「ゲキドルのキャラクターが、架空のAR世界で架空のキャラクターを演じている様子を架空の作品として映像化する」というコンセプトにおいて「ゲキドルのキャラが演じている」の部分をどう表現するのかが気になる。
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https://www.odd-inc.co.jp/stage/geki/

装甲娘戦機

 異世界ミリタリー系ロードムービー
 こう見えて、レベルファイブの「ダンボール戦機」シリーズを原作にしたスピンオフ作品。制作は『珠詠』のstudio A-CAT。というわけでほぼ全編3DCG。
 世界観考証にあの鈴木貴昭が参加しているので、『戦翼のシグルドリーヴァ』みたいなミリタリー系フレーバーが非常に色濃い作品に仕上がっている。1話最初の戦闘とか、刻々と戦況が悪化していく様とかすごくリアティティがあって好き。あと最初に1人くらい犠牲者出して緊張感演出するのやめてよね。
 ひょんなことから異世界転移しちゃった女の子達が前線に送り出されるお話。って書くと主人公無双系のなろう小説みたいな感じだけど、本作は主人公がクソ雑魚なので大丈夫(大丈夫じゃない)。インタビュー読む限り、色んな街(廃墟)を旅するロードムービーになる感じなのかな。
 戦う女の子ということで、ちゃんとバンクシーンが有る。なんとなくバンクシーン=作画アニメーションのイメージだったけど、3DCGアニメーションでパーツの形状をちゃんと見せてく感じのバンクに。「元ネタ機体の、こういう部分をこういう風にアレンジしてみました」っていう紹介になってるのが好き。
 EDアニメーションが特にそうなんだけど、ぴょこぴょこする歩き方かわいいよね。制作のStudio A-Catは『超可動ガール1/6』とか『フレームアームズ・ガール』作ってたスタジオなので、ある意味「可愛い女の子に武装させるのが得意な3DCGアニメーションスタジオ」というニッチな作風を極めつつあるのかもしれない。

五等分の花嫁∬

 2期。タイトルの「∬」の意味がOPで暗示されてるアニメーションすき。てっきり「ついに舞台は大学へ」なのとか思ったけどそんなこともなかった。
 制作、キャラデザが1期から変更。1期を制作していたスタッフは先のアニメ『安達としまむら』を制作してて、本作は『アズールレーン』のバイブリーアニメーション。監督は『ミイラの飼い方』『えんどろ~!』の、かおり監督。シリーズ構成は大知慶一郎が続投している。キャラデザはバイブリーのアニメーターさん?が担当しており、デザインが変わっている。特に主人公、オードリーの春日っぽさが減っている気がする。
 ストーリー的には1期ラストの修学旅行編でかなり距離が詰まってきたかな?っていう感じだったので、2期は1話から好きがいっぱい。
 特に主人公は1話で「人を好きになる機能がちゃんと付いていた」という衝撃的な展開から始まるので、どう心が動くのか楽しみ。
 演出的には1期よりもコメディタッチな、コミカルな演出が増えた気がする。デザイン的にも動かしやすそうなキャラデザに感じた。予防接種してるシーンかわいい。
 本作と関係ないけど、『安達としまむら』でしまむらを演じた伊藤美来は本作で3女を演じているんだけど、1期で覚悟を決めた三玖がどこか(キャラ変後の)安達のような面影があって、「しまむらが安達だ・・・」という不思議な気持ちに。

PUI PUI モルカー

アマプラに課金すれば全話無料

 かなり振り切ってる羊毛フェルト製パペットアニメ。ショートアニメ。
 制作はみんな大好きシンエイ動画。監督はパペットアニメ職人こと見里 朝希(みさと ともき)。同氏は自身のYoutubeチャンネル等で自身が手掛けた作品の一部を公開してるのだけど、「あたしだけをみて / Look at Me Only」とか、ずっと( ゚д゚)・・・ってなってた。花が咲くアニメーションとかどうやってんのこれ。本作もかなりワンマンアーミー感のある作品。
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 癒し系の車“モルカー”。くりっくりな目と大きな丸いお尻、トコトコ走る短い手足。常にとぼけた顔で走り回るモルカー。渋滞しても、前のモルモットのお尻を眺めているだけで癒されるし、ちょっとしたトラブルがあってもモフモフして可愛いから許せてしまう?!
クルマならではの様々なシチュエーションを中心に、癒しあり、友情あり、冒険あり、ハチャメチャアクションもありのモルだくさんアニメーション!
(公式サイト Introduction より引用)

 「モルモットの擬車化」という中々すごい設定の子供向けアニメなんだけど、とにかくフェルト製パペットの表情が細部までアニメーションしててちょっと凄い。ちょこんとくっついてるだけの耳とかもコミカルに動きまくるし、縦に弾むような仕草は「こいつ、もちもちしてやがる・・・!」という感動すら覚えた。1話のラストとか何体アニメーションさせてるのか分からないくらい動かしまくってて軽く狂気。羊毛フェルト職人凄いな。
 ただ、それらの魅力に負けないくらい強烈なのが、音。本作は登場キャラクターの声を実在のモルモットが担当しており、ほぼすべてのセリフが彼らの鳴き声で構成されているのだけれど、特に1話がヤバい。交通渋滞に巻き込まれてしまったモルカーのシーンで5~10匹くらいのモルモット達が、ずーーーーっともるもるもるもる鳴き続けており、めちゃくちゃ怖い。あらゆるシーンでモルモルし続ける様はなんかこう、強烈な生命力を感ぜずにはいられない。多分作ってる人も「モルモットやべえ」って思いながら作ってると思う。
molcar-anime.com

バック・アロウ

 ダサかっこいい勇者シリーズ。オリジナルアニメ。
 制作は『うしおととら』『からくりサーカス』のスタジオヴォルン。オリジナルアニメは初めてなのね。メインとなるロボットは3DCGで、制作はダイナモピクチャーズ。最近のロボアニメでいうと『エガオノダイカ』の3DCG制作を担当している。あんな感じのロボが登場するよ。
 また監督・谷口悟朗、CGアクションスーパーバイザー・山根理宏、音楽・田中公平という超すごいメンツなので、実質勇者シリーズ。シリーズ構成は『天元突破グレンラガン』等TRIGGERの作品でおなじみ中島かずきが参加しており、キャラの癖が強い。
 物理的に閉鎖された世界に、主人公が旋風を巻き起こす話。数あるロボアニメの中でも、特に主人公が明るく優しい性格かつクソ強い。安心して観ていられる方のロボアニメ。
 ロボットアニメということで、メインはロボットアクション。シリーズ構成が中島かずきということで、トリガー作品に出てくるロボットみが強い。
 「信念が強いほうが勝ち」という尺度で描かれる「強さ」が結構面白い。正統派ロボアニメの「スポーツマンシップに則って正々堂々と戦うやつが一番強い信念を持っている」みたいな感じと違って、もっと人間臭さをフィーチャーしているのが印象的。もちろん上記のような主人公ムーブしてる強キャラもいるんだけど、「人生、逃げたもん勝ち」「長いものには巻かれろ」という、「それな」としか言いようのないラインを敵味方共に信念として掲げてくるので、どのキャラも強いというか、逞しい。勝敗はあくまで、自分の掲げている信念を、どれくらい自分自身で強く信じているかどうか(あと相性の問題)なので、負けたからと言ってもお前の正義を真っ向から否定してるわけじゃないところに優しさを感じた。
 「これは演習ではない」頂きました。谷口悟朗監督のアニメに出てくる中間管理職のおっさん、ほんと面白いよね。掲げている信念とかも含めて主人公サイドが霞むくらい魅力的。戦闘中でも敵味方問わず無駄口が尽きなくて、シリアスの革を被ったコメディ作品まである。次のおっさんはどんな感じなんだろう。
 あと、出てくるオリジナルワードの数が多いため、公式が大百科を用意してくれている。長さの単位て。
back-arrow.com


弱キャラ友崎くん

 人生は神ゲー派vs人生は糞ゲー派の戦い。
 ガガガ文庫より2016年から刊行されている、屋久ユウキライトノベルが原作。イラストは『色づく世界の明日から』のフライが担当。
 制作は監督はprojectNo.9。なんかラブコメ作品を手掛けることが多いよね。スタッフ的には『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』のスタッフが多い。監督は同スタジオの作品ではすっかりおなじみ柳伸亮。『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』に引き続き、再びオフ会の悲劇を描くことに。シリーズ構成は『放課後ていぼう日誌』『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』等でおなじみ志茂文彦
 お話としては、陰キャが思春期に抱く閉塞感と、真正面から戦う主人公の成長物語。「リアルだとめちゃくちゃ打たれ弱いのに、なぜかゲームだと無限に頑張れるよね」みたいなメンタルを胸に、リア充を目指すお話。『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』の亜子ちゃんが主人公になった感じだろうか。キャラデザは両作とも矢野茜が務めてるんだけど、すごくおめめが可愛い。
 「陰キャは悪で、リア充は正義」という話ではなく「リア充をバカにしてるけど、そういうのは一回リア充経験してから言え」という話なので、最終話は「やっぱリア充って糞だわ」になったりするんだろうか。俺ガイルの方は最後まで水と油だった気がするけど。
 現実をゲームに見立てて攻略していくお話なので、『ゲーマーズ』『ネト充のススメ』等と題材は似ているけど話のベクトルはかなり違うよね。本作にはあんまりゲームの話題出てこないし。ただ、主人公に提示される難易度がダークソウル並の死にゲーなので、視聴者は共感性羞恥の炎でその身を焼かれればいいと思う。私は2話冒頭1分で火だるまになった。きっつ!
 キャラ付けがけっこう類型的なのは、やっぱり恋愛シュミレーションゲームリスペクトなのかな。カテゴリ上は「恋愛/ラブコメ」なので、主人公がヒロインを攻略していくお話がメインになるんだって。しらんけど。



HERO MASK PartⅡ

ネトフリ独占配信

 2期。いや2ndシーズン。
 SF要素の強い海外の刑事ドラマ。単にシナリオの「洋ドラっぽさ」だけではなく、舞台や人、モノのデザインまで作り込まれている。キャラの仕草まで丁寧に描かれててすごい。
 あとアクションシーンの魅せ方もかっこよくて、カメラワークとかハリウッド映画見てるみたい。
 メディアの違いを感じるところは、シーズンの最後に重要キャラが(キャスティングの関係で)突然殺されたりしないとか、バイクとか車が爆発し放題とか。この辺は海外ドラマに詳しいほど面白いかもしれない。
 てか、主人公すごいよね。基本生身+拳銃だけであらゆる脅威を排除しちゃうし。

スケートリーディング☆スターズ

 チア男子!!! on ICE。
 制作はJ.C.STAFF。監督・谷口悟朗、副監督・福島利規のタッグは『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』以来。シリーズ構成の木村暢は今期の『怪物事変』のシリーズ構成も務めている。
 キャラクター原案に、あの『ツイステッドワンダーランド』の枢やな(とぼそ、って読むんだって。知らなかった)が参加している。キャラデザは『あまんちゅ!』でおなじみ伊藤葉子。総監督に谷口悟朗がクレジットされいる作品ではあるのだけれど、ほぼSF要素が無い。むしろリアル路線のスポ根モノまである。ディティールにこだわった作品という意味では似たようなものだろうか。
 ひょんなことからスケートリーディング部に入った男子高校生のお話。日本で老若男女問わず最も愛されている3大スポーツといえば野球、サッカー、フィギュアスケートだけど、本作で描かれるのはフィギュアスケート団体競技)。5人でプリズムジャンプをキメて敵を蹴散らせ!とかを想像してたけど、1話でスポーツ番組のアナウンサーが競技の説明をするシーンをわざわざ挟むくらいガチガチの架空オリンピック競技として描くつもりみたい。
 「もしリアルでやったら危ないので不可」「もし出来たら絵的に映えそう」という意味ではすごくアニメっぽい題材だよね。
 「一度離れたんだし、もう二度と手を出さない・・・とか思ってたけど、実のところ未練タラタラで、結局どうしようもないくらいステージの上が大好きなんだな、自分」みたいな心情の描き方って、わりとアイドル作品の趣きがあるよね。1話では団体競技のシーンはないけど、そのうち歌って踊るパフォーマンス来るのかな。
 ダンスの振付ならぬ、アイスショーのパフォーマンスディレクターがちゃんと参加してるのすごくない?実際の試合シーンもゴリゴリの作画アニメーションで魅せてくる気合の入りようで、競技シーンだけ何回も観たくなる。本作のキーアニメーター・高木有詩って人めっちゃすごい人なのでは(同士は『まちカドまぞく』のバンクシーンで原画を描いてる人)。
 特に競技としてのフィギュアスケートを描いた作品『ユーリ!!! on ICE』と違いを感じるとすれば、本作は「ショー的な側面」も大事にしているところなのかも。カメラの視点でいえば、ユーリは「演技を撮影しているカメラ視点(リアル志向)」が多い印象だけど、本作は「魅せプレイを意識した画角」が多い気がした。主人公のジャンプで客が「おお!」ってなってたのがすごく印象に残ってる。

たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語

 マサラタウン出身の少年の成長譚。
 GA文庫より2017年から刊行されている、サトウとシオのライトノベルが原作。イラストは和狸ナオ。原作者の名前は「サトウ と シオ」じゃなくて「サトウ とシオ」なんだって。
 制作はライデンフィルム。監督のmigmiは『HUNTER×HUNTER』の助監督とか『レイトン ミステリー探偵社 ~カトリーのナゾトキファイル~』の副監督をしてた人で、本作が初監督かな。シリーズ構成は「快活な女子が出てくるアニメ」でおなじみ赤尾でこ。ちなみに本作の主人公は男の子。
 お話としては、真面目で朴訥とした、まるでモブのような雰囲気の主人公と、なぜか主人公に対してやたら愉快な絡み方をする女の子たちの日常を描く作品。そういう意味では「ゆるいダンまち」みたいな趣がある。主人公の声が松岡禎丞じゃないのは、本作がラブコメじゃないから、かな。ラブコメじゃないよね?
 主人公の些細なボケでさえ周りのキャラたちが200%くらいの力で拾い上げて突っ込んでくれるので、主人公と周りの温度差がすごい。特に茅野愛衣演じる保護者役のお姉さんが、このすばのカズマみたいな怪演に。
 本作の美術、すごく雰囲気あって好き。森のキラキラしてる感じは『ソマリと森の神様』を思い出す。お話のメインとなる街の建物とかも、可愛い感じを残しつつ生活感があって、「地に足つけた生活」「冒険ファンタジー」感を大事にしてるのかな、って。
 あと、音楽をフィルムスコアリングで作ってない?緩急が激しいテンポ感にやたらガッチリとハマってる音楽の演出がすごく劇的で、1話なんか特に聴き入ってしまう。

回復術士のやり直し

 闇落ちした『Charlotte』乙坂有宇の逆襲。
 「小説家になろう」にて2016年から連載された、月夜涙による小説が原作。イラストはしおこんぶ。角川スニーカー文庫より2017年から刊行。原題は「回復術士のやり直し〜即死魔法とスキルコピーの超越ヒール〜」。
 制作は、エロアニメ専門スタジオことティー・エヌ・ケー。監督は同スタジオの作品に絵コンテ、演出等でちょくちょく関わっている朝岡卓矢。本作が初監督かな。シリーズ構成は『転生したらスライムだった件』『神達に拾われた男』の筆安一幸(漢字のほう)。
 1話では一周目の人生が描かれるんだけど、あっさり二周目に突入するんだね。原作だとどうなのだろう。主人公の境遇としては『盾の勇者の成り上がり』『ありふれた職業で世界最強』並にハードモード。平和スタート→ハメられる→絶望→憎悪→復讐の過程を丁寧に描くのかと思っていたのだけれど、本作はまず復讐パートから始まる。
 主人公の動機づけが非常に明確ですき。もし主人公がただの英雄だったら「なぜ魔王と戦うのか」みたいな逡巡がやってくるのだろうけれど、本作の主人公は「俺をひどい目に合わせた連中を全員ぶっ殺す」というブレない精神をお持ちなので、先のアニメ『無能なナナ』のようにはならず、最後まで完遂するんだろうなぁ。明確に「世界の未来<復讐」という天秤の傾き方をしているよね。ナナしゃん・・・。
 キャスト欄だけど、「ケヤル/ケヤルガ:保住有哉/フレア/フレイア:渋谷彩乃」との記載から、最初ははケヤルがフレアに復讐する話で、後半(3周目の世界とか?)はケヤルガ、フレイアの話みたいな感じなのだろうか。少なくとも復讐パートにはキービジュアルのキャラクターはほぼ登場してないようなので、後半パートにどうつながっていくのか楽しみ。

魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編

 神話と宗教を巡る旅。2期。
 オーフェンって、特に世界観や宗教観が面白いよね。魔法と宗教が遠い親戚だったりするので、主人公自身もそういった部分にちゃんと学があるし。旅の中で色んな事件に巻き込まれていく中で、少しずつ本作の世界観を紐解いていくお話、という解釈で観ていると結構楽しい。実はインディージョーンズと同じカテゴリの作品なのでは?オーフェンってほぼ考古学者だよね。

オルタンシア・サーガ

 ハイファンタジー戦記モノ。
 f4samuraiより配信されているスマホゲームが原作。本家のゲーム「オルサガ」と分けるために「オルアニ」って呼ぶんだって。ちなみに2015年から稼働しているのが「オルタンシア・サーガ」で、今年サービス開始するゲームが「オルタンシア・サーガR」。
 制作はライデンフィルム。監督は『キリングバイツ』『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』の西方康人。シリーズ構成の池田臨太郎はちょくちょくライデンフィルム作品で脚本を書いてる人で、『七つの大罪 神々の逆鱗』以降のシリーズ構成の人。
 戦乱の世の中で「一番かっこいい騎士とは何か」を掘り下げていくお話。お話自体は紆余曲折あるんだろうけど、登場人物はほぼ全員騎士。敵味方関係なく「俺の騎士道はこれだ!」を示していくスタイルなので、「お前のそういう非道な行いは騎士とは言えない」「むしろそういう軟弱な態度こそ騎士失格だわマヌケ」みたいなイデオロギーのぶつかり合いこそが本作の主題なのかもしれない。そして、そこに加わるモンス勢。ゲームだとこのモンスター討伐がメインだったりするのかな。
 序盤のお話としては、オヤジの弔い合戦みたいな部分が主軸になっていくのだろうともうのだけれど、この作品らしさとして「あんまり敵を憎んでいる部分にフォーカスしない」という点が印象的だった。人狼の亡霊が出現したシーンではかなり主人公の心情(憎悪)が表情として描かれていたけれど、そこはあんまり掘り下げずに「立派な騎士にならないと」というモチベーションで頑張ってるんだよね。女騎士も同じく過去にとらわれている心情が描かれているけれど、同様に「復讐してやる!」という方向ではないストーリーなのかな。ちょっと大河ドラマみたいだなって思った。
 ほっちゃーん! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!! 少年ボイスがすごく新鮮で素敵。堀江くんちゃんを含め、キャストがすっげー渋い。ちなみに従者の上田麗奈はゲームリリース当時まだ新人だったらしく「あの頃の自分の芝居マジやべえ」って内心思いつつ、当時の演技を復元してるんだって。声優って大変だね。
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アイドールズ!

 Wake Up, Virtual Girls!
 オリジナルのショートアニメ。メインキャストは81プロデュースのオーディション企画出身の新人さん。
アイドールズプロジェクト(通称はアイプロ)はシンエイ動画81プロデュースが共同で2019年4月に開設したYouTubeチャンネル「What 声 You?」のメインコンテンツである。アイドールズプロジェクトは同年5月30日の公開キックオフイベントから始まり、複数のステージを経て、2020年3月31日の最終審査公開オーディションまで続き、81プロデュースの養成所生など84名から4名が選ばれた。 
 制作は『PUI PUI モルカー』のシンエイ動画シンエイ動画って何でも作れるんだね。監督は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の総作監を務めた中野翔太で、本作が初監督かな。
 
 日本有数の、泣く子も黙る大人気ライブ会場「こまごめわいわいほーる」。100人キャパ(現在はコロナの影響でもっと少ないらしい)を埋めることを目標に、日々がんばる駆け出しアイドルの話。Vtuberとしての活動を軸足にしていることもあり、最近の「アニメ」に限って言えば『バーチャルさんはみている』のような雰囲気の楽屋コント作品。
※以下、Vtuberはノータッチ勢からの感想です。
 アニメーションすごくて草。初めて『SHOW BY ROCK!!』のサンリオ時空見たときくらいびっくりした。え、髪の毛のモーションすごい・・・。
 「しゃべる置物を持ち上げて、元の位置に戻すアニメーション」とか、指の動きとか貫通してない感じとかすごい。今のモーションキャプチャーってこんな事できるのか。
 てかライブだけじゃなく、全部そのアニメーションでやるんだ。
 あと、被写界深度で手前にピントが合うような演出をみると、「3DCG臭さ」みたいなものって意外と感じにくくなるんだね。この手のアニメーションはあんまり背景をこだわって作ってるイメージがなかったので、本作の美術のクオリティにびっくりした。
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アイ★チュウ

 うんうん!それもまたアイ★チュウだね。
 リベル・エンタテインメントにより開発・運営されているスマートフォン用ゲームアプリ。
 制作はLay-duce。元請けは『荒ぶる季節の乙女共よ』以来。プロデュースがツインエンジンということで、何気に監督が『ゴールデンカムイ』の難波日登志だったりする。シリーズ構成の成田良美とのタッグは『いつだって僕らの恋は10センチだった。』以来かな。もしかして本作は恋愛系なの?
 アイドルを目指す学校の麗しき日常を描く。きっと制作は箱推し。キービジュを見て「なるほど、この3人が主人公なんだな」と思いきや、実はラピライ並に主要な登場人物が多く、多分あらゆる属性を網羅している気がする。『戦翼のシグルドリーヴァ』のおじさんコメンタリー内で、鈴木貴昭が『ハイスクール・フリート』のような類の作品を「美少女動物園」と言ってたけれど、本作はそのイケメン版みたいな?
 世界観?というか舞台が特殊だよね。ちなみにタイトルを意訳すると「アイドルの育成を目的とした専門学校があって、そこのタレントさんたちがこう呼ばれています」みたいな感じ。
 雰囲気は学園モノっぽいけど無名の学生(研究生)?が数多く通っているわけじゃないし、学校と言っても教育機関のような役割を果たしているわけじゃないし(学園モノみたいな趣はなさそう)、かといってアイドル甲子園目指して頑張る熱血スポ根部活モノみたいな雰囲気でもなさそうだし、インディーズからメジャー目指してユニット同士バチバチにやり合う社会人アイドルっていう感じでもないし。強いて言えば「きれいなおちこぼれフルーツタルト」みたいな、自由奔放で楽しそうなアイドル像目指してるのかな。

WIXOSS DIVA(A)LIVE

 レイ様とゆかいな仲間たち。「WIXOSSは闇のゲーム。遊びでやる奴は全員帰れ」を布教するアニメの新シリーズ。旧作とはパラレルワールドとのこと。
 制作は引き続きJ.C.STAFF。監督は、色んなアニメのOPを担当していることでおなじみ、松根マサト。最近だと『彼方のアストラ』のかっこいいOP(OP映像監督・絵コンテ)とか。本作のOPもやっぱりかっこいい。シリーズ構成は『ぱすてるメモリーズ』の玉井☆豪。ややギャグテイストな雰囲気は確かにぱすメモっぽいかも。劇伴とか音響スタッフは基本的にシリーズ通して続投してるのね。
 カードゲームというより「力でねじ伏せるアイドル甲子園」みたいな感じに。ちゃんとライブシーンも作っていて、ウマ娘よりアイドルしてる。
 ゲームルールが「魅せプレイして客の関心を集めた方の勝ち」になったことでアイドルたちの衣装や演出が過激化していて、「ちょっと昔の魔法少女バトルモノ」みたいなゲームになった。岩浪美和の音響チームが参加してるのでSE周りもJOJOみたいになってるし。
 で、実際はどうやってWIXOSSやるんだろ。とりあえずタロットカードの代わりに使えるっていうのは覚えた。
WIXOSS-ウィクロス-|タカラトミー

プレイタの傷

 スタイリッシュマフィア。
 フロンティアワークスによるメディアミックス作品。制作は「Gohandsって、Gohandsっぽいアニメ作るよね」でおなじみGohands。監督、シリーズ構成は『K』『ハンドシェイカー』『W's』に引き続き、鈴木信吾八薙玉造が続投。ちなみに巷で話題のアニメ『東京BABYLON2021』を制作するのはこのスタジオ。Gohandsのアニメはどの作品でもいいから1作品は観てほしい(ただし生徒会役員共は除く)。
 無法地帯を舞台に、マフィアと抗争を繰り広げるレジスタンスたち(イケメン)の話。
 メンタルだけいっちょ前の主人公が英雄からワン・フォー・オールを授かり、そこ始まる展開は少年漫画的なんだけど、登場人物の儚さは少女漫画的だよね。
 Gohandsの作品らしく、ゴリゴリのアクションシーンがメイン。高速で目まぐるしく動く背景と、その中を縦横無尽に駆け回る描き方は何度見ても疾走感が凄い。個人的に16分43秒の、主人公のスタイリッシュ発砲が好き。
 新作が作られるたびにアップデートされる背景技術。引きの絵が全体的にゲームのPVみたい。

おとなの防具屋さん(第2期)

※ラグジュアリー版はd'アニメ独占配信

 2期。ビキニアーマー系コメディ。ショートアニメ。
「街行く女冒険者になんとかしてビキニアーマーを着てもらい、かつ防具屋の経営を無事黒字化することは果たして可能なのか」という主題は結局解決しないまま1期が終わっちゃったので、次こそは。
 なお、d'アニメストアではラグジュアリー版(☓ラグジュエリー版)が配信されている。3本立てになっていて、本編の続き→スマホゲーとかでよく見るパラレルワールド的なアレ→オーコメ。オーコメはHKT48所属のアイドル3人が担当している。
 個人的にオーコメが結構好きで、「本編とは何の脈絡もない3人が表情差分付きでやいのやいのしてて本編映像はもはや背景扱いなんだけど、喋ってる内容はアニメの実況」っていう様子が、オーコメによくある「本編の映像そっちのけで全く関係ない話をしている声優たち」とはまさに真逆で、それがちょっと新鮮に感じた。「イケボだよね~」っていう感想の、一周回って新しい感じ。意外とアリでは?

怪病医ラムネ

 怪異譚系の飯テロアニメ。チクワ食べたくなってきた。
 阿呆トロによる漫画が原作。『月刊少年シリウス』にて2017年から連載(2018年12月から「マガジンポケット」に移籍)。
 制作はプラチナビジョン。監督は、同スタジオのアニメ『この音とまれ!』でディレクションアドバイザーを務めた大庭秀昭。ディレクションアドバイザー?
 シリーズ構成は『この音とまれ!』の久尾歩が続投している。え、音楽は織田哲郎なの?あの織田哲郎
 心の闇と怪現象(本作の場合は「病気」というモチーフ)を描く作品。妖怪が出てくる作品はたいていバトルモノになっていく傾向があるけど、本作はそういう路線ではなさそう。
 1話は、心の闇を抱えた幼女を荒療治で救う話。悪役を改心させる方の勧善懲悪モノなのかな。ハートウォーミングな後味が印象的で、ちょうど呪術廻戦で心が荒んでたので助かる。
 ちょっとダークな雰囲気を感じさせる陽キャお兄さん(忍野メメみたいな感じ)と、無表情メガネくんのコントが実は1話の半分くらいを占めているので、重いようで軽いコメディ作品のように感じた。二人はどういう関係なんだっけ?怪現象についても、やたら飲食物に絡めたネタが登場するので、総じて軽いテイストの作風なのかな。
pocket.shonenmagazine.com

八十亀ちゃんかんさつにっき 3さつめ

 3期。いそ・・・やそ・・・八十亀ちゃん。名古屋県のご当地アニメ。
 このご時世を反映してか、今期は実写パートなし。ご当地要素減っちゃって少し残念。
 2期からは特にキャラも増えて、「名古屋と他の地域との関係性」みたいな部分の掘り下げが増えていく感じは楽しいね。あとEDクレジット常連だったイリノイ州出身兄貴は元気だろうか。

アズールレーン びそくぜんしんっ!

 日常系ショートアニメ。
 去年放送されたアズールレーンのアニメのスピンオフ・・・ではなく、まんが4コマぱれっと一迅社刊)で連載中の公式4コマ漫画が原作。
 制作はYostar Pictures、studio CANDY BOX。Yostarは『アズールレーン』『アークナイツ』でおなじみ中国のゲーム会社の日本法人で、自社IPのアニメ作品(PVとか)を制作するために自前のスタジオを作ったみたい。本作は記念すべき第一作目。
 監督は『へやキャン△』『白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE』『ド級編隊エグゼロス』の神保昌登。ちなみに同氏は『盾の勇者の成り上がり Season 2』で監督を務めている。
 めっちゃ平和。アズレンに登場するキャラのうち、子供組がメインなのね。『のんのんびより』の旭丘分校みたいな雰囲気ですき。これは小学校なのか?

俺だけ入れる隠しダンジョン

 LP(淫語)を吸って元気になる深夜アニメ。
 「小説家になろう」にて2017年より連載中の、瀬戸メグルによる小説が原作。イラストは竹花ノート。原題は「俺だけ入れる隠しダンジョン 〜こっそり鍛えて世界最強〜」。
 制作はオクルトノボル。2017年設立の若い会社で、元請け制作は『あかねさす少女』の共同元請け以来。余談だけど、あかねさす少女の公式サイトが無くなってた。
 監督は『理系が恋に落ちたので証明してみた』副監督の大西健太。クリエイティブプロデューサー(?)の喜多幡徹はエロいラブコメでおなじみの人なので、例に漏れず本作もエロいラブコメ。シリーズ構成は『幼女戦記』『慎重勇者』の猪原健太。
 す・・・魔窟。貴族社会に揉まれながら、たくましく生きる貧乏貴族の3男のお話、と見せかけて現代っぽいラブコメ(エロゲのテイストが強め)。また、中の人が「ぼくたちは勉強ができない」の成幸とリズだったりするので尚更ドキドキする。
 貴族社会において格差=絶対に越えられない壁なので、チート行為を駆使してのし上がっていくサクセスストーリー。チート行為には代償が必要で、「ヒロインとイチャイチャするとチート行為が再使用できる」というエロゲみたいな設定。先のアニメ『モンスター娘のお医者さん』はまだ「医療行為!医療行為だから!」っていう建前があったけど、本作の主人公は自身の功名心でヒロインを抱いてるフシがあるので実はヤバい奴なのでは。人畜無害そうな態度で性欲を満たそうとするところが特に怖い。
 ドアノブで草。「縦軸は大真面目な冒険ファンタジーというテイなんです」みたいな建前なのに、背景とか衣装とか細かな設定でちょくちょくボケをかましていくスタイルは狙ってやっているのだろうか。いや扉を開ける呪文!
 音泉で公式ラジオ番組が配信されていて、パーソナリティは逢坂良太大久保瑠美富田美憂。あけすけなシモネタでバカみたいに盛り上がっている男女ラジオいいよね。ちょっと『生徒会役員共』のラジオを思い出す。特に大久保氏がリスナーからのバカみたいなメールにフルスイングで応えてくれるので、毎回死ぬほど笑わせてもらってる。
俺だけ聴けるラジオダンジョン | インターネットラジオステーション<音泉>

瀬戸メグルさんのマイページ -小説家になろう-

EX-ARM エクスアーム

アマプラ独占配信

 SFアクション映画。3DCG版『実写版【ハリウッド版「攻殻機動隊」】』
漫画:古味慎也、原作:HiRockによる漫画が原作。「グランドジャンプ」にて2015年から連載された(2017年12月から「少年ジャンプ+」に移籍)。
 制作はビジュアルフライト。元請けは初かな。主要スタッフ(脚本、演出とか作監とか)をひととおりググってもよくわからない人たちが制作している。監督の木村好克は実写畑出身の人で、『KG カラテガール』監督。
 セットアップがボロボロなので、アニメを見ても何の話かよくわからない。エクスアームがどういう世界で、どういう物語なのかを理解するためには原作を読む必要あり。カンフー映画とかを「理由は何でもいいから、さっさと戦ってほしい」みたいな気持ちで見てる人向けに言うと、「5:10~」「15:40~」が本編。
 思った以上に、実写のアクション映画ライクな作品。カメラアングルとかアクションとか。特にアクションはモーションキャプチャーで「あ!これアクション映画で見たやつ!」な動きをかなり再現してて、アニメなのに「スタントマンと撮影技術だけだとギリギリ無理なアクション」みたいな、独特のリアリティラインを意識した作品に。B級映画っぽい。
 率直な感想として「これ原作のないオリジナル作品でもよくね」と思う程度には監督の色が強い作品のため、お話としての『EX-ARMエクスアーム』の感想は分けることにした。以下原作の感想。願わくば、アニメのED絵を見て「お、アルマかわいい。原作読んでみるか」っていう私みたいなちょろい視聴者が一人でも多く現れてくれれば幸いだ。
 1巻はアニメの2話途中くらいまで。『呪術廻戦』で例えると、ひょんなことから自覚のないまま両面宿儺になってしまった主人公(しかも大暴れした後)が、自身の能力に戸惑いながらも「処刑」もしくは「宿儺の指を回収する組織への協力(回収後は多分処刑)」の二択を迫られるお話。
 印象的なのが、主人公の身体にまつわる表現のしかた。はじめのエピソードで草薙素子よろしく大型船をハッキングして意のままに操るんだけど、「まるでこの船のすべてが俺の体になったみたいだ」と表現してて、実際に四肢を動かすような感覚で船の操舵や射撃、船内の設備を自在に操作してみせるんだよね。当の主人公は脳みそしか無い状態なので、その後も主人公が何かをするために(自身の体ではない)何かを依代にするんだけど、その後のエピソードでは逆に「体を奪われる」という拷問を受けるんだよね。要は外部からのフィードバックを全部遮断されることで臨死体験をするんだけど、「声を出してるつもりなのに声絵が出ていない」「自分の心臓の音が聞こえない」「体の感覚がない」「浮いてるのか落ちててるのかわからない」みたいな、肌感覚としての「脳みそだけ状態」が描かれてて面白かった。そう考えると、ネットの海を漂っている草薙素子ってどういう状態なんだろうね。
 あと「生きているという実感を得ること(生きること)」と「捜査に協力すること(処分されない条件)」と「とにかく一歩を踏み出すこと」を心のなかで徐々に擦り合わせていくストーリーは結構胸アツな少年漫画だった。また2巻後半とか結構ラブコメチックな展開で、たしかにジャンプっぽい作品かも。
www.s-manga.net

最後に

 新作全部1話視聴はおすすめしない。
 今はオリジナルアニメであっても何らかのメディアミックスが行われている時代なので、むしろコミカライズ、ノベライズその他が本編まである。アニメはその世界を知るためのきっかけであって、「転スラは1期ラストの終わり方が微妙だったからもういいや」ではなく「転スラ途中まで面白かったし、コミカライズでも読んでみるか。どうせ途中まで面白いのは知ってるし」という視点を持つことは、従来以上の価値があるように思う。ちなみに転スラのメディアミックスは原作『転生したらスライムだった件』に始まり、コミカライズ『転生したらスライムだった件』、スピンオフ『転スラ日記 転生したらスライムだった件』『転生したらスライムだった件 異聞 ~魔国暮らしのトリニティ~』『転生しても社畜だった件』『転ちゅら!転生したらスライムだった件』『転生したらスライムだった件 魔物の国の歩き方』、スマホゲーム『転生したらスライムだった件〜魔国連邦創世記(ロードオブテンペスト)〜』と多岐に渡るので、自分なりの「転スラの世界の楽しみ方探し」は普通に楽しい。
 これだけメディアミックスが隆盛の時代にアニメをリアタイ出来ているという経験は非常に貴重だと思うので、もし気に入ったアニメがあれば「どんなメディアミックスが展開されているか」という点に目を向けてみてほしい。その世界を更に広げるエンターテインメントがどこかにあるはず。
 そんなメディアミックスを手広く楽しむためにも時間やお金は必要なので、やはり新作全部1話視聴はおすすめしない。

 そして、製作者様へ感謝をば。今期もまたとても面白い作品を作っていただきありがとうございます。寒い日が続きますが、お体に気をつけつつ制作頑張ってください。陰ながら応援しています。ではでは。